J-4 マグロマートで、君とマグリたい。
こんにちは、こたろうです。
いや、聞いてください。僕だってケニアに行きたいんですよ。
行きたいんですけど、世の中「フライトスケジュール」というものがあるゆえ、未だ日本で謹慎中の身でありました。こたろうです。
突然ですが、僕は魚が大好きです。
僕の体は魚からできています。幼少期の我が家のおやつはニボシと貝ヒモ。誕生日にはケーキよりも刺身の大皿を要求し、「肉か魚か?」という議論が起これば人間の身体の限界反応速度(インパルス)をもってしてでも「魚!!!」と叫びます。
そんな僕がケニアに行くんです。生魚が3ヶ月も食べられないんです。わかりますか、この切実さが。考えただけで、ああ......
なんとしても!生のっ!生の魚をフルチャージするのだ!!!!!
ではナマザカナならなんでも良いのか?スーパーのタイムセールの魚でいいのか?アメ横のやっすい海鮮丼でいいのか?いや、良いはずがない。
ケニア前の生魚フルチャージ欲を満たしてくれるお店がありました。中野に。
東京・中野のマグロライブハウス「マグロマート」
中野マグロマートは生魚フルチャージをしに選んだお店は「中野 マグロマート」。名前だけでもうお察し頂けると思いますが、中野にあるマグロ専門の居酒屋です。いやあえてこう呼ばせてください。ここはライブハウスであると。DJ MM(マグロマート)による、東京のマグロライブハウス。それが「中野マグロマート」だ!
勢い込んで友人より30分も早く着いてしまった僕。メニューを眺めて驚きます。本当にマグロしかない。
友人!!!早く来て!!!!早く!!!!!!
そんな状況だった僕が帰宅後、できるだけその興奮を抑え、抑えに抑え、冷静かつ慎重にブログを認めました。が、どれくらい皆様に正確に伝わるかわかりません。ともかく中野マグロナイトが最of高であったと、できるかぎり伝われば、これほど幸福なことはありません。それでは、いきます。
客入り〜フロアウォームアップ / しんポン
マグロの心臓をネギと柚子胡椒で和えた「しんポン」。
コリコリした食感と、ネギ、海苔、ゴマのコンビネーションが、食べる人の食欲に火をつけます。
これは、1時間前の開場にあわせて来場し、DJが現れるのを今か今かと待つオーディエンスへの心配りと言いましょうか。ライブ前にフロアに流れているBGMのように日常から非日常へと引き込む、良い役割を果たしています。DJ登場の期待が高まります。
DJ降臨、フロアブチ上がり / マグロマート盛り
マグロマートの看板メニュー、それは「マグロマート盛り」。
メニュー曰く
「必食です!マグロの王様のフルコース。味も濃くて脂もノった、国産・生の本マグロ。その魅力は赤身やトロだけではありません。希少部位も贅沢に乗っけたお刺身6部位盛り。他ではなかなか味わえない一皿、これがマグロのワンダーランドへの入り口です。レッツダイブ!」
...ダイブしてやろうじゃねえか。マグロモッシュに飲まれること、本望。その看板メニューとやら、喰らい尽くしてやるわ!!!!!
DJ、降臨。
赤身、中トロ、脳天、アゴ、ほほ、ノドうら......とお姉さんがメドレー仕立てのセットリストを説明してくれます。これはもちろん順に食していかない手はない。写真でいうと左から。
1. 赤身
マグロマートにおける、「素のマグロ」ファーストバイト。ライヴで言えば一曲目。ここで今夜の全てが決まると言っても過言ではない。一曲目が期待はずれならそのあと全てに期待が持てなくなる。
赤身に求められる役割はまさにそれです。めくるめくマグロの夜に誘う使者。ときめきを予感させつつも主張しすぎない、思い出の中には確かにいるのに、覚えているのは香りだけ、そんな通りすがりの恋人のような、赤身。
この赤身、素晴らしい。非の打ち所のない、完璧な仕事をこなしてくれました。特筆すべきは味の濃さとなめらかな口当たりです。しっかりと味わい深いのに、スッと消えていく。赤身としての食感は保ちつつ、あとに残らない。そんなファーストチューンです。
2. 中トロ
中トロはちやほやされすぎだと思う。「マグロどこが好き?」「中トロ!」と8割方返ってくる。それはそうだ。脂のノリも多すぎないから、しっかり肉を食べた充足感とコクからくる満足感が得られる優等生。モテるんです。だからアンチは一定数いる。これは人気者の宿命。
マグロマートのマグロは、嫌味を感じさせないのです。同性から見ても「あっお前モテるよね」とさらっと言われる、そんなイケメン具合。福山雅治か。お前は福山なのか。2曲目は福山雅治で「追憶の口の中」。
3. 脳天
ココで!ココでくる!!脂身!!!希少部位脳天!!!!
大トロばりの脂のノリ。これはすごいですよ。ライブの序盤に脳天をブチ込んでくるあたり、マグロマートの漢気がすごい。
だって考えてみてください。脳天は締めの1曲くらいの存在感がある部位ですよ。それをココで、こんなところで入れてくる。
例えて言うと「Perfumeの新曲リリースライブに行って、オール新曲でくると思っていた中盤に、ヤスタカがいきなり『ポリリズム』をブチ込んでくる」
くらいすごい。
つまりここでポリリズムをカマしてもこのセットリストの最高さは微塵もう揺らがない。「おいおいお前ら、こんなところでへばってんじゃねえぞ。まだまだ踊れるよな?」というDJ MM(マグロマート)からの挑戦であるのです。受けて立つ!!!
4. アゴ
スッ……。
あれ、ここでダウナーに変えてきた……。手熟れのオーディエンスはフロアの動きに敏感です。
このアゴという部位は、脳天よりも筋が多く、脂肪分がしっかりあるわりにはクセが強くないので、さらっと食べられてしまう。炙ってもそのままでもいいよ、という部位。それだけに印象は他と比べ薄いのですが、ここでダウナーを入れてくるのはさすがとしか言えないです。
踊れるか?と焚きつけておきながら、オーディエンスを疲れさせないようにあえて曲調を抑えたものにしてきています。マグロというBPMは保ちつつ、次につなげてくる。サカナクションでいう「ミュージック」だと言えるでしょう。
5. ほほ
マグロマート盛りが運ばれてきた時に、一緒に運ばれてくるものがあるんです。それが、小さな鉄板。ここまで登場しなかった鉄板がここでついに登場します。
この「ほほ」は文字どおりマグロのほっぺの部分にあたります。お姉さんによればこれは炙り推奨の部位らしい。そんなこと言われたら炙らない手はない!
さすが、可動部位だけあって、赤身よりも肉の密度が高いです。写真で見てもわかりますが、パッと見は牛肉とも言えるほど。適度なサシがとても綺麗なお肉です。
じゅわッ。
かつてこんな焼き魚があったでしょうか?僕の中のベスト・オブ・焼き魚は「ハタハタ」なのですが、それを概念と味で超えてきました。これは炙り刺し、いや焼き魚、いや、焼き魚と言うよりもステーキです。そうこれはステーキ。サイドをしっかり焼いて中まで火を通した、ミディアムレアでお願いします。
刺身メドレーの中であえて炙りを入れてくるところは、やはりDJの布陣に抜かりはないということでしょう。オーディエンスに驚きを与え、再び踊る態勢を整えさせます。だってメドレーはまだ終わっていないのだから。
6. ノドうら
炙りで目を覚まされた後、待っているのは再びの刺身。このメドレーにしては久しぶりの赤身。しかもルビーのように綺麗な真っ赤です。さっきと同じか……?
しかしDJ MMはこんなところで僕らを失望させません。なんせメドレーはクライマックス。次の一曲につながるような終わらせ方で締めねばなりません。
「ノドうら」はごま油と塩のタレでいただけ、とMMアシスタントのお姉さんが仰っていました。指示通り軽くタレにつけ、一気に口の中に放り込みます。
これは…この感覚は……馬刺し!馬刺しだ!牛肉の後は馬刺し!!いや待てマグロだよな?お前はマグロだよな??たしかに魚の味はありますが、かなり臭みを抑えられています。それをごま油でいただいているので、かなりの肉刺し感があります。「刺身は臭みが苦手で食べれないけど、マグロなら食べられる」という人はわりといますが、ノドうらはそんなマグロの極みです。ごま油が食欲をそそり、次のマグりへの期待を高まらせます……。
温まったフロアに流れる魅惑の一枚 / 炙り
メドレーでブチ上がったテーブル。その余韻は目の前の鉄板に現れています。先ほど「ほほ」を炙った鉄板、いやフロアと呼ばせてください。フロアはまだその興奮から冷めていません。むしろここからです。
DJ MM(マグロマート)のネクストチューンは、そんなフロアをさらにヒートアップさせる珠玉のセレクト。それが炙りです。
この炙り、ただの焼き魚ではない。いやそんなことは先のほほで伝わっているとは思いますが、そこからもまた違う、新曲、いや神曲です。
味噌をベースにした濃いめのタレがマグロを包み込みます。その様はさながらホルモン焼きのようですが、そこはマグロ、クセのない味が期待できます。いざ、フロアへ。
レアにしたい…と言う気持ちをぐっとこらえ両面をしっかり焼きます。マグロは基本冷えた状態でてくるので、そこはじっと我慢。
いい具合の焼き色がついたところで、口の中へ投入です。タレはつけません。噛み締め、噛み締め、一言。「……ご飯欲しい」。そう、これは米なのです。米が欲しい。ああ、米!あああああアアアアアア
グルーヴに身をまかせ、それぞれのペースで、それぞれのリズムを / 生うにしょ
DJ MM(マグロマート)のライブも後半戦。もう皆が、MMワールドの虜となっています。ものすごい没入感。もはやテーブル上ではマグロ以外の話題がなくなりました。1年後の就職、落とした単位や、先週会った女の子、長く付き合う彼女など、酒の席で語らうことはたくさんあります。しかしこのマグロマート、いや、このMMのライヴ会場でそんなことはもうどうだっていいんです。ただ、ただひたすらにお前だけを見つめていたい。マグロ。マグロ以外見えない。
そんな状況のテーブルフロアに流れる「生うにしょ」は、僕たちを日々の呪縛から解き放ち、自由なリズムで踊らせてくれます。(山口一郎的)
見てください。ウニとイクラのグルーヴにたゆたう、マグロ。絡み合う三者の音色はダンサブルの極みです。ダンサーインザウニショ。もうお伝えする言葉がありません。答えはあなたの心の中にあります。僕たちはただ、海というグルーヴに合わせて踊る、ただそれだけです。
それぞれのリズムで踊れるよう、DJ MMの配慮は行き届いています。メニューにある「酢飯」をオーダーすれば、僕たちの口の中はよりダンサブルに。ああ、終わってほしくない。このリズムに、このグルーヴに、いつまでも身を任せていたい……。ついにクライマックスがやってきます。
キラーチューン / 本マグロ中落ち
DJ MM(マグロマート)の真骨頂。これを食べずにはライヴに来たとは言えない、言わずと知れたキラーチューン。それが「本マグロ中落ち」です。
テーブルフロアにドーンと広げられたマグロワールドに、ただただ息を呑むばかり。しかし、このクライマックスを味わい尽くすことこそが、MMへのリスペクトであり、また我々にできる唯一のことであります。
贅沢は味方であります。負けても欲しがっていいんです。みなさん、季節を使い捨てていこうじゃありませんか。だって貴方は私の一生モノだから!!!!(Special Thanks : Killer Tune / Tokyo Incidents)
お別れの歌、涙のアンコール / マグ手羽
DJ MM(マグロマート)のキラーチューンが終わり、幸福感と喪失感に襲われかけた、まさにその時。突然流れ始めた「マグ手羽」。ラストソングが響き渡ります。
胸ビレの唐揚げ、マグ手羽は、手羽先唐揚げよろしくしっかり味の付いた衣に包まれています。脂の多く、クセのある部位だからこそそれを最後まで味わいつくせるチューニングです。そう、まだ終わっちゃいなかった。最後までしゃぶり尽くすんだ。MMの記憶を心に刻み込もう。ああ、君には言えやしないけれど、僕はこの手羽を最後まで味わうよ……!
チルアウトのゆくえ / なめろう茶漬け
終わった……ついに終わってしまった……。ライブの帰り道は、いつでもどこか切ない。ああ、美味しかったな、マグロ。また食べたいな、マグロ。もうちょっと聴きたかったな、マグロ。そんなチルな帰り道、ほてりを冷ますのに寄ったコンビニで、MMの曲が流れます。「あ……なんだ。まだ終わってないじゃん笑」
「なめろう茶漬け」には、青唐辛子がピリッときいた、マグロのなめろうが乗っています。あ、ここにもいたんだ。いや、僕たちの心にいるんだな。マグロは。明日も頑張ろう。マグロ。
そんなわけで、ようやくケニアにつきました。
あのぅ......今朝......今朝ですね......ようやく、ようやく、ようやくケニアに参りました。お待たせしました。僕のアホ丸出しのマグログを最後までお読みくださった皆さんに、何か返せるような、そんなケニアライフを送ってきたいと思います。
では!(初めてのウガリ食べました)
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