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日本美術をひも解く 皇室、美の玉手箱

2022年8月6日~9月25日、東京藝術大学大学美術館で開催。なにしろ、若冲が出ます。行ったのは平日でしたが、まあまあ混んでいました。週末はけっこうな混雑になるようです。

書と絵巻物

さすが皇室ゆかりの美術品、クオリティがおしなべて高いです。個人的に工芸より得意でない書や絵巻物も、作品ごとの筆の肥痩や書き込みの細かさの違いなどを楽しめました。やまと絵には、意外と漫画的に見える表現もあって、日本の絵画表現のDNAなのかなと思ったりしました。

動植綵絵

伊藤若冲の動植綵絵は30幅のうち10幅の展示でした。
縦長の画面の中央に、雄鶏やつがいの鶏や鵞鳥といった主役の生物がいます。画面の上部の空間を埋めるように、やや不自然にも見える姿で植物が伸びて、葉を広げたり花を咲かせたりしています。
また、背景となる川岸の地面や瓢箪などは大胆に省略した筆致で描かれ、主役の生物の異様なまでの緻密さとは非常に対照的です。
先日、茨城近代美術館で見た「雪中雄鶏図」と同じ「階調のある白」が、今回の10幅のいくつかでも、花弁や雪を描くのに効果的に使われていました。

並河靖之の七宝

いわゆる明治工芸も、木彫・金工など多数出品されていましたが、やはり並河靖之の有線七宝は美しいですね。とても好きです。本展での出品作は「七宝四季花鳥図花瓶」。大きさは中くらいの作品で、真っ黒な背景に四季の花鳥が配され、一方の正面は青紅葉、反対面は満開の桜が目を引く、いかにも並河らしい作品でした。

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