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フォーゴトンレルムドラフトメモ

(7/12追記:黒一強と誤解されそうな内容になっていたため、色の強弱を追記。)

(7/13追記:黒と緑の比較の部分を修正。緑も一応宝物生成できるが手段が限られる。)

7/9からMTGAで新セット「フォーゴトン・レルム探訪」がリリースされました。リリース直後からやり始めて、土曜夜にピック終わったデッキを今日回してミシック到達しましたので、この辺で一回整理しておこうと思います。

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珍しく順位が高い

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勝率67%は上振れ感ありますね

概観

どちらかといえばテンポ環境だが、バリュー重視構築が必要な環境。

赤・白に2マナパワー3が二体いるにも関わらず、全色の3マナ~5マナ生物のタフネスが軒並み3に抑えられているため、先にパワー3を押し付ける方が優位に立ちます。

パワー3・タフ3のやり取りが主になることから、普通にやると1:1の交換になりがちで、ゲームが長期化するため、デッキの上から引く数が双方多くなり、かつSTXのように占術はないので、引きのブレが発生しやすくなります。そこで差をつけるために必要なのは「一枚の価値が高い生物を使うこと」「ダンジョン探索をすること」の二点を用いることが大事と思っています。

(7/12追記)また今回レアが対処されやすいようになっていることも、本環境の特徴であり、長期化しやすい要因ですね。

残りの要素(回避が大事、除去は偉い、とか)は基本セットですねという感じなので割愛します…

※もう少し付け加えると、カルドハイムと違って全体除去がほぼないため一手一手進めた積み重ねが一瞬で無になる、といったことがありません。細かなアドバンテージの積み重ねが勝敗の差に結び付きやすい環境だと思います。

ダンジョン探索について

フォーゴトンレルム(以降、AFRと表記します)にはダンジョン探索というメカニズムが用意されています。

ダンジョン探索の動き(ルール)は次の三点。

・ダンジョン探索を行うと、用意された3つのダンジョンに入れる

・ダンジョン探索を行うと、ダンジョン毎にメリットを享受できる

・ダンジョンを全て探索したら踏破扱いとなり、次回のダンジョン探索は3つのダンジョンを選んで探索していく

用意されているダンジョンは次の3つ。

迷宮

狂える魔導士の迷宮(以下、迷宮)は探索回数が多く踏破に時間がかかるものの、徐々に効果が大きくなっていくタイプ。

鉱山

失われた鉱山(以下、鉱山)は探索回数が4回で済むが、探索ごとのメリットが0.5~1マナ程度。最後の1ドローは2マナ相当。

墓

魂を喰らう墓(以下、墓)は探索回数が最小3であるものの、最短ルートは自身のみデメリットを負う必要があり使いづらい。ただし、最後の4/4接死が5マナ相当の生物のため、探索の恩恵が大きい。

さて、どのダンジョンを見ても分かる通り、探索回数を増やせば増やすほど比例して効果が大きくなっていく構造になってます。つまりは「探索を多く出来るデッキ」が基本的に有利です。ゲーム外からアドを得られるわけだから当たり前ですね。

上記の意見はプレイヤー目線でのメカニズム評価ですが、実際にこれを使えるメカニズムになっていないと話になりません。さて、ここでもう少し上の目線(設計側観点)で本セットを眺めると、新しいメカニズムを使って欲しい(探索を多く実行してほしい)=ゲームが長引くように設計されてるだろうと推測できます。探索を何回も行うには、ゲームが長くなる必要がありますしね。(だからアンコ・レアが除去で対処されやすくなっているのかなとも思えます)

※上の観点の部分を掘り下げると、生物のパワータフネスも3/2と2/3のどちらが強い?の回答も自ずと出てきます。コモン範囲だと2/3が多いですが、各色アンコモン以上を見るとパワー3・タフ3で設定されている、かつ高マナ域でもタフ3が多いため、単体で見た場合に高マナ域とぶつかれるパワー3のほうが有用な生物ですよ、と言われています。

ダンジョン探索の立ち位置について

さてダンジョン探索を出来たほうが基本的に有利なんですが、正直なところドラフト環境では踏破を狙うのは少し難しい…といった感想です。お互いゆっくりなら鉱山・墓は踏破可能で、迷宮は相当頑張る必要がある印象。

そのため「探索はおまけ程度で考えて、サイズ差・シナジー等のバリューを押し付ける」ほうが勝ちやすいです(基本セットと同じなので、わざわざ言及するまでもないようにも思えますが…)。色んなカードに「ダンジョン探索を行う」テキストがありますが、マナをかけない・ついでに探索するといったカードが強く、2マナ以上かけて探索するカードは弱いです(テンポ損)。マナを支払って探索するカードはフラッド受け程度に考えましょう。

なおプール上の探索の数で言えば、エスパーカラーに探索を行うカードが多く配られており、グルールカラーは(探索を行えないわけではないものの)探索は苦手な部類に入ります。

少し話は逸れてしまいますが、グルールカラーは各色に用意された探索以外のメカニズムで戦うことになりがちで、加えてピックの受けが狭くなりやすく、かつプレイ面では地上戦を打破する手段が除去・貫通能力頼りになるため、安定性に欠けるアーキといった印象です。(14回中1回もやってない、赤緑が高かったのもありますが…)

(7/12追記部分↓)

色の強弱

さて、「探索は出来るだけ使いたい」「グルールカラーは探索苦手で、エスパーは探索得意」・・・ということはエスパーが板!?

とはなりません。

ダンジョン探索を苦手とする分、赤は他色よりも強めのカードパワーになっています。緑はダンジョン探索も多少出来るものの、赤よりもカードパワーは控えめです。

色々な見方はあるとは思いますが、自分の中では色の強弱を現状

赤>黒≧緑>白>青

と考えています。

赤はこの環境で唯一2マナ3点除去を有しており、今回この点数は多くのアンコ・レア対処が可能で、コモンアンコでも4マナ~5マナ生物を2マナで処理可能になっています。また2/3/1集団戦術で先制のつく「ホブゴブリンの隊長」がただただ強く、集団戦術達成時の受けづらさは屈指のものです。

ホブゴブリンの隊長

タフ3生物の多い環境下でパワー3先制で攻められる強み

極端なことを言ってしまえば、2T目から隊長→隊長→ドラゴンの火→ドラゴンの火とすれば、それだけで勝ててしまうのではないかといった勢いです。先制+火力ならタフ6まで対処可能なのも〇。

また赤はメインからファクト破壊が可能な「略取するバーバリアン」を擁していることも強さに拍車をかけています。

略取するバーバリアン

やることなくても実質2マナ2/2で使える。タッチカラー用としてもファクト対策としても便利

今回どの色を見渡しても装備品が多く、レアファクトも散見されるため、メインファクト破壊は腐ることがないでしょう。

こうした「低マナ生物の優秀さ」「低マナ火力・ファクト破壊に起因する対面カードへの対応力の高さ」が赤を一強に据える理由です。

次点で黒と緑をほぼイコールとしてますが、これは人によって意見が分かれるところかと思います。それぞれメリット・デメリットを整理すると、

・緑のメリット

除去が使いやすい一方格闘ビーム、置物破壊が出来る、概ねアンコ以上になるが探索もこなせる、先手後手を返しやすいバットリを持っている

・緑のデメリット

地上戦を打破する手段が頼りない、低マナ域にアーキ専用カードが多い(丸いカードは4マナ以上に集中している)=ピックに影響する、コモン範囲だと探索は1~2回がせいぜいで連続した探索はアンコ以上要求されてしまう

・黒のメリット

確定除去を持つため対応力が高い、装備品が強く攻め継続力が高い、コモン範囲に探索を行うカード4種(3/2/2接死、4/4/3PIG、5/3/5終了ステップ開始時生物死亡してたら、-2修正の4つ)用意されており探索の恩恵を享受しやすい、宝物を出すカードが多いためタッチがしやすい

・黒のデメリット

エンチャサクリは出来るが置物破壊ができない、コモンの低マナ生物がやや頼りない(1/3や概ね熊、2/1というラインナップ)ため低マナ除去への依存が高い

といったところでしょうか。

どのデメリットもサブカラーで補うことが出来る範囲ではありますが、このうち緑がどうしても出来ないものが宝物生成です。

(7/13追記:全くできないほどではないので訂正。アンコモンの「裕福な亭主」とコモンの「君は呪いの彫像を見つけた」が生成できます。ただ黒に比べるとやはり不得意。)

宝物生成によって、使えるマナ域が広がる=2アクション取るターンが早くなるため先手後手を返しやすいor高マナ域へのアクセスが早いorボムタッチしやすい、といった作用があります。これは黒だけが持ちうるメリットであるため、その点を加味して黒をやや優位と位置付けています。

白、青は簡単に記載します。

まず白ですが、能動的に使えるコモン除去が「相手に宝物を献上する」カードしかないことが痛手です。アンコですが能動的に使えるポータブルホールも2マナのパーマネントまでのため、除去したい高マナ生物を除去できません。そのため戦闘を介して「結集の策略」を唱えることが一番強い除去手段になります。

結集の策略

一枚でひっくり返せるバットリ

またコモン~アンコまで含めて、初期サイズが頼りない生物が低マナに多く(唯一頼れるのは2/3/1、2/2/2のみ)、何かしらのサポートを必要とする生物が多いことが明確に弱い点です。唯一頼れる攻め手段はゲインシナジーと飛行といったところでしょうか。

不動のパラディン

天界のユニコーン

アルボレーアのペガサス

ライフリンクで止めて飛行で攻める

他にもブリンク・ドッグに装備付けて殴る、などもあるかと思いますが、どちらにせよ工夫した攻めを要求されるプールになっていると思います。

青は単純にアンプレがやや多めで、低マナ生物も頼りない・勝たない生物が多い、という印象です。他の色で攻め手段を確保できているなら、テンポを取ったりボム対処したりといったサポート部分は優秀なため、サブカラーとしては使いやすい色だと思います。トゥルー・ポリモーフ好き。

トゥルー・ポリモーフ

6マナは重いが、自他問わないため柔軟性の塊。相手の伝説ファクトを二つにするようコピー→伝説ルールで厄介な生物落としたり、自分の生物を一番強いカードにしたり。

以上がフォーゴトンレルムにおける色のバランス想定になりますが、以降の記載では「赤が一強であること」を前提に書いていますので、その点ご承知おきください。

(7/12追記部分ここまで)

生物と除去バランス、ゲームプラン

(7/12前文の記載を一部修正。)

さて探索はおまけ程度に考えたほうがよく、基本の動きが大事であることは「ダンジョン探索の立ち位置について」で述べましたが、ここでは生物と除去のやり取りに注視して意見を書いておきます。

AFRでは主にパワー3・タフ3でのやり取りとなることは概観で述べましたが、これはコモン~アンコに限った話ではなく、今回レアまで含めてもタフ3までの生物が非常に多いです。

オルクス

ドリッズト・ドゥアーデン

タフ4だったらしんどかったであろうレア生物たち

おそらくこれは白の攻撃生物に5点(装備品でタフ+2されても落とせるように)、赤の2マナ3点で落とせるように、といった配慮かと思われます。対処しやすいレアを多くしておき、ボムゲーで短期に終わらないようにしているようです。

生物が除去で対処しやすい数字になっているため、要所を除去しやすい・膠着させやすいゲームになっています。つまり、ちゃんとやりとりしていくと結果的にお互いにらみ合い…となりがち。(何もバックアップないと4/3~5/3が3マナパワー3で止まったり、となるから)

こういった膠着状態になった場合「膠着状況を動かす手段へのアクセスが早く出来るか」が必要になりますが、そこでダンジョン探索の占術やサイズアップが活きてきます。(だから探索を苦手とするグルールがあまり好みではない)

ただ「そもそも膠着状態にさせない(常に攻めれる状況にしておく)」ことが一番の解決法でもあるため、このメモではこちらを重視します。膠着状態になりづらいが、なってもダンジョン探索で解法アクセスが早いデッキが強いからです。(リスク回避でダンジョン探索を使うイメージ)

膠着させないために用いる攻め手段は飛行やアンブロといった回避能力であり主にエスパーカラーが使う回避手段ですが、ではその中でどれを使うのが良いのか。

黒を使おう

エスパーカラーの中で使うべきなのは黒一択だと現状は考えています。青は単純にアンプレが多く、白は能動的に使える除去がなく、かつ装備品も単なるサイズアップ止まりが多いため。

黒は当然確定除去を持ってることの強みもありますが、コモンに割り当てられている装備品が使い勝手が良いです。

盗人の道具

自身で宝物供給できるため、装備までは実質3マナ(2T目キャスト→4マナ生物に繋げても良い)。またパワー3以下ならアンブロはかなり範囲が広く、3マナ~4マナ生物までアンブロに出来ます。

ギルドのシーフ

こいつはこいつで強いけど立場がない

このほか墓所のグールにつけて、ダンジョンから出てきたor群がるゴブリンから出てきたゴブリンをサクってアンブロ4点を入れ続けるといった動きもあります。

墓所のグール

2マナのハスク(大嘘)だけど強い

これはZNRで例えるなら「密航する案内人」「グロータグの虫捕り」のコンボに近いかと思います。(不要生物をサクる必要はありますが)

密行する案内人

虫捕り

このコモンコンボ強かったね

また黒はタダでダンジョン探索できるコモンが多く、その点でもアドバンテージを稼ぎやすい色になっています。3マナ-2/-2修正、死亡時探索の4/4/3、自分相手どちらでも良いので生物死んでいたら探索するゾンビオーガ(見た目よりも強かった)とラインナップ豊富。

ただ黒は置物に触れない色のため、赤・白・緑・青のどれかに頼る必要があり、このうちファクト破壊が自然に塔載できて、かつコモンカードが強い赤が相方としては最適です(もしくは緑)。装備品はマナ食うテンポをリスクにした縦攻めになるため、確定除去でテンポ崩すことが間接的な対処にはなるんですが、それはこちらがある程度攻めてないといけないので、根本的な対処は必要・・・

さて黒に赤を組み合わせるのが最適と述べたところで、7勝した赤黒デッキの一例を貼っておきます(後ほどおまけでも7勝デッキをいくつか貼りますが、赤黒の比率が高いです)。


カレインが二枚と神話レアドラゴンがあるため再現性が高いかどうかで言うと微妙なところですが、基本的には早期に4~5マナ生物をキャストして押し込んで、相手の生物は除去、詰まってきたところは全体威迫・探索で墓を選択してライフルーズを迫る・アンブロ生物で削るといった詰め手段になっています。

偽りのパラディンでアンブロ生物をパンプ出来るため、土地が多少多くても打点が上がるだけで困らない。かつ装備コストも必要なため、土地は17にしています。宝物がなくても4~5マナアクセスは安定させたい、というのもあります。

結論

さてここまで長々と書きましたが、一言で纏めると「赤黒が板!」ということです。

これからドラフトを遊ばれる方は「赤と黒を軸にどのアーキタイプに入るか考える」「青は基本的に避ける」の二点だけ抑えてプレイすると、良い結果になりやすいかと思います。

今後、研究が進んで実は別アーキが全然強かった~ということもあるかと思いますが、リリース後数日経過時点の所感ですので、その点ご承知おきください。

フォーゴトンレルムドラフトのメモは以上となります。ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

以下にはおまけで7勝デッキ例を4つ貼っておきますのでご参考までに。17landsが不調なのか対戦ログまでは見れませんが、ピック譜は見れるようです。

【おまけ】

他の7勝デッキ ランク帯は上からゴールド~ダイヤ帯です。

赤青テンポ ミーティアスウォームが強いだけ

赤黒 赤の2/3/1を置いて除去連打(リッチが殴ることはなかった)

緑白 ライフリンク熊3体がアグロ殺し(最終的に土地が殴る)

赤黒タッチ青 ミーティアスウォームが(略

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