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No,251.統計から見えるプロ野球選手の年俸


はじめに

個人的には野球人気はもはや日本の国技ではないかと思っています。
実際に年俸を見ても他のスポーツの中でも野球が一番高いようです。

引用:ReSTART!第二新卒

人気スポーツ=年俸が高いというのは考えなくてもわかるのですが、
では野球選手はどのような評価基準で年俸が決定されているのか?

疑問に思ったので各選手の成績から調べてみました(2014年度プロ野球サンプルデータ使用)。※新しいデータが欲しいです(+o+)

あくまでの数字上のお話なので、数値に基づく情報以外の要素は無視してますのであしからず。

要旨

本稿は、2014年度プロ野球サンプルデータをもとに、清水(2006)の統計分析ソフトHADを使い検証を実施した。
検証にあたっては、http://norimune.net/hadから統計分析ソフトHAD 14.702ソルバーオンとサンプルデータをダウンロード。

1.体重によるホームラン及びヒットが媒介することにより年俸へどのように影響をもたらすのかについて

結果は、Figure1に示す。体重が1キロ増えたら安打は0.93本増え、安打1本打てば61万円増えることが示された。
体重が1キロ増えたらホームランが0.47本上がる、ホームラン1本打てば421万円増えることが示された。

Figure1 体重によるHRとHITを媒介とした給料への結果

1-2 体重による打力への影響

1の結果から、体重が打撃に影響することが示された。
体重が、ホームラン・打点・打率にどのように影響するのかを検証。
(検証には、体重・ホームラン・打点・打率を標準化した数値を使用)
結果をFigure2に示す。
体重に影響を与えるのはホームラン(r=0.62)と打点(r=0.46)相関があり、打率(0.14)の弱い相関があった。
体重が重さとホームランの数には関係がある。打点はホームランに付随しているのは当たり前なので打点に関しても同じである。

Figure2 体重による打力(ホームラン・打率・打点)への影響

1-3 打力及び三振を媒介とした年棒への影響

年俸には打力が関係していることは示された。
では、打力とは何を指すのだろう。また、三振は年俸にどのような影響を与えるのだろうか?

Figure3に結果を示す。
選手の打力とされる、ホームラン(6.71)、打点(25.37)、打率(0.02)は有意であった。
打力から年俸にも(70.11)で有意であった。打力から年俸へ7,011万増えることが示された。打力は三振へ有意であった(27.13)。三振を媒介して年俸への影響は有意傾向であった(‐0.46)。

打力はホームランや打率との関係が高いく、年俸の高さに関係することが示された。また三振は年俸が下がる原因であることも示された(有意傾向)。

Figure3 打力(ホームラン・打率・打点)、三振が年俸に及ぼす影響

2.散布図による選手別HRと年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較

1での結果から打力と体重および打力と年俸に関係があることは示された。
ではその結果は所属チームによって年俸に違いはあるのだろうか?

2-1チーム別の平均年俸

まずはチーム別の平均年俸をFigure4を示す。やはりソフトバンクと巨人がダントツですね。

Figure4チーム別の平均年俸

2-2選手別HRと年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較

散布図による選手別HRと年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較をFigure5に示す。

ホームランと年収において、広島カープのエルドレッド選手が球団にとってお買い得選手と言えることが示された。

Figure5 選手別HRと年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較

2-3選手別打率と年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較

散布図による選手別打率と年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較をFigure6に示す。

次にホームランを打率に変更し比較した。3-1、3-2をみると、広島の鈴木選手は球団にとってお買い得選手と言えることが示された。

Figure6 選手別打率と年俸による比較及びチーム別平均年俸の比較

まとめ


検証の結果によれば、打力においては、体重が重い選手ほど高い傾向が見られた。また、体重とBMIが低い選手ほど盗塁数が多い傾向があると言えるだろう。
つまり、体重が重い選手はパワーバッターと言え、一方で体重が軽い選手は機動力を活かした選手と言える。

年俸に関しては、野球選手の年棒は成績だけでなく、所属するチームによっても大きな違いが見られることが示された。その中でも広島カープは、成績と球団全体の平均年俸に比べて低い傾向がある。

低い年俸で優勝を熱望する広島市民の気持ちはどのようなものでしょうか。

仮説として、年俸の低い球団選手は一般的に言われる「ハングリー精神」をモチベーションとしていると思われる。その方略としてチームの優勝があり、個人の成績でもあるだろう。
今後広島カープの選手のモチベーションとソフトバンクや巨人などの選手とのモチベーションの違いなどを比較検討することで、モチベーションに関わる心理要因を示すことにつながるかもしれない。
それを示すことにより、年俸と成績との関連性が、選手のモチベーションを引き出せるのではないだろうか。

最後まで読んでいただきありがとうございます(^^♪

引用文献

清水裕士・村山綾・大坊郁夫(2006)「集団コミュニケーションにおける相互依存性の分析(1) コミュニケーションデータへの階層的データ分析の適用」『電子情報通信学会技術研究報告』106(146), 1-6


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