私は東海道新幹線が嫌いです。

以前は食堂車やビッフェ、グリーン車の個室があって、様々なシーンでの使い分けや、移動以外の楽しみが新幹線にはあったと思います。しかしのぞみが出現した以降からでしょうか、単なる高速移動のための高額な移動手段「だけ」になってしまいました。本当に実現するのかよくわからないリニア新幹線はおそらくなおさらでしょう。品川－名古屋間を40分でつなぐそうですが、87％がトンネルなのです。想像しただけで中途半端な所要時間と、一日中つまらない車窓になりそうです。

開通できるか怪しいリニアはともかく、新幹線が嫌いです。そのために東京から名古屋や大阪に行く場合でも、できるだけ新幹線ではなく、飛行機かバスを利用しています。これは時間と運賃と移動体験を総合的に判断してのことです。

新幹線を使う時も、たいていは「ぷらっとこだま」という乗車券ではなくツアー扱いの安売り運賃を利用することが多かったです。ところが最近になって、「スマートEXこだまグリーン早特3」という格安運賃の存在を知ったのです。これは通常であれば最も安い、のぞみの自由席よりも730円安くこだまのグリーン車に乗ることができるのです。

そこでのぞみとこだまの所用時間を比較してみます。列車によって若干の違いがあります。ひかりは省略します。

のぞみ
新横浜－名古屋　1時間30分
新横浜－新大阪　2時間10分
こだま
新横浜－名古屋　2時間20分　のぞみ比+50分
新横浜－新大阪　3時間35分　のぞみ比+85分

こだまは各駅停車ですし、停車時にのぞみやひかりに追い越されますので、時間がかかるのは当然です。これに対して運賃の違いを見てみます。正規運賃ではのぞみ、ひかり、こだまはすべて同じ運賃ですが、実際にはそうではありません。

いずれも通常期
【新横浜－名古屋】
通常料金　自由席　9900円
通常料金　普通指定席 10640円
通常料金　グリーン席 14300円
ぷらっとこだま　普通指定席 8600円　【最安値】自由席比-1300円
ぷらっとこだま　グリーン車 9400円　自由席比－500円
スマートEX　自由席　9900円
スマートEX　普通指定席　11440円
スマートEX　グリーン車　14100円
EXこだまグリーン早特３　9170　自由席比-730円

【新横浜－新大阪】
通常料金　自由席 13540円
通常料金　普通指定席 14390円
通常料金　グリーン席 19260円
ぷらっとこだま　普通指定席　11000円　【最安値】自由席比-2540円
ぷらっとこだま　グリーン車 12200円　自由席比-1340円
スマートEX　自由席　13540円
スマートEX　普通指定席　14190円
スマートEX　グリーン車　19060円
EXこだまグリーン早特３　11410円　自由席比-2130円

これらをまとめると、

新横浜－名古屋間ではぷらっとこだまが1300円安い。のぞみと比較して50分遅いので、50分に対して1300円の価値を見いだせるか。そして730円安いにも関わらずグリーン車に乗れる運賃がある。

新横浜－新大阪間ではぷらっとこだまが2540円安い。のぞみと比較して85分遅いので、85分に対して2540円の価値を見いだせるか。そして2130円安いにも関わらずグリーン車に乗れる運賃がある。

3日前までにアプリから購入、指定列車以外には乗れない（発車前であれば無料で変更可能）という条件は付きますが、EXこだまグリーン早特3ワイドの詳細ページにリンクしておきます。

こだまは時間がかかりますが、50分とか85分という時間をどう判断するかです。私は空いていて快適なこだまのグリーン車で、名古屋までの2時間20分を景色と何かをつまみにしながら、のんびりとお酒を飲みながら移動するのが好きです。これがのぞみだとグリーン車ですら混んでいますし、時間が短かいのでゆっくり楽しめません。これが博多までと言われるとさすがに考えますけど、2、３時間というのは私にとってはちょうどいいリラックスタイムなのです。移動時間とリラックス時間が同じであれば、流行りのタイパ的にもすごくいいと思います。

こうした交通機関を利用した移動では、人によってあるいは状況によって様々なケース、優先順位があります。それらは同じ人でも状況によって変わることも当然あります。それらを決めるのは時間、運賃、快適さ、利便性などのパラメーターです。ぷらっとこだまはツアーチケットなので、駅で紙の乗車券を発券する手間があります。スマートEXはスマホにアプリやカードの登録をする手間があります。

当然ですが安いものには安いなりの理由があります。その理由は何らかの制限があることです。制限があっても安いほうがいいと考える人、制約を楽しめる人も当然いるわけです。私は東京−名古屋、大阪間であれば、やはりデフォルトは昼行または夜行高速バスを検討して、次にこれからはEXこだまグリーン早特３かなと思います。

さまざまな選択肢を使い分けるのは大切なことだと思います。