感動とは

ふるさときゃらばんに入団してまもなく、どういう文脈だったかはすっかり忘れたが、ある先輩俳優がこんなことを言った。たしか若いころ東京キットブラザーズにいた先輩で、この発言の頃には柴田恭兵さんばりに演技に渋みが出てきた頃合いだったと思う。

感動には2種類しかない。「懐かしい」か「驚き」だ。

この言葉は、当時は当時でわかったような気がしていたが、それ以降ときどき思い出す。

演劇だったら、感動は観客(顧客)満足度の向上に寄与する必須条件だろう。また一般的にいうビジネスだったら、見込み客や顧客が購買に至るには感情が動く(感動する)ことが必要だ。高価格帯の商品であればなおさらだ。

ちなみに上記の言葉、その先輩が言った言葉のままかは定かではない。やっぱり自分の経験や思い込みも含め、自分流に解釈していくところがあるから。

とにかく、懐かしい〝じわじわ〟共感系は、ぼくらが生きているとそこらじゅうにあるし、驚き〝どかーん〟衝撃系は、人生の節目節目に立ち現れる。

人には、そのどちらかが好きとか響くという傾向はあると思う。でも、どちらも生きる上で必要なんだと思っている。

日常の何気ない他者とのつながりと、まるで神がかったような説明のつかない現象の、どちらも人生をより豊かにしてくれるものだと思うから。


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