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盛夏火 ドラマCD Vol.1『転町生』脚本(通常盤)

盛夏火 ドラマCD Vol.1『転町生』の脚本(通常盤)です。

☆こちらは脚本と当日パンフレットのみの購入ページです。

☆脚本と共に解説音声や本編のファイルなどの特典が盛り沢山なDX盤(¥1,000~)もございますので、そちらをご購入ください。
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本編は全編無料配信しており、販売している脚本も序盤のみ試し読みができます。
最下部に脚本のpdfファイルのDLリンクがございます。(※DL期限:2022年2月14日)

【ドラマCD本編(Youtube)】


【ドラマCD本編(Spotify Podcast)】


【当日パンフレット】

転町生当日パンフ-1

転町生当日パンフ-2

転町生当日パンフ-3

転町生当日パンフ-4


【脚本】

   『転町生』

チェ樹(金宇崔樹)---金内健樹
深田---マーライオン
中目要---鳥居トリィ
リーボ先生(茶々・リーヴォック)---中村ボリ
ユキナ伊藤---内藤ゆき
ヤニ(膠那帆梳)---三葉虫マーチ
神々上嶺---カネタガク

銭湯のアナウンス---中村ナツ子
銭湯の従業員---チャブー
銭湯の女性1---イトウ
銭湯の女性2---キムライヅミ
ファミマの店長---市川賢太郎(肉汁サイドストーリー)
ナレーション---新山志保

【0.アバンタイトル:32才の夏休み/32 Yrs Old Summer Vacation】@砧総合運動場外縁

 蝉の声
 自転車を漕ぐ音
 チェ樹の自転車を漕ぐ激しい息

チェ樹 「ハァ、ハァ、ハァ・・・この、永遠に続くかのような夏の中で、僕は、とりあえず・・・とりあえず・・・ぁ、えぇ、ぇ・・・ぉ、おd、」

 ♪:バスドラムとギターが激しい音楽(distがかった笛が入っていると良い)

ナレーション 「盛夏火 ドラマCD Vol.1『転町生』。このドラマCDは賃金体系を不明瞭にしてスタッフを使うなどせず、全て出演者で賄っており、出演者には固定額の出演料を支払っています」

 ♪:F.O.


【1.風なき熱波/Ghibli with No Winds】@砧総合運動場プール前

 蝉の声

深田 「(看板を読む)『世田谷区立総合運動場正門』えっと・・・ここで合ってるよな?」
チェ樹 「(遠くから)深田ーーー!深田ァーーー!!」
深田 「あ!チェ樹くーん!こっちこっちー!!」

 自転車のブレーキの音

チェ樹 「ハァ、ハァ・・・おい、どうなってんだよ?どこの入口も封鎖されてて運動公園全体を一周しちまったぞ・・・ハァ、ハァ・・・あっちい・・・早くプール入ろうぜ。なぁ深田、おい」
深田 「いや、僕も今着いてわかったところなんだけどさ。・・・ほら、これ見て」
チェ樹 「ん?」
深田 「『東京オリンピック大会時のアメリカ選手団キャンプ実施に伴うプール及び全施設利用休止のお知らせ』・・・」
チェ樹 「ハァ!?」
深田 「プールどころか、運動公園自体にも入れないみたいだよ、これ」
チェ樹 「!?・・・ぁぁぁ・・・どぅ・・・どぅなっちゃって(ンだょ)・・・」

 蝉の声が鳴り響く

チェ樹 「深田・・・おい、ふかたよう・・・」
深田 「あっつ〜い・・・(手で扇ぐ)ん?何?」
チェ樹 「(目を細める)あっちの・・・あそこのローソンよりもっと向こうのコンクリートの道の上あたりがやたらユラユラしてるのが見えるんだけどさ。深田よう、あそこには水があるって事かい?それとも暑さのせいで俺が幻覚見てるって事なのかな?」
深田 「・・・チェ樹くん、”逃げ水”って知ってる?」
チェ樹 「・・・知らねえよ」
深田 「風がなく晴れた暑い日にアスファルトの道路などで遠くに水があるように見える現象の事だよ」

 蝉の声が鳴り響く

深田 「あそこに見える柱時計では、時刻は午後2時・・・(スマホか腕時計を見る)実際の時刻からちょっとだけ遅れてるね。いずれにせよ今が丁度一番暑い時間帯だね」
チェ樹 「市民が・・・市民が市民プール使う権利さえ奪っていくのか、オリンピックは・・・」
深田 「世田谷だから区民プールだけどね(炭酸飲料を飲む音)」
チェ樹 「市民の健康的な生活はどうなるんだよ・・・魚が水の外に放置されたらどうなる?これじゃ、まるで・・・水槽の外の魚・・・まるで泳げない魚・・・」
深田 「とりあえず一旦そこのローソンに涼みに行く?」
チェ樹 「どうしてこうなった!どうしてこうなった!暑さでいよいよ気がおかしくなるぞ・・・このままだと俺は暑さのあまり『怒り』の時の森山未來みたいになっちまう・・・暑さでへたり込んだ道の丁度前にあった一軒家の中に入っていって・・・」
深田 「チェ樹くん、チェ樹くん。・・・最近このあたりでも通り魔事件があったからそのギャグは笑えない」
チェ樹 「あ、ああ・・・ごめん・・・どうかしてたよ。暑さと、まさに我が国の対米領土政策のせいで思考までもが『怒り』の森山未來みたいに・・・」
深田 「ん?・・・ぅわああぁおおお!!」
チェ樹 「なんだ!?どうした」
深田 「あれ!あれ見て!!」
チェ樹 「えっ?・・・うわっ!なんだあれ!?顔?」
深田 「めちゃくちゃでかいな・・・一瞬暑さで頭がおかしくなったのかと思ったよ・・・」
チェ樹 「気球・・・?アドバルーン?そういやアドバルーンって昭和にデパートが新装オープンする時にしか存在しないよね。深田見たことある?アドバルーン」
深田 「・・・いや、ない・・・かな・・・(空返事)」
チェ樹 「だよな!?思い出してみればお婆ちゃんの昔話でお目にかかった事があるくらいで、本物のアドバルーンって見た事ないような気がするよ!俺ギリ平成生まれだし!俺の記憶の中にあるアドバルーンは完全にイメージの中の昭和の景色にだけ存在しているもので、まさに、こう・・・ああやってゆらゆらと、それこそあのアドバルーンのように・・・」
深田 「にしてもでかいな・・・なんだあれ・・・顔ではあるよな?アドバルーンって大きさじゃないよ、あの顔?は。あっちの方角は、丁度・・・砧公園の上あたりかな?・・・チェ樹くん、ちょっと見に行こうよ」
チェ樹 「よし、深田!行くぞ!!」
深田 「おし、行こう」

 二台の自転車が走り出す音


【2.数値上昇/Rising Numbers】@砧公園外縁

 交差点の音
 自転車を減速する音

チェ樹 「近づいたら木で見えなくなっちゃったな。あれー?でも絶対に砧公園の中だよ。入ろうぜ」
深田 「いや・・・ダメだチェ樹くん。こっちの門は閉まってるよ。砧公園も立ち入り禁止って事なのかな?」
チェ樹 「とりあえず外周を回って入れるとこがないか探してみよう」

 自転車を動かす音

深田 「うーん。どこも空いてない」
チェ樹 「チャリどっか置いてフェンス乗り越えるか?」
深田 「待って、何か聞こえる・・・」
チェキ 「?」

 どこかのスピーカーから流れてくるようなエコーのかかった声が聞こえてくる

声 「・・・さっきまで北西側向いていました。今の向きは南南西。風向きは北東から、風速は0.3m。問題ありません。高度上げて大丈夫です・・・」
チェ樹 「なんだ?」
深田 「どこから流れてるんだろう?」

 自転車を動かす音

声 「現在、高度は19メートル、20,21,22・・・」
深田 「しかし、いやー流石に暑いなぁ・・・チェ樹くん、一回さあ涼しいコンビニに・・・チェ樹くん?」
声 「29,30,31,31,32,33,34,35,36・・・」
深田 「チェ樹くん!?チェ樹くーーん!?」

 声はカウントアップを続ける

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