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一切

哲学者、西田幾多郎が「すべてわが人生」と言った。彼の人生は悲しみ、哀しみに満ちている。そのなかで真実を追い求めてきた。その人生はその悲しみやすべてを飲み込んできたように思える。
矛盾や解明できないことも含みながら世界が存在し、我々は生きている。すべてを受け入れることができたとき、そこに見えるものは真実なのだろうか。西田はそれを見たのだろうか。
つらさや、悲しみのさなかでなぜ我々は生きていかなければならないのか。そこに必要となる勇気とは何だろうか。我々が前を向き、顔を上げるのは何故か。我々は何者か。なぜ生きるのか。光があれば陰がある。強い光には濃い陰が生まれる。すべてバランス。調和。ベクトルは一つではない。全体として調和しつつ、個はそれぞれの向かう方向へ向かえばいい。部分と全体。
すべてを一切と呼ぶのなら、一切合切飲み込みたい。そんなことはできるのだろうか。
一切を超越するものがあるのだろうか。


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