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【アスペルガー革命】プロローグ:発達障害者からみなさんへ

東京パラリンピックまであと1年を切りました。まわりを見渡してみれば、心なしか街なかでも障害者の方がけっこう多く見かけるようになった気がします。ほんの少しづつですが、障害者も外に出て生活を楽しめるようになってきているのではないかと感じます。

これからはじめるこのストーリーは、発達障害者としての僕の経験から得た人生の学びや気づきを言語化したものです。内容は事実に基づいたフィクションの形を取っていますが、その中に込めたメッセージは決して僕と同じ発達障害者にだけ伝わるものではないと思っています。

僕のような発達障害者は、外見からは障害者とはすぐにはわかりませんが、健常者の方々によって構成されるこの社会では、はっきりと違いがあります。健常者にとって何の造作もなくできることができなかったり、息苦しかったりします。

しかしながら、僕たちの属している日本の社会も、西暦2000年頃からのインターネットやテクノロジーの普及・発達によって激変しました。日本と日本人がもっていた良き風習や助け合いの心などが失われる一方、他人のプライバシーをのぞき見できることで嫉妬や羨望が生まれ、自分の利得だけを考えて相手を攻撃する風潮が支配するようになりました。

荒んでいくこの社会の中で、ハンディキャップを持ちながら暮らしていくことは非常なエネルギーと忍耐力が必要です。資本主義社会のなかでは、障害者とて生活を営むための最低限のお金は自分で稼がなくてはなりません。たとえ障害年金という「ゲタ」をはかせてもらっているとしてもです。

これまで過ごしてきた55年間のなかで、なんとか生き抜くために必死で頭を働かせ、襲い来る苦境を乗り越えてきました。こうした経験が、このストーリーをお読みくださるすべての人に、生きる知恵と力としてお役に立ってくれれば幸いです。

追伸
「アスペルガー症候群」という呼び名はもともと、「知的障害を伴わない自閉症」のことを指していました。1940年代に知的な遅れのない自閉症の研究を行っていたオーストリアの小児科医ハンス・アスペルガーにちなんでつけられた名前です。

その後アメリカの精神医学学会による診断基準の改定があり、「自閉症スペクトラム」という呼び名に変わりました。

この架空のストーリーのタイトルである「アスペルガー」という言葉は、すでに正式な症状名ではりませんので、その点をご理解いただければと存じます。


関西在住のWebライター/文筆家のタマゴです。私の書く文章があなたの人生を豊かにすることができていれば、ぜひサポートをお願いいたします。