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復帰。サッカー選手がピッチに帰ってくるということ

2024年3月10日。

待ちに待ち望んだ瞬間がやってきました。

今年最初の記事に『とても待ち望んでいる』と書いた瞬間が、ついにやってきたのです。


それは、怪我で離脱していたある選手の復帰。


本日は、厳しいリハビリをこえ再びピッチに立った一人の選手の姿と、ともに出場し戦った仲間たちの姿をお届けさせていただきます。

あの熱を、伝えられたら嬉しいです。

そのフォワードの名は、鈴木直人

FC刈谷というサッカーチームに、『鈴木直人』という名のフォワードがいます。

とても熱い、熱さそのものであるかのようなフォワードです。

昨シーズン。

FC刈谷は、最大で五日連続戦う過酷なトーナメント『全国社会人サッカー選手権大会』(2023.10.21~25)に出場し優勝。

鈴木選手は五日間全ての試合に出場し、決勝戦では、先制された後に追いつく“同点ゴール”を決めています。

(2023.10.22撮影)

そのすぐ後に開催された、『地域CL2023一次ラウンド第3節』(2023.11.12)にも出場

その試合は、FC刈谷2023シーズン最後の公式戦でもありました。

熾烈と言う言葉では足りぬほどの、すさまじい戦いの連続。

酷使し続けた体で、限界をこえてなお、前を向くためにフォワードは体を起こす――――。

(2023.11.12撮影)

2023シーズンの鈴木選手はまさに、命を燃やすが如き戦いぶりであったと思います。


その後、鈴木選手は2024シーズン契約更新を発表

でも…………

シーズンがはじまっても、その名前がスターティングイレブン、及び、サブメンバーとして発表されることはありませんでした。

怪我の治療と、リハビリのためです。


「鈴木直人はサッカーである」

観客席から見ているだけの私でもそう言い切れるほど、サッカーに全てをかけている鈴木選手がサッカーをすることができない。

強く責任感を持って戦い、チームに、サポーターに、応え続けてきた鈴木選手が試合に出ることができない。

その苦しみを想像すると、胸が張り裂けそうでした。


でも、鈴木選手は前を向いていました。

試合会場に姿を見せ、出場する選手たちの手伝いをしたり、体を動かしたり。

(2024.2.25撮影)

さらには笑顔を見せ、時に自身のSNSでメッセージを発信し「鈴木直人は必ず帰ってくる」という安心と希望を、私たちに与え続けてくれたのです。

(2024.1.28撮影)

2024年3月3日の試合会場では、齋藤雅之選手(8番)とともに観客席に向けてエンブレムをアピール

(2024.3.3撮影)

その心は、常にチームとともにあることを改めて示してくれました。


鈴木選手の復帰を待つ間、常に二つの感情が私の心の中にありました。

「早く戻ってきてほしい」

「時間がかかってもいいから、しっかり治してほしい」

矛盾するかのように聞こえるかもしれませんが、この二つの気持ちは同じ温度で、同じ質量で、心の中にあり続けたのです。

勇者の帰還

2024年3月10日。

愛知県にある『フットボールセンター愛西』にて『第47回愛知県社会人サッカー選手権大会 兼 第60回全国社会人サッカー選手権愛知大会 3回戦』が開催されました。

対戦相手は、名古屋サッカークラブ。

その試合に…………

ついに、鈴木直人選手が、サブメンバーとしてベンチ入りしたのです!


この試合は、鈴木選手が観客席に向かってエンブレムをアピールした3月3日の次に来た公式戦。

素直な感想を言わせてもらえば…………

「かっこよすぎる!」

まるで、熱血漫画の主人公のような帰還。

これまでの日々に続く形で、鈴木選手の“真っ向勝負な生き様”を見せられた私は「そうだ、鈴木直人は鈴木直人なんだ。鈴木直人は鈴木直人だ」と、固く握りしめた拳のように思ったのです。


私には、ずっとずっと決めていたことがありました。

「鈴木直人選手の復帰を撮り、記事を書く。絶対に」

鈴木選手は試合前のウォーミングアップから、激しく体を動かします。

その躍動は、鈴木選手が懸命なリハビリを行ない、戦える体に仕上げてきた証明。

闘志と勇気に満ち溢れた、体、表情。

離脱前と変わらぬ、いえ、さらに激しい煌めきを持ったサッカー選手の姿がそこにありました。


開始された前半戦。

ピッチサイドより、戦う仲間を真剣な瞳で見つめる鈴木選手からは「いつでも出場できる準備はできている」という、燃え盛る炎の中で冷たい氷を維持し続けるかのような集中力を感じます。

そして、ハーフタイム。

鈴木選手が、再びピッチ上へと現れました。

気迫あふれる、戦いの準備。

サッカーボールを、蹴る姿。

「やはり、鈴木選手はピッチの上が似合う」という思いとともに、出場への期待が高まります。

そして…………

後半戦開始直前。

鈴木選手が、ユニフォーム姿に!!!!!

そして………………………………!

ついに、ついに、ついに、鈴木直人選手が! 

試合に出場するために! 

ピッチへと足を踏み入れたのです!

私の眼はとうとう、涙をとどめておくことができなくなりました。


でも、涙を止める必要はありません。

この涙は、命を走らせる血液のような涙。

涙で視界がにじむならば、拭えばいいだけです。

前を見続ければ、鈴木選手の姿が見える。

何度でも涙を拭いながら、前を見続ければ良いだけなのです。


鈴木直人選手が、仲間とともに円陣を組みました。

鈴木直人選手が、ハーフウェイラインへと向かいました。

鈴木直人選手が、脚をしっかりと伸ばしました。

そして、ホイッスル。

鈴木直人選手が、駆けだします!

待ち望んだ、心の底から待ち続けたその姿。

大地を置き去りにするかのような、“いきなりトップスピード”のダッシュ。

体を張るという言葉そのものかのような、その、背負い方。

活路を切り開く、その、肉体の強さと使い方。

鈴木直人選手が、直人選手が、鈴木直人選手がピッチで戦っている!

ファインダーの向こう側に見える世界が、涙で見えづらい。

でも、涙でぼやけた視界でも、はっきりと熱が見える。

仲間とともに戦う鈴木直人選手の熱が!

全力の鈴木直人選手とともに全力で戦う仲間の熱が!

ああ、復帰した選手が、仲間とともに走る姿のなんと美しいことか!

そして、鈴木選手は示します。

今ここに「鈴木直人がいる」という事実を。


ボールに火をつけ撃ち込んだ、力強いゴール!

さらに、二発目のゴール!!

さらにさらに、三発目をたたき込む!!!

合計、三ゴール。

鈴木選手は、復帰初戦でハットトリックという圧倒的な存在感をもって証明してくれたのです。

「鈴木直人は、勝つために帰ってきた」と!


これだけ決めても、鈴木選手は止まりません。


試合終了のホイッスルが鳴り響くまで、走り続ける。

試合終了のホイッスルが鳴り響くまで、正々堂々戦い続ける。

誰であろうと、止められぬ魂のフォワード。

それが、FC刈谷の9番 鈴木直人選手なのです。

2024年3月10日 出場メンバー写真

鈴木直人選手の復帰戦となった、2024年3月10日。

ここからは、この日の出場メンバー全員を“戦う姿の写真”で紹介させていただきます。

鈴木選手と!

鈴木選手とともに戦った熱きFC刈谷の戦士たちの姿を、ぜひご覧ください!

試合情報

第47回愛知県社会人サッカー選手権大会 兼 第60回全国社会人サッカー選手権愛知大会 3回戦
対戦チーム:名古屋サッカークラブ
開催日:2024年3月10日(日)
会場:フットボールセンター愛西
キックオフ:10:00

⚽試合結果
8-1
FC刈谷WIN

⚽得点者
大友千裕選手(10'/65')
大島遼介選手(18')
齋藤雅之選手(38')
田中彰馬選手(40')
鈴木直人選手(46'/59'/77')

出場メンバー

1番 山本伊織選手

2番 大島遼介選手(18' ゴールシーン)

4番 佐々木宏樹選手

6番 石田和成選手

8番 齋藤雅之選手

10番 尾﨑僚選手

11番 大友千裕選手(10' ゴールシーン)

20番 田中彰馬選手

23番 園田新一郎選手

24番 武下智哉選手

25番 石坂亮人選手

9番 鈴木直人選手(交代出場 HT')

13番 馬場琢未選手(交代出場 52')

26番 佐田正舟選手(交代出場 52')

27番 笹ヶ瀬友都選手(交代出場 52')

17番 清水雅仁選手(交代出場 64')

鈴木直人選手ありがとう、そして――

今、鈴木選手の写真を振り返る私の中には、とてもシンプルな激情があります。

「人間は、一生懸命でいていい」

「人間は、走り続けようとしていい」

「そうすれば、また、走ることができる」

「ああ、鈴木直人選手のいる時代に、FC刈谷を好きになってよかった」

出場できない間も、鈴木選手はチームとともにあり、鈴木選手はサポーターとともにあり、勝利と未来のために戦い続けてくれたこと。

とてもとても、とても伝わっています。

だから今、この言葉を言うのは適切ではないのかもしれません。

でも、言わせてください。

「おかえりなさい」

「鈴木直人選手ありがとう、そして、おかえりなさい!」

あなたに最も似合う場所である“サッカーの試合”へ。

魂のフォワード鈴木直人選手、復帰、おめでとうございます!

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