2024年の目標など
三本指を立てるのは、主にタイの反軍政デモで使われている、映画「ハンガー・ゲーム」に由来する圧政への抵抗を示すサインだそうです。「憎しみ」という圧政にはいつも指をみっつ立てていきたい。
毎年、元旦にその年の目標を立てるようにはしているのですが、今年は元旦の昼すぎに能登のほうで大地震があったので、さすがにそういう気分にはなれませんでした。日がかわり、懸念された津波はおおきな被害がないことがわかり、火災だとか倒壊による被害は大きいし、今後の生活への不安はつづくけれど、私は私でできることをしなくてはならない、という意味で、寄付をさせていただきました。
寄付ではたいてい、多くても1万円ぐらいしか送ってこなかったのですが、今回は5万円出しました。というのは、富山の地方紙である北日本新聞で主宰された北日本文学賞に、震災をテーマにした作品を出していたからです。
足りないにせよ、それなりの責任を果たすのが、社会や生活のなかで小説を書いていく意味(なんてものがあるとすれば)なのかな、と。
北日本文学賞は四次通過止まり(最終候補入りならず)でしたが、選考経過をしらせる紙面のさいご、私の作品についても、簡単なあらすじとともに、触れられていました。
講評を新聞紙に書いてもらえるというのは初めてだし、その内容ふくめ、とてもうれしかったです。これを糧にもっといいものを書いていきたいです。
北日本文学賞への投稿にあたっては、下読み会ふくめ8名の方にアドバイスをいただいて、直せたところも直せなかったところもあるのですが、この成果はみなさまのおかげだと思っています。誠にありがとうございました&またがんばります。
年末年始の出来事といえば、ほかに、歌舞伎町文学賞の一次選考を通っていました。1639作の投稿があって、通過作は330作かそこらだと思うので、1/5ぐらいと思えばちょっと手応えはあったけれど、だいぶ抜けた変化球を投げたので、振ってくれればラッキーぐらいの気持ちで、先に進みます。
前置きが長くなりましたが、今年の目標とか立ててみようと思います。ここまでの9年間で書いた枚数が、9603枚で、春に向けて書いてる3作がいまのところ88+174+182=444枚なので、今年、賞に出して10年目にして、書いた枚数が1万枚にたっする見込みです。鈴木輝一郎さんだったか、「1万枚書けば誰でも小説家になれる」とおっしゃっていたと思いますが、「初めて書いた小説で賞を取れば才能としては並み程度」と言われるこの世界、1万枚でついぞ賞を取れなければ、才能は絶望的なのかな、と。今年が潮時なのかもな、と思ったりします。
とはいえ、私も9年書き、テーマを福島に見据えた昨年夏あたりから、書く理由も変わってきているので、書くのを辞めるかといえばそうでもない。いま主要SNSのプロフィールは「福島の小説を書いていました」になっていると思います。もともと「書いています」と現在進行形だったのですが、群像新人文学賞を落ちたときに「もうやめたるわ」と負けずぎらいなので過去形にしてしまったのでした。でも過去形ぐらいのかっこうで、気取らずに書くほうが、いまは自分らしい気がするので、そのままにしています。
正月はおせちを摘まみながら福島の日本酒「写楽」を呑みました。福島だけでも、写楽・飛露喜・生粋左馬・大七・楽器正宗・又兵衛・磐城寿・帰忘郷・富岡魂・天の希・楢葉の風・会津中将・会津娘と呑んできましたが、いまのところ写楽と飛露喜が頭抜けてるかなと思います。三が日が明けたころには、秘蔵の飛露喜を呑みに行く予定もあります。今年も福島にはたくさん関わるつもりで、2月は「来て。割」を使っていくつもりだし、3月は311のイベントがあるし、4月は夜ノ森の桜を観たいし、7月は野馬追を観たいし、秋か冬にも行きたいし、できれば4回行ってみたい。いろんなことを知るなかで、書き方や書く内容が変わっていくのがわかる。一方、今回の能登の地震のときとか、無力だなと感じることも多いけれど、それでもいまの道の延長線上に、なにかできることはあるはずです。春の純文学の新人賞(文藝賞・新潮新人賞・すばる文学賞)に出したあとは、福島の魔法少女5人をテーマにした作品を5つ書くつもりです。そのあとも、書きたいことは山ほどある。
節目となる今年の目標は「ていねいに書く」にしようと思います。あんまり大きなことは書かなくていい。そういうのは大きい人に任せておけばいい。とても小さな一個人として、小さなことを、小さく、ていねいに書いていこうと思います。感覚的ですけど。
二号店で店番したり、さんとしょでイベントしたり、らくだ舎さんとか納屋文庫さんとかフルハウスさんとか本屋めぐりもしたいな。3ヶ月に1回は二号店、1回はさんとしょ、1回は本屋めぐりというかんじかな。本を読むこと、知ることも、書くこと以上に大事なので、大切にしていきたいです。芥川賞の予想企画もやるよ!イロカワ文学賞ももちろんやるよ!
悲しいことは多いけど、自分がいちばんかわいそうな筈もないので、悲しいふりはしたくないです。笑えることは笑って、いい年になるよう、できるよう、今年も、好きなものを好きなだけ好きでいられるよう、がんばろうと思います。
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