つらいとき

 つらいとき、嫌なことがあったとき。

 嫌なこと、なんていうと子供みたいだけれど、理不尽なことや、納得できないこと、どうにもこうにももやもやして、落ち込んで、エネルギーがなくなって。そんなときは、発散すること。一人で溜め込まないで、バカ話しにして笑ってしまうこと。発散出来る仲間が一人でもいるといいね。

 あのとき、俺は一人だったな。誰にも相談しなかった。誰かと一緒に飲みに行ってさえ、弱音ははかなかったし、愚痴も言わなかった。何もかも自分で抱えて、自分でやるしかないと背負い込んで、そして自分でつぶれてしまった。

 笑いとばせればよかったのに。

 そんなに真面目に頑張らなくてもいいよ、って。
 まじめー!くそまじめー!!
 って笑えればよかったのに。

 立場が変わって、環境が変わって、今の俺には相談出来る人もいるし、重たかった心を、少しは軽くすることもできるようになった。
 一人は好きだよ。どちらかというと、一人の時間の方が好き。みんなと飲みに行くより、早く家に帰ってあのドラマを見たい。

 だけどやっぱり、人は一人で生きているのではないし、支えて、支えられて、生きている。

 今、この瞬間の痛みや、理不尽に打ちのめされたもやもやは、明日も続くかもしれない。明後日もまだ少し残っているかもしれない。だけど一週間後にはきっと別の何かに変わっていて、一年後と言わず、ものの一ヶ月でもうすっかり忘れているだろう。
 あけない夜はない。
 やまない雨はない。
 穏やかに笑える日は必ずくるから。
 どしゃ降り台風の夜もあるけど、すっきりと晴れた朝は必ずくるから。
 眠れなくても、体を休めて。
 大丈夫。
 大丈夫。

 そうやって、ここまでだって、越えてきただろ。
 一人で抱え込まないこと。
 穏やかに笑って、目の前の一歩を踏み出せるように。
 
 大丈夫だよ。

ほんの少しでも笑顔になっていただけたら幸いです。