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#60 【読書メモ】なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか

#メモ #なぜハーバード・ビジネス・スクールでは営業を教えないのか

◆民主主義がきちんと機能している社会では、ものを売ることに秀でていれば、社会階級や身分や育ちによる障害を乗り越えることができるとするものだ。偉大なセールスマンはそれだけで成功できる。この考え方によると、ものを上手に売れることは、健全な人格の証拠である。優秀なセールスマンであるからには、その人に他者を惹きつける魅力、勤勉さ、規律ある生活、信頼があるということで、そのような人物は何をやっても成功するだろうというわけだ。

◆セールスは経済を拡大させ人類を進歩させる大切な機能だと認めながらも、それを魂を売り渡すような行為だと考える人々もいる。セールスの能力は、売り手の同期次第で途方っもない善にも悪にもなる。

◆「演技ができなきゃ、誰も一秒だって世の中渡っていけないだろうよ。演じるってことは生存本能みたいなもんさ。ひどづきあいの潤滑剤なんだ。だからみんな生きていくために日々演じてる。本心を隠したり、思ってもいないことを口にしたり、感情を偽ったりして、毎日嘘をついてるんだ。」

◆営業が苦手な人間は、自分の無能さをいかにも美徳のように言い訳し、自分を納得させている。「嘘がつけないだけ」とか「押しが強くない」とか言ったりする。本当は、僕と同じでただ売り込みが下手なだけ。

◆成功とは、失敗に失敗を重ね、それでも情熱を失わない能力のことだ。ウィンストン・チャーチル

◆モロッコ人は、お客が徳をしたように信じ込ませる天才である。モロッコ人はなに一つ見逃さず、相手の結婚指輪の傷から、歯の状態、手の荒れ具合、ちょっとしたみえや、物怖じや腹の座り具合にも目を配っている。ウィンター夫妻からのアドバイスは、交渉中はいつも退屈しているように見えるべし、セールスマンがやりそうなことをこちらから先に口に出すべし、というもの。

◆モロッコ人のセールスマンはどんな質問にも速攻で答え、客の妻に向かって「しょんぼりとしたスパニエル犬のようなまなざし」を向ける。そして、「わかりましたよ、しょうがない。いくらならいいんですか」と、決して客の方から与えてはいけない情報を引き出そうとする。そう聞かれたら、駆け引きの的になっている商品をしげしげと見まわして、逆にこういうべきなのだ。「いや、そっちが値段を言ってくれ、駆け引きなんかしてもしょうがないだろう」。そして、相手が値段を出したら、ただ微笑んで何も言わないこと。

◆プレゼンテーションと物語、そして顧客のほしがるものを理解する能力。それらを通して●ジードは価値を創造し、平凡な土産物屋には夢のまた夢のような値段をつけることができるようになったのだ。

◆セールスマンの力量ってのは、ものを買うときにわかる。儲けられるかどうかは、売るときじゃなくて買うときに決まるのさ。買った瞬間に儲けが確定するんだ。売るまで儲けられないヤツは負け犬だ。

◆これは魚釣りみたいなもんなんだ。食いついた魚を無理に引っ張ると糸が切れるだろう。だから放したり、引っ張ったりり、また放したり引っ張ったりして、疲れさせる。そこで糸を巻き上げればいい。

◆打たれ強さはセールスマンだけでなく、人生での成功を望む人すべてに必要な資質でもある。それは、逆境での心の平穏を保つ能力だ。

◆勝利も敗北も等しく受け止めて、惑わされない。

◆人間の打たれ強さとは、「人生の意識を見つけようと努力する力。自分が環境や結果を変えられると信じる力。いい経験からも悪い経験からも●バベルと思う気持ち」

◆お客の動機を正しく察することは、相手の欲しがる商品を知るのと同じくらい重要だ。

◆他者を読み、戦略や行動を目的に合わせて変えることこそ、人生における成功の秘訣なのだから。

◆仕事と倫理観の板挟みで悩んだりしない。商売を楽しいゲームだと思っているのだ。

◆俺も押し売りとか、がまの油売りとか、何だかんだと言われるよ。だけど、品物が役に立たなかったり、買った人が金の無駄遣いだと思ったりしたら、いまじゃ昔と違ってネットを通して俺の評判が傷つくんだ。あっという間さ。もしそうなってたら、いまここにいない。

◆どんな商品も、家に持ち帰って自分で使ってみて、よく考えなきゃいけない。宣伝文句を思いつくまでには、すごく時間がかかるんだ。その場でパッと出てくるようなものじゃないんだ。

◆セールスにおけるストーリーの役割は二つある。一つは売り込みの道具としての役割。もう一つはセールスマンが自分を納得させる道具としての役割。

◆よいストーリーには、三段階の効果がある。それは、セールスのプロセスそのものと言ってもいい。まず、奇抜な言動で聞き手の関心を惹きつける段階。当たり前だと思っていたことがそうでなくなり、目の前に問題が現れる。聞き手は危機意識を抱き、どうしても答えがほしくなる。次は、問題を解決しようともがいたり、敵(人間的、感情的、現実的な障害)に勝つために努力する檀家。そして最後は、解決法を提案し、徴収を行動に駆り立てる段階。アリストテレスが『詩学』に描いた悲劇の三段階とまさに同じことだ。事件が起き、悩みもがき、最後にそれが解決される。

◆いい話で聴衆の気分を盛り上げるコツは、これを貰えばヒーローになれると思わせること。

◆優秀なセールスマンは、どんなストーリーが相手の心に訴えるかを敏感に察する。その人にとってのヒーローストーリーはどんな話だろう?この買い物で、何を得たいのだろう?誰に認めてほしい?理想の人間像とは?部下のセールスマンを鼓舞する立場にある管理職もまた、同じことを問いかける必要がある。部下は仕事から何を得たいのか?どうしたら彼らのヒーロー願望を実現させられるだろう。

◆ラパイユは、数企業で毎週セールスマンたちとミーティングを持ち、その週に受けた「ノー」の数を訪ねていた。すると受け取った「ノー」の数が多いほど、売上の金額も多いことがわかった。それらの「ノー」は、彼らの努力と創意工夫の表れだったのだ。「ノー」の多いセールスまんほど、顧客への訪問回数が多く、新たなことを試し、失敗も重ねていた。そのことは、拒絶に対する打たれ強さを示すだけでなく、一旦相手に受け入れられたらそのチャンスを限界まで活用する積極性をも表している。たとえば、お客さまがすでにドレスを二着とベルト、セーター、上着まで買っていても、優秀なセールスマンはまだ進め続ける。「お洋服にぴったりの靴はいかがですか?」。こうしていると、商談はかならず「ノー」で終わるはずだが、そこに至るまでに十数回の「イエス」があるのだ。

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