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「匂い的にダメだ」を掴め〜店舗事業トップが語る、仕事を広げる“無駄話”力〜

2023年9月に関西初の旗艦店「@cosme OSAKA」がオープンするなど、生活者とブランドとの出会いの場としての店舗づくりを推し進めるアイスタイル。ようやくコロナが明け、大きな転換点に立っている店舗事業を取り仕切るのが、店舗カンパニー長の北尾悠樹さんです。
今回は北尾さんに、仕事を円滑にするための「仕事の極意」について、話を聞いてみました。

北尾 悠樹さん
株式会社アイスタイルリテール 取締役 店舗カンパニー カンパニー長

2001年、P&Gジャパンに入社。営業とトレードマーケティングを約12年間経験。2014年からはアマゾンジャパン合同会社にて約8年間、ビューティー事業部の事業部長などに従事。 2022年8月からアイスタイルに入社し、初めての実店舗事業の運営に携わる。 現在は店舗カンパニー長として、変化する業界環境に対応しながら、これまでの経験を活かして実店舗とデジタル領域を融合させたアプローチを推進中。

無駄話を通して、相手の“常識”を探る

―今回は、北尾さんに仕事の極意についてお聞きしたいと思うのですが、ずばり、大切にしていることはありますか?

極意というほど大層なものでもないのですが、あらゆる場面に関わるという意味では「無駄話をすること」は常に大事にしていますね。というと、突拍子もないのですが…(笑) 
つまりは、雑談をしましょうということです。雑談の役割って何かというと、「情報を収集すること」、そして「相手の常識(基準)を把握する」こと。これが、仕事においてすごく重要な意味をもつと思っています。

ー北尾さんは部署の壁なく色々な方とフランクに話している印象がありますが、「相手の常識を把握する」という観点は新鮮ですね。

これまで色々な環境で働くなかで痛感したのですが、自分にとっての当たり前は、他人にとっての当たり前ではないんですよね。
言われれば簡単なことですが、すれ違いに気づかないままコミュニケーションを取ってしまい、不具合を起こしている場面をよく見かけます。

ーたしかに、こちらの意図が相手に正確に伝わらなくて悩んだ経験って、誰しもある気がします。

そうそう。例えば、「1 + 1=2だ」と相手に抵抗なく受け入れてもらえるのは、お互いに“足し算”という共通の概念を持っているからなんですよね。

でも、ビジネスの世界だと双方が共通の基準を持っていない場面の方が多いです。なので、相手がどんな軸で考えているのかをきちんと把握する努力が必要になってくると思います。そのうえで、相手に理解してもらえるように伝え方や伝える内容を工夫しないと、伝えたいことが正しく伝わらずトラブルの要因になってしまいます。

基準を把握するためには、やっぱり「無駄話」が大事だなと思いますね。なので、私は常に相手にとって「無駄話できる相手」でいようと意識しています。

無駄話もできないような関係性の相手に本心(考え方の基準)を語るのって難しいじゃないですか。「機嫌を損ねたらどうしよう」と思う相手には、無意識に情報を取捨選択してしまうと思うんですよね。

自分に、情報を伝える価値はあるか

―「無駄話できる相手でいる」というのは、北尾さんらしい表現ですね。

もちろん、そのためには「自分に無駄話をする価値がある」と思ってもらえることが必要です。

例えば、チームメンバーから「相手に情報を共有してもらえていなかった」と相談されることがあるのですが、視点を変えれば、相手から「伝える必要がない、伝えにくい」と判断された、とも言えます。
必要な情報を入手したければ、自分に情報を共有する価値があると相手に感じてもらわなくてはいけない。結局人と人とのやり取りなので、情報をもらえる自分になることも重要なんです。

「無駄話できる相手」でいるために、相手にとっての「自分の価値を上げていく」努力も大事だと思っています。

ー ビジネスにおいても、「雑談」が活きる?

間違いなく、ビジネスにおいて強みが大きいのは、情報を多く持っている人だと思いますね。
ゼロイチで新しいことを生み出せる天才肌タイプはもしかしたら別かもしれませんが…。(笑)

でも、イノベーションってゼロイチでなくても生まれると思うんです。ある事柄と事柄を掛け合わせることで、新しいビジネスが生まれることが、世の中には多くありますよね。

色んなところから情報を仕入れていると、その一つひとつは世の中の初めてではなくても、一緒になったら面白いことができるな、と感じることがあります。
その“新しさ”に気づくためには、誰よりも情報が入ってくる環境を自ら作っていくことが強みになるはずです。

「匂い的にダメだ」を掴む

ー 「いかに情報を集められるかが大事」ということですね。情報を活用していくうえで、大事なことはありますか?

「数字だけにとらわれすぎない」意識は必要だと思います。私はよくチームメンバーに、「ロジックとは納得感があること」という話をしています。これは、「ロジック」という言葉は、「数式的に正しいこと」とは同義ではないという考えです。

昔はロジックと言われると、数式だけだと思っていたんですよね。でも、この二つを混同すると、「数式的には正しく見えるけど違和感がある」ときに、手をあげて意義を言えないんです。

しかし現実では、数式的な説明ができなくても、定性的に納得感がある場合には結果としてうまく物事が進む、ということが何度もありました。

数式が無くても納得感があることは存在している。なので、数式は納得感を得る一つの手法にすぎないのだと、理解しておくことが大事だなと。

そして、納得感を得られない場合には、その感覚をしっかりと拾いあげていかなければなりません。自身の「匂い的にダメだ」という感覚を取りこぼすことなく掴んでいく、その意識を常にもっていなければならないと思っています。

また、「匂い」を嗅ぎ分けるためには、数字だけではない世界でいかに情報を集められるかが肝になります。
もちろん、定量的に物事を捉える視点を磨くことは重要です。一方で、例えばマーケットで起こっている事実同士を比較し続けたり、無駄話を通して色々な人から血の通った情報を集めたり。時には、過去のトレンドの変化を説明できるか自問自答してみたり。その繰り返しによって定性的な感覚も研いでいくことで、次の一手が見えてくるのだと思います。

どんな場面であっても、自分と他者の納得感に徹底的にこだわっていきたいですね。

北尾さんも出演、「店舗が切り開いた未来」について語るインタビュー記事はこちら。

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