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渋谷スクランブル交差点、高円寺ツアー、私たちは何を見て暮らしているのだろう。

Vol.106
インバウンドで多くの外国人が来日している。
そして渋谷の交差点といえば、もう観光メッカにもなっているほどなのだろうほど、外国人で溢れている。
信号が赤から青に変わるのを待ち遠しいかのように、みんな嬉しそうに携帯やカメラを持っている。そして青になった瞬間に笑顔とともに渡る。
ハチ公前広場から斜め前のTSUTAYA Qフロントまでの距離約36mを何度も何度も往復して楽しむ。

しかし一方の住民や日本人にとっては、こんなに外国人でごったがえそうが、渋谷スクランブル交差点はただの交差点である。このスクランブル交差点と、そのちょっと先の109前交差点と一体何が違うというのかさっぱりわからないが、このスクランブル交差点を通る時にセルフィーや動画を撮りながら渡るのが良いらしい。

観光目線にも、無料で楽しめるアトラクションといえば、かなり良い観光スポットだとも言えよう。

私たちは何を見て、彼らは何を見ているのか。

最近思うこのちょっと超越論的な反芻疑問なのだが、なぜ外国人はこれほどまでに笑顔で日本に滞在しているのかと思う。
あちこちで会う、見かける外国人のたいていはにっこり笑顔で日本を満喫している。
それは私たち側としてもとても嬉しいことだろう。

しかし一方で、海外で暮らしたいとか日本は終わっているとかいう声と共に日本を脱出したい日本人の声もよく聞く。
これだけの外国人が笑顔で日本を楽しんでいるのに、私たちは日本に疲れてしまっているのはなぜか。

まぁ住んでないから当然でしょ。

それに尽きるのだろうけど。これはイタリアでも同じことだ。
イタリア人も、イタリアから脱出したい、イタリアは終わっていると口に溢す人が多い。しかしながら日本人は、イタリアいいよね! とまんべんの笑顔で褒めてくれる。

「仕事するなら日本、休暇をとるならイタリア」

そんな問答を日本に長いイタリア人と会話したことがある。
もうだいぶ前だが、私がイタリアに引っ越して間もないころだった。
「よくイタリアで暮らそうとしたよな」と、開口一発目がそうだった。
「なかなかみんな親切でいいよ」と答えれば、
「イタリアのなにがいいの?」 とさらに質問は続いた。

おいおい、君はイタリア人じゃないのか? と言いたいところだが、私も何がいいのかとそれなりに答えたら、彼からの追い討ちはこうきた。

「それって観光ですよね」と。
あの有名な句が日本で浸透する前の15年前ごろにイタリア人に言われた言葉である。

バールのカプチーノが美味しい、ご飯が美味しい、人が親切、なんかイタリアの穏やかな時間とか、景色が素敵とかそんな程度しか私も言ってなかった。
そう、イタリアで暮らしてはいても、イタリアの制度とかその当時は思いもしなかった観光の感想みたいなことしか言えなかった私だった。
そして仕事の請け合いも日本で受けることが多い手前、その背景も考えて彼は結論としてこう括った。

「仕事するなら日本の方ができる。でもバカンスするならイタリア」。

ぐうのでも出なかった。

目線を変えて生活すれば、美しい日本がある気がする

私が愛読する日経新聞の春秋。
その6月19日に、このような記述があった。

「海外の旅行業界関係者を招くと「東京の素顔にふれられる」と好評で、さっそく高円寺体験を組み込んだ日本ツアーが登場した。」

日経新聞2023年6月19日春秋

高円寺へのツアー?! 高円寺がツアーに???

と、こんな感じで思うのは私だけではないと思う。

ツアーが開催されるくらいなので、高円寺には外国人にとって素晴らしい日本が映し出されているのだろう。
東京の素顔が高円寺にあるというのは、私も東京暮らしが長いとはいえども初めて知ったことだった。
いや、高円寺は魅力的な街だが、私としては大学生活を長く過ごした吉祥寺に愛着がある。そして吉祥寺こそ、住みたい街No.1にも選ばれているのに、なぜ同じ中央線沿線で高円寺なのか? と。

なので、これからは日本帰国の際に、ちょっとの外国暮らしの長さを理由に、私たちが当たり前として見えていなかった日本の美しさを探していこうと思う。

夏休みはまるっと日本で過ごす予定なので、日本お宝発見の私的トレジャーハンティングジャパン企画なのである。
もうすでに楽しみだ。

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