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天才・軍曹殿との楽しき農業

前日、畔切りをしていたら、鍬を壊してしまいました。しかし、翌朝行ってみると、きれいに元通りになっていました。

そう、農業リーダー・軍曹殿が直したのです。

あ、ちなみに私が「軍曹殿」と呼んでいるのは、昔、軍曹殿が「自衛官」だったというだけで、本当に軍曹だとかいうのではありません。私が勝手に、「軍曹殿」と呼んでいるだけですので、あしからず・・・。

その軍曹殿、私は天才だと思っています。一晩で鍬を直すからではありません(笑)。エンジンを直しちゃうからとかでもないです。

ご本人、気付いてらっしゃらないと思うのですが、無意識でいろんなことをされるのです。

軍曹殿の得意技のひとつが、「話し込み」です。ちょっと知っている人に会うと、どんな作業をしていても、話しかけて、そこからドップリ話し込んでしまいます

この日、私と軍曹殿で、新しく借りた田んぼの畔切りをしていました。私がちょっと田んぼを離れないといけない用事ができて、田んぼを離れて戻ってみると、作業そっちのけで、田んぼの隣のおじいさんと、ドップリ話し込んでいました

農業をやっていると、近隣の人たちとの関係が、とても大事であることに気づかされます。機械を動かすときの騒音や、何かを撒いたときの粉塵など、ご近所トラブルになりそうなものだらけです。だからこそというわけでもないですが、普段から、ご近所の人たちとのお付き合いをしておくのは、とてもとても重要なわけです。

軍曹殿が、そんなことを意識しているとは思いませんが、とにかく上手に話し込むのです。おかげで軍曹殿が使っている農地では、そういうトラブルを聞きません

そして、この日の軍曹殿の「話し込み」は、ただお隣さんと仲良くなるというものではありませんでした


少し違う話ですが、先日、軍曹殿はトウモロコシの種を大量に購入されていました。しかし、どう考えても、そんな大量のトウモロコシを栽培する場所がないのです。

私は、「軍曹殿は、どうするつもりだろう?」と、ずっと思っていました。軍曹殿も「どうしようかなぁ」とおっしゃっていたので、いよいよ意味が分かりません。栽培する場所もないのに、なんでそんなにたくさん種を買っているんだ???謎だらけです。

しかしこの日、軍曹殿が話し込んでいたおじいさんは、偶然にも私が借りている田畑の隣の農地の地主さんで、今年、何も使う予定がなくて困っているから、軍曹殿に使ってほしいと頼んできたというのです。そこはかなりの広さがあり、軍曹殿が購入した大量のトウモロコシの種、十分に蒔ける規模なのです。

ビックリです。これでトウモロコシ問題は解決となります。

こういうのを「持っている」というのかもしれません。とにかく、軍曹殿だからこそ、なせる業だと思います。軍曹殿には、そうした不思議な引き寄せる力があるのです。

ただし、天才は一筋縄ではいきません

つい先日、農業体験イベント・農業倶楽部でのことです。午前中は座学だったので、現場責任者である軍曹殿は、一足先に畑に行って、準備をするということで席を外されていました。

お昼ごはんの時間になって、軍曹殿と一緒に現場に行っていたスタッフの方は戻ってこられたのですが、肝心の軍曹殿が帰還しません。戻ってきたスタッフの方に話を聞いてみると、軍曹殿は神社の掃除を頼まれて、そっちに行ってしまったとのこと・・・。

一同、茫然です。

畑の準備、どうなってるの?てか、午後から大丈夫なの?

焦りまくります。

しかし、ここが軍曹殿らしいところでもあるのです。天才は、そんな常人がバタつくようなところは気にしません。軍曹殿には、軍曹殿のペースがあって、それですべてが回っているのです。

軍曹殿には、そうした常人には理解しがたいペースやセンスがあるからこそ、常人にはない不思議な引き寄せる力があるような気がします。

そんな軍曹殿を見ていて思うのは、人は自分の「こうあるべき」を勝手に押し付けて、カリカリしてしまうところが、多分にしてあるということです。自分が勝手に思っている「こうあるべき」なんてものは、自分一人で持っておけばいいのです。

どうしても「こうあるべき」を通したいのであれば、それは自分で何とかすればいいし、自分では何ともできないのであれば、それが本当に必要かを問い直してみればいいと思います。

トウモロコシの種を大量に買ったとて、別にいいんじゃないです?

もちろん、私だったら、絶対に買いません。まったく目処が立っていないのなら、そんなに大量に買うべきではないと思います。

けど、軍曹殿が買いたかったんだから、買ってみればよかったのでしょう。いろいろ謎でしたが、結局、栽培する畑もみつかって、万事、うまく回っているんだから、私ごときが口を挟むような問題ではありません

とにかく、軍曹殿はすごいのです。


この日の夕方、軍曹殿と話して、地這胡瓜の苗を植えることになりました。

軍曹殿のアイディアは、ここにマルチを張って、マルチの北側に一列穴を作って、そこに地這胡瓜の苗を植える(成長したキュウリのつるは南側に伸びるから)というものでした。

しかし私には、そこのスペースは狭すぎるような印象がありました。なので、何度か確認したのです。

あそこ、結構、狭いんですよね?大丈夫ですかね?

軍曹殿の答えは、「でも、まぁ、良いと思うんだよね」ということで、軍曹殿が外出している間、何人かで作業を進めてみました

ところが、出来上がりを見てみると、やはりどう考えても南側(写真の右側)のジャガイモの畝にキュウリが進出していきそうな感じなのです。

不安になった私は、たまらず軍曹殿に電話をしました。

ちょっと畝間が狭すぎて、キュウリがジャガイモの方に進出してしまいそうな懸念があると伝えると、「あー、そっかー」という反応・・・。

ぐんそうどのーーーーーっ!!!!

私が、いろいろ懸念していたことが、当たってしまったかたちです。キュウリが地面を這って伸びていくことを考えると、とてもではないですが、やはり狭いのです。

その後、軍曹殿が、外出先から畑に戻ってくるというので、それまでの間、私は「あー、やっぱりダメかー。失敗かー」などと、半ば諦めていました

そこへ到着した軍曹殿。さきほど定植したばかりの地這胡瓜をみるやいなや、「あー、これなら南側にネット張ればいいじゃん」と一言おっしゃいました。

たしかにぃぃぃぃ。

地這胡瓜だからと言って、ネットを張ってはいけないというものでもありません。ジャガイモの方に進出していっちゃうのであれば、ネットを張って、上に伸びるようにしておけば、ジャガイモのエリアを侵食しないで済みます

たしかに名案です。

こういうところが、軍曹殿のすごいところなのせす。途中、歪にみえても、最後に帳尻を合わせてきます

自分の「こうあるべき」なんて、消し飛んでしまうのです。

今シーズン、こんな天才・軍曹殿楽しく農業ができるのです。ありがたい限りであります。


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