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大 杉 栄→菊 池 與志夫 宛書簡

       □
 神と國家の飜譯はありません。
 又、僕も今それを飜譯して見ようと云ふ氣もありません。
だけれど、國家論としてはクロポトキンの『國家論』の方がずつといいからです。そして神に就いては、今日の僕等には殆んどもう何んにも云ふ必要がないからです。
 尤も今、遠藤無水といふ男が『神と國家』の飜譯をあちこちの出版屋へ持ち歩いてゐるさうですが、よしそれが出ても、僕はあの男のものはちつとも信用しません。
 猶バクウニンに就いては、僕は今單行本を書く準備中なんですが、多分來年正月號の『改造』には『マルクスとバクウニン』と云ふ題で、其の一部分の發表が出來ようかと思つてゐます。
 おひまの時に、お遊びに御いでなさい。僕は今駒込片町十五の勞働運動社にゐます。吉祥寺前停留場から少し先きの、駒込警察の筋向ひです。
   十月十八日(大正十一年)
                    大   杉    榮
     菊 池 與 志 夫 樣
(本郷區駒込片町十五から牛込區河田町へ)
       □

大杉栄全集第四巻、p.566,567,大正15.9.8


※ 大杉榮氏を憶ふ (上)

※ 大杉榮全集

※ サムネイルはミハイル・バクーニン。



#大杉栄 #バクウニン #クロポトキン #マルクス #大杉栄全集


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  ↑大杉榮氏を憶ふ (上)

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