9歳の誕生日に寄せて
こどもが9歳になった。
私が19歳になるとき、とても怖かった。
傲慢で、貪欲で、プライドが高くて、他人が怖くて、一方で怖いもの知らずだった私は、何ものでもない、ただの、ふつうの20歳に、成人になってしまうことが怖かった。
29歳になるときは、まだちょっとざらっとした苦さを感じていた。
39歳にはもはや何ともなくなっていた。
凡庸な自分を受け入れたのかもしれない。
家族ができて、就職もして、安定したのかもしれない。
9歳の娘に、9歳の感想を聞いたら、
「来年は10歳で、二けたになるから楽しみ」という。
あなたが、自分で自分の成長を喜んでくれることが嬉しい。
まだ一緒に寝て、鬱陶しいと思ってしまうときもあるほど甘えん坊なあなたが、家の外ではしっかりしているとか大人びていると言われているあなたが、自分で自分のことを愛してくれたら嬉しい。
私は、とても自己中心的な人間だから、あなたと対立することもあるけれど。
あなたがカラオケで何十回といれて歌うのが好きなCreepy Nutsの「Bling-Bang-Bang-Born」のとおり、生身の自分で行けるとこまでいっちゃってほしいし、「可愛くてごめん」のとおり、自分の味方は自分であってほしいよ。
「ザマア」とは言ってほしくないけどね。
誕生日、おめでとう。
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