見出し画像

トレス素材を使えば誰でも上手く描けるようになる。…本当に誰でもなのでしょうか。【トレスでも上手く描けない理由とトレスで上手くなる練習法】

割引あり


最近はトレスOKな素材も増えてきました。

クリスタに付いている3D人形、トレースOKな素材集。
それらを使うのは合法。

他人のイラストのトレスして使うのは、著作権侵害、
トレパクという憎むべき行為です。

しかし
合法であれば問題ございません。

けれども、トレス素材をつかったにもかかわらず
上手くいかないこともあります。

この記事では
トレスでイラストを描いた時に陥るミスと理由。
逆に画力が上がるトレス練習方法
を解説します。

自分も3D人形でキャラを起こしたりしますので、
己の戒めの為、備忘録としてまとめた次第です。


※この記事はXにポストすると無料ですべてご覧いただけます。返金可。※


沢山描いただけでは画力は上がらない。


絵を沢山描けば上手くなる…
そう思っていた時期が私にもありました。

上手い方から学ぶべく
好きな絵描きさんのトレスをした時期もありました。

…が、多少は勉強になったものの
画力の向上にはなる感じはせず止めてしまいました。

…いや
数が足らなかった可能性があります。
トレスでもいっぱい描けば上手くなるのでは⁈

「アニメーター」さんは、動画も描くし
さぞかし絵がうまくなるに違いない!

しかし

現役アニメーターユーチューバーhideさんによると
アニメーターの9割は原画が描けずに辞められるそうです。

理由は「原画がかけない」=「絵がうまくならない」から
(そして給料が上がらず…)

新人アニメーターさんの仕事は、「原画」から動画」を起こす作業。
原画をトレスして、少し動いた絵を描いて…の繰り返し
基本トレス作業です。

それを年間5000枚描いてらっしゃるそうです。
凄いですね。

しかし、原画家としての画力が育つことはなく
身についくのは「線の綺麗さ」と「丁寧さ」

根本的な画力はトレスだけでは身につかない。
そのため画力向上目的のトレスは無意味。ということでした。


実際に目の当たりにしたトレス障害

これらのケースを見た時に、
「トレスに頼るのが駄目なのはこういうことか」と納得しました。

その2件を紹介します。


【ケース1】トレスからオリキャラを起こすAさんの場合


Aさんは絵をトレスしてオリジナルに描きかえる方でした。

特定防止・著作権配慮の為、Aさんの実際の絵と似た特徴を持たせたは違う絵を使用しています。

Aさんは服などをアレンジしています。
が、その際に「首からかけたタオルが何か違う…」
ということに気が付きました。

トレスではなくオリジナルでつけたタオル。

何が違うのか、またその対処法は分かりますか?

……………

………………………………………

正解は「タオルを体に添わせる」でした。

元の絵は、看板にタオルをかけたような感じになっていました。

体に添わせることにより、隠れてしまったウエストも見えるようになり、
スタイルも良く見えるようになりました。



【ケース2】3D人形からイラストを起こすBさんの場合


Bさんは3D人形から下絵を起こしています。


特定防止・著作権配慮の為、Bさんの実際の絵と似た特徴を持たせた違う絵を使用しています。

一見おかしくないかもしれません。

しかし、元にしたというデッサン人形の絵も見せていただいた上で見ると
自分には違和感がありました。

皆さんは分かりますか?

……………

………………………………………

元にした3D人形と角度が部分的にズレていました。

画風に合わせて位置やサイズが変わるのはアリです。
故意に変えたり、極端にデフォルメの大きい絵なら問題がない事です。

ただし、今回は人形をトレスして描いたという前提

  1. 頭は顔の角度が斜めですが、髪の毛・帽子は正面の角度です。

  2. 背中を反らせようとして、脇側面を削っています。

  3. 腰・お腹の中心がずれています。

もちろんデッサンがすべてではないですし、
修正前の方が好み…という方もいらっしゃるかもしれません。
可愛く見せるためにわざとずらす場合もありますが
問題なのは、狙い通りのデッサンが取れていなかったことです。

少なくとも
2.3に関しては意図したものとズレて出来上がったと思われます。

Bさんは、以前添削させていただいた絵でも
お尻を突き出すS字のポーズを描こうとして
胴体と足は直立だけど、股関節だけ傾いている…という
人体の仕組み的に難しいポーズになる絵を描かれていました。
(お腹から腰を反らないと股関節も傾けない)

なので、狙ったポーズは実は描けていなかったんだと思われます。



トレス素材を生かすには、コツがある


この件の最大の問題は

狙った絵をかけていないことに
本人が気がついていない(気づいても原因がわからない)
事だと思います。

自分もおなじような経験はあります。
描いているときには本当に気がつけませんでした。

トレスで良い絵をコピーしている=間違えていない
という認識が出てしまうからだと思います。

狙ってではなく、無意識でズレてしまっているのは
怖いなと思います。

かといって、他人が指摘しても
本人が気が付かない事、聞かれてもない事を
本人的には合っていることなので同じミスを繰り返したり、
不用意に傷つけてしまったり、
意味が無い可能性が多いのです。

トレス素材を生かすには、コツがある
んだと思います。




トレスで画力が上がらない原因


既にこの時点でお気づきの方もいらっしゃるかもしれません。

トレスでは、アウトラインをなぞって描きます。

人間の脳はシルエットで形を予想することが出来ます。
そのため、内側の形を考えなくても、それっぽく見えてしまうのです。

ただしシルエットには内側の情報はありません。

平面の絵を平面と認識しているからです。

Aさんはこの罠にかかり、内側の立体を見逃していました。


平面で描かれていても、内側には立体の概念がある。

Bさんも
反らせようとしてせっかくとった体のアウトラインを消して
平面的にシルエットでで反らせようとしていました。

このように、
主にアウトラインをなぞって描くトレスは
平面のまま認識してしまい、立体の概念が身に付きにくいのです。

これがトレスで画力が向上しない原因と思われます。



シルエットと立体


立体の概念を平面(二次元)に入れることにより
見る人は脳内で立体(三次元)に変換することが出来ます。
(この仕組みは、クロッキーの話で書いた
 一般的な人がもっている見分けの能力の一部です)


キャラクターイラストは、「人間」のデフォルメです。

一般的にこのデフォルメ元の「人間」は
皆様が生きている三次元の人間のことです。

三次元に居る人間のデフォルメである
キャラクターイラストに説得力を出すには
立体(三次元)の概念が必要
になります。

高可動域Vチューバ―の身体が
横や上下を向ける仕様にするのは、
キャラクターが三次元の人間の立体を元にしているので
三次元的動きを模倣させるためです。

このことを踏まえ
キャラクターイラストを描きたいならば
イラストを見る人から逆算して
脳内の立体を立体の概念を含めた平面にすればいい
…という理屈になります。



この描きだし機能は、無くても生存には困らないため
一般の人間の脳にはあまり備わっていません。
また
読み取った画像は脳の仕組み上、簡略化されて記録され正確性に乏しいため
訓練で学習することが必要です



画力を上げるトレスとは

ここから先は

1,603字 / 13画像

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?