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「機内食」ではなく「機内での食事」がいいね

機内食についてちょっと考えてみます。エコノミークラスとビジネスクラスの機内食の違いはなんでしょうか。それは料理そのものの違いよりも、提供方法、特に器とカトラリーの違いによるところが大きいと思います。

上のタイトル写真は2020年1月12日、アメリカン航空27便 ロサンゼルスー羽田の機内食です。アメリカ系ではごくごく普通ですよね。一つのトレイに3つの器が乗っています。そのうち2つが透明。カトラリーはプラスチック製のナイフとフォーク、紙ナプキンがビニールでラッピングされています。このときは箸はありません。トレイ以外はリサイクルや再利用はしていないと思います。なおこのフライトの後、帰国時に5日間の強制隔離となった時の話はこちらに書いてあります。


下はJALの成田ーヘルシンキの例です。アメリカンよりは器がちょっとだけ独自性があります。ただしトレイマットも含めてJALのコーポレートカラーである真っ赤なのですが、これがどうにも食欲をそそらないと、私はいつも思います。今年の頭にANAの国際線も20年ぶりくらいに使いましたが、全てが青いくらいで、味も内容も変わらないですね。日系の機内食は全然特色がないです。よく言えば無難。

2015年9月5日 日本航空 JL413 成田ーヘルシンキ エコノミークラス

このところJALの国際線を使っていないのでWEBで確認したところ、現在も同じものを利用しているようです。やっぱり赤が好きになれないし、食欲を削いでしまいませんか?

JALのWEBより
2016年4月12日 日本航空 JL85 羽田ー上海 ビジネスクラス

同じJALの近距離国際線のビジネスクラスだとこうなります。近距離なので提供時間が限られますので、ワントレイであるところは同じです。この時は和食ですが、トレイは漆風のプラの黒いもの。メインはちょっと分厚い使い捨てではない白いプラの器。これに発泡スチロールの重箱のようなもの。味噌汁はプラのお椀。湯呑だけは陶器です。

料理の内容をよくよく見ていくと、器と盛り付けが違うだけで、エコノミーとほとんど同じメニュー内容です。見た目以外にはコンビニやほかほか弁当と変わらないレベルではあります。器の構成では加熱するものとそうではないものに分けることになり、ここを複雑にするとコストが一気に上がるんだと思います。とは言え、このビジネスクラスの機内食は見た目の印象が全然良くなり、ちょっといい感じの定食っぽく見えてきます。地上だと2500円くらいでありそうな感じです。(実際にはもっとコストがかかっているのですが)


では私がこれまでに経験した最も好印象のビジネスクラスの食事をご覧ください。現在はなかなか搭乗ができないアエロフロートの成田ーモスクワ線のものです。

まずはウエルカムドリンクとアミューズ。ガラスコップと陶器です。

2017年9月7日 アエロフロート SU623 成田ーモスクワ ビジネスクラス

続いてテーブルを拡げてテーブルクロスを掛けてくれます。もちろん布製です。最初になぜか寿司です。ネタはナマ物ではありませんが、なんかリッチな気分になります。全て食器は陶器かガラスです。大きさもワントレイではないので、普通のサイズ。ここ重要ですね。カトラリーも金属製の普通のものです。全部100均で揃いそうなものではありますが、エコノミーとの差は歴然としています。

パンもバターとともにパン皿で提供されます。エコノミーだとビニールラッピングです。

続いてサラダ。サラダはものすごく量が多い。アエロフロートのビジネスの機内食は量が多いことで有名なのは知っていましたが、本当にたっぷりです。

そして一皿一皿運んできてくれます。ここが一番の手間がかかることですね。CA一人で6席分くらいを担当している感じです。

枝豆だったと思いますが冷製スープです。

メインデディッシュは魚とパスタ。おわかりのように、すべての料理は見た目も量も地上のレストランと遜色ありません。味がすごく美味しいかと言われると、まあファミレスレベルです。ですが地上1万メートルを時速800キロで移動しながらファミレスと同じものが出されるというのはすごく大変な苦労があります。

デザートも同様に地上と同じ感じで提供されます。

こうしてみると、やはり料理の内容の差はそれほどなくて、提供の仕方の違いだと思います。当然ながらビジネスクラスは手間がかかる=コストですから当然こうなります。

長距離ビジネスクラスはJAL、ANA、デルタ、アメリカン、ユナイテッド、カタール、アエロフロート、チャイナエアライン、香港航空、マレーシアで経験しました(うち8割はインボラアップグレードですけど)が、アエロフロートが断然良かったです。次点はカタールです。ちなみにこの時のアエロフロートは、東京ーパリの往復でなんと18万円でしたのでものすごくお得でした。

蛇足ながらシートについても、最近流行りの「漫喫の個室」みたいなビジネスクラスより、従来型のアエロフロートがそうでしたが、フルフラットであればオープンなビジネスの方が絶対快適だと思いますよ。


そんな中、2019年からデルタはエコノミークラスの機内食をリニューアルしています。リニューアル後に4フライト飛んでいますが、あいにく写真を撮っていませんのでデルタのリリースから。

ほぼこの通りの提供方法です。まずトレイがカートに直接差し込める機械的で味気ない四角いものではなく、黒い楕円形のトレイがとってもお洒落です。四角くて角だけが丸くなっているのではなく、カップが置けるように変形した台形で、角が丸みを帯びています。トレイというよりはお皿というかお盆みたいな感じですね。

下の写真のカトラリーはプラスチック製ですが、現在はナプキンのように膝にかけられる不織布みたいなものに、木製のナイフフォークが包まれています。こうすることで随分と印象が変わるものです。「機内食」ではなく「食事」という印象に一変します。

デルタのプレスリリースより

下の写真のように。以前のデルタは他のエアラインと同様にごく普通のものでしたので違いがよくわかると思います。以前のものは比べるとどうしてもエサっぽく見えてしまいます。。。

2015年頃のデルタの例


コロナ以降、さらにウクライナ以降、航空業界は大きく変化をしています。今後どうなっていくのかは全くわかりませんが、長時間のフライトにおける食事はとても重要なので、ZipAirのような食事は全部有料!という考え方もあり、デルタやアエロフロートもあり、いろいろと選択できるのはいいことだと思います。

一度だけ経験したファーストクラスについても書いていますので、ぜひご覧ください。


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