対策しないことが実は一番の対策だったりしないか?

羽田衝突事故について、いろいろ情報が出揃ってきた。素人があれこれ言っても意味がないとは思いつつ。

ヒューマンエラーは完全に防げない。防げないなりに対策を打つのが大切である。という教科書的な説明には一応納得はしている。しかし、その対策に”何もしない”というというのもありなのではないかと思ったのでとりとめもなく書く。

羽田衝突事故はタラればを言えば、海保機が管制官からの進入の許可を得ずに滑走路に進入しなければ、管制官が警報に気づいていれば、JAL機が滑走路に海保機がいるのに気づければなどと言うことが出来る。しかし、これらを行っているのが人間である以上確率的に抜けることはある。今回はそれらが全スルーしてしまったというだけと言ってしまえばだけな気がしてならない。

これらを機械化・自動化・AI化すれば解決するかと言えば、それこそこいつらは人より分かりやすく確率でエラーすると思う。

つまり、こういったエラーは確率上起こりうるものなのだという前提がとても大切だと思うわけである。

当然その確率を下げるために様々な対策が必要だというのは分かる。しかし、何か対策を行うことが必ずしも全体のエラーの発生確率を下げるかと言えばそうではないと考える。

とりあえず、羽田管制官は”「ナンバーワン」伝達見直し”や”警報システム監視要員の増員”などを行うようだ。

俺は別にこれら対策を否定したいわけではないし、すぐに対策をしようとする姿勢を見せるということで良くやっていると思ってはいる。しかし、その対策が本当に再発を防ぐためなのか、頑張っているアピールのためなのかと考えるとモヤっとするわけである。

実際のところは両方なのだろうが連日ニュースに取り上げられると、国交省もJALも何かしないとと思わされてとりあえず何か対策しましたと言わなければならないプレッシャーがあるのだと推測する。そうなると対策の効果の検証やデメリットの把握をしないままに対策が打たれてしまう。日本人の悪い癖である一度始めたら止められないもあるので、その場しのぎのはずがそれがデファクトスタンダートになんてこともありそうだ。

話がそれたが、対策を打つことが本当に全体のエラー発生確率を下げられるかということについて。

羽田管制官の”監視の増員”という対策。確かにこれを行えば警報の見落としと言うエラーは減るだろう。しかし、他のエラーはどうか?増員するといって新たに人がポンと産まれるわけではないだろう。ましてや管制官という資格と技術の必要な人材をスーパーのパートさんを増やす感覚で増やせるわけがない。

ということはつまり、現存する人を余計に働かせて要因を確保するということだ。休みの人を使ったり、管理職や事務要員を使うといった本来割り当てられた業務とは別の仕事を無理やりふるということをやるつもりなのかもしれない。もしそうだとしたらこれってどうなのだろうか?

人の消耗が激しくなるとミスは増えるものなので、対策をうったことによって一部のエラーは減るがそれ以外が増えるということになりはしないだろうか。

実際のところはどうなのかは知らないが、こういったことって良くあるよなと思った次第である。誰かがヒューマンエラーを起こしたので、対策しますで無駄なチェックリストが一つ増える。そのチェックリストでエラーが減れば良いけど、単に余計な手間が増えただけで余計皆その作業をめんどくさがって雑になる。結果、エラーが増える。そして、また対策と称したした手間が増やされ以下ループ。

羽田衝突事故に関してはこれまで「ナンバーワン」の誤解が良くあったのかとか、「警報システム」が有効に機能していたのか(機械的に正常とかではなく、エラーを防ぐのに役立っていたのか)とかこれまでの経緯も大事だと思う。これまで、何十年もこのやり方で事故がなく今回が初でしたとかなら確率的に今のままでもかなり優秀な体制であるとなるかもしれない。また、今回は正月でかつ地震の影響と言うイレギュラーが多い中での事故だったので、今までの体制が悪かったとは一概に言えない。そういったことも考慮した対策をじっくり練るのが良いと個人的には思う。まあ、国交省の立場を考えるとじっくりやりたいけど、そうすると国民が怒るじゃんって感じだろうけど。こういう時は民主主義って駄目だなと思ってしまう。

対策を行うことは大切だと思う。しかし、それは日々少しづつ改善していくもので何か事が起きてから慌てて変える対策ってどうなのかなと思うのだ。ことが大きければ大きいほど対策も慎重に行う方が良いのではないかなあと俺なんかは思う。そのためにも、日頃見向きもしなかった奴らが急に対策案を出せだとかさっさと原因突き止めろだとか喚きたてるのは害悪なので黙った方が良い。・・・と良く問題が起きるたびに大騒ぎする俺の職場の管理職共を思い浮かべながら感想を終える。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?