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気象予報士試験・過去問1000

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気象予報士試験の学科過去問の解説です。比喩ではなく本当に1000問の解説を作りたいと思いますが、時間が掛かりそうです。ご意見ご要望のある方はコメントお願いします。 現在169/1… もっと読む
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気象予報士試験の対策法と参考書紹介

気象予報士試験対策は学科が重要 気象予報士試験は本当に難しいのでしょうか?  巷では、気象予報士試験は合格率が5%程度であることから難関資格の一つとして挙げられることがあります。しかし、これは単一回の試験における合格者と受験者の比率です。内訳としては、全科目受験(学科の一般及び専門+実技)の方もいれば、学科免除の方もいます。事実、受験番号から推測した合格率としては、全科目受験が1%程度に対し、学科全免除受験の場合は20%程度となります。  端的に言えば、学科さえこなしてし

0 過去問データベース「一般」(仮公開)

一覧表(メモ代わりです) 本マガジンで取り扱う過去問について、一覧表を作成しましたのでご活用ください。×印は解説が未作成です。  データベースとして、どのような情報を表示すべきか悩ましいところです。鋭意作成中なので気長にお待ちください。元OLなだけで、今も普通に働いています。 $$ \begin{array}{c:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l:l} 試験回&問1&問2&問3&問4&問5&問6&問7&問8&問9&問10&問11&問12&問13&問

1 大気の構造(20/20問)仮公開

1 令和5年度第2回(通算61回)問1知識事項の確認  頻出である「オゾン」は、以下の事項を覚えておけば大抵の問題は解けます。 濃度が最大となるのは高度20~25km オゾンは太陽紫外線を吸収し大気を加熱する 気温が最大となる高度(成層圏界面)とオゾンの濃度が最大となる高度は異なる 成層圏オゾンは酸素分子の光乖離で生成される  大体この程度となります。 (a) の検討  知識事項を押さえていれば、「正」であることが分かりますが、もう少し細かく確認すると、

2 大気の熱力学(41/41問)仮公開

1 令和5年度第2回(通算61回)問3知識事項の確認  大気の熱力学では、エマグラム上で表現される物理量について習熟している必要があります。詳細はお手元の参考書を通読して頂くとして、本問題を解くのに必要となる要点を簡単に紹介すると、 乾燥断熱変化では温位は一定 飽和水蒸気圧は気温によってのみ値が定まる 空気中で水蒸気が凝結すると熱が放出される (a) の検討  持ち上げ凝結高度以下では乾燥断熱変化であるため、温位は変化しません。したがって「変化せず」となります。

3 降水過程(21/21問)仮公開

1 令和5年度第2回(通算61回)問5解法の確認  最初にお断りしますが、筆者の力不足で微分抜きで説明することができませんでした。問題自体は簡単なのですが、それは数学の力に頼ればこそ、ということです。  降水過程に関する計算問題は、大抵の場合は微分抜きで解けるようになっているという印象だったのですが、どうも今回の問題に限って違うみたいです。 (a) の検討  まずは、大きな水滴が単位時間当たりに通過する体積を考えると、 $$ V=πR^2W $$ となります。

4 大気における放射(20/20問)仮公開

1 令和5年度第2回(通算61回)問2解法の確認  最初に覚えていただきたいことは、シュテファン・ボルツマンの法則です。 $$ I=σT^4 $$  左辺が放射量で、単位面積・単位時間当たりに放射されるエネルギー量です。右辺の$${σ}$$はシュテファン・ボルツマンの定数というものです。まあ、何かの定数ですね。値は覚える必要は多分ありません。最後に右辺の$${T}$$ですが、これは絶対温度です。  これとアルベドの定義(エネルギーを反射する割合)さえ押さえていれば、

5 大気の力学(38/38問)仮公開

1 令和5年度第2回(通算61回)問6解法の確認  このパターンの問題は、直方体の各面に流出入する空気量という形式が多いのですが、今回は円柱です。しかし、やることは変わりません  覚えておくことは簡単で、「単位時間当たりの空気の流出入の合計は0になる」ということです。使った分だけ給料が振り込まれる、そんな世界があればいいのになあ。  それでは流入量を求めてみましょう。  円柱の側面に対し、30°の角度で20m/sの速度で空気が入り込んでいる(流入を正の速度とします)

6 気象現象(29/51問)仮公開

1 令和5年度第2回(通算61回)問8知識事項の確認  南北の熱輸送に関する問題です。頻出であり、計算問題は多分ないので確実に解けるようにしましょう。  赤道付近では太陽放射量が多いため、正の熱収支となり、極付近では負の熱収支になります。そのため、赤道付近から極方向へ熱輸送が発生し、各種気象現象が発生するのです。  このパターンの問題では、グラフの読み取り方が重要です。(a)を参考にしっかりと理解しましょう。 (a) の検討  北緯40°より高緯度のある地点では、

1 大気の構造の概要

傾向と対策 大気の構造は、ほぼ毎年1問出題されています。そして覚えるべき事項もそれほど多くないため、確実に正解したい分野だと言えます。また、計算問題としては出題されませんし、複雑な推論はありません。数式が苦手な方は必ず得意分野にしてください。  大気の構造は、更に以下の2分野に細分化できます。 太陽系の概要 地球大気の鉛直構造  いずれも、技術や科学の進歩により内容が大幅に変化することは恐らくないため、過去問については古いものでも問題ないと考えられます。また、いずれも

2 大気の熱力学の概要

傾向と対策 大気の熱力学は、毎年2問出題されています。そして、計算問題として直接何らかの数値を計算させる形式で出題されることが多く、そうでなくとも正解を導くためには物理公式を利用した定性的・定量的な推論が必要になることが多いです。難易度は気象予報士試験でも最高になります。そのため、自信をもってご自身が理系であると断言できる方は、ここで差をつけてください。そうでない方は、最低でも1問は正解できるように努力してください。 理系の方向けのアドバイス  基本的な数式操作は完璧にで

3 降水過程の概要

傾向と対策 降水過程は、毎年1問出題されています。計算問題として出題されることもありますが、具体的な数値を求めさせるパターンは少ないです。しかし、微分を使わずに解くのが難しい問題もあるため、注意が必要です。一方で単なる知識事項を問うだけもパターンもあります。  以上より、難易度は中程度になります。理系の方は絶対に落とさないでください。そうでない方でも、知識事項を問う形式の問題は確実に解けるようにしてください。 理系の方向けのアドバイス  計算問題は、力学(力のつり合い)

4 大気における放射の概要

傾向と対策 大気における放射は、毎年1問出題されています。計算問題として出題されることもありますが、半分くらいの頻度です。具体的な数値を求めさせるような問題もありますが、パターンが決まっています。黒体放射とアルベドをしっかりと押さえれば、確実に解くことができます。複雑な計算は必要ないので、可能であれば計算問題こそ得点源にしたいくらいです。 理系の方向けのアドバイス  計算問題は正直楽勝かと思います。計算問題・知識問題いずれの場合においても、地表面と大気、太陽輻射の関係につ

5 大気の力学の概要

傾向と対策 大気の力学は、毎年1問出題されています。計算問題として出題されることもありますが、頻度は控えめです。コリオリ力や気圧傾度力、渦度、大気の角運動量等、理系の方でなければ苦労するであろうテーマが出題されます。設問に対し、定性的な説明を与えることができれば解ける場合も多いですが、私の場合はきちんと式を立てて解いた方が早くて確実でした。テーマもやや広いので、得意な方を除き、得点源ではなく2~3択に絞ることを目標に学習した方が良いかもしれません。  しかしながら、実技との

8 気象法規の概要

傾向と対策 気象法規は、毎年4問出題されています。気象予報士試験の常識では、ここで満点を取ることが合格の最短ルートとされており、実際その通りです。完璧を目指す必要があります。それでも本番は1問落としてしまうかもしれません。法規で2問落とせば合格の可能性は低く、3問落とせばまず不合格でしょう。必ず全問正解を目指してください。法規以外で満点を取ることはかなり大変なので、極端に優れた素養がある方(気象学の専門家とか)を除き得策ではありません。  また、法規問題は以下の5分野に細分