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昔は世界中を旅していました。今は国際関係について研究しています。

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最近の記事

【映画感想9】ハミングバード・プロジェクト(2019年、キム・グエン)

カンザスからニューヨークの証券取引所まで直線のファイバーケーブルを引き、0.001秒だけ通信速度を早めることで大儲けしようとする人たちの映画。実話を元にしているとのことです。 主役のジェシー・アイゼンバーグは「ソーシャル・ネットワーク」でマーク・ザッカーバーグを演じた俳優で、「ちょっと鼻につく頭の回転速いやつ」の演技がとてもハマります。堺雅人のハリウッド版と言えるかもしれません。 実話を元にしているとはいえフィクション部分もあり、少し作り込みが雑に感じました。あとビンセント達

    • 【映画感想8】ライオン・キング(2019年、ジョン・ファブロー)

      言わずと知れたライオンキングの映画です。 どうしてハイエナは悪者だと決まっているのでしょうか。仮に悪者だったとしても、どうして殺し合わなければいけないのでしょうか。冷戦終結直後の1994年には「真の王」の偉大さ(勇気と思いやりを持って、日の当たるところ全てを守ること)を讃える映画は響いたかもしれませんが、それをこの2019年にやる意味はなんでしょうか。その辺のことをきっちり詰めてから企画書を通してほしいと思います。新しい技術で昔のヒット作を焼き直せばお金を稼げるかもしれません

      • 【映画感想7】アバウト・タイム(2014年、リチャード・カーティス)

        レイチェル・マクアダムス(「きみに読む物語」のヒロイン)の圧倒的なかわいさにひたすら圧倒され続けるだけの映画です。 >あらすじ 自分の過去をやり直せる力を持った男が、その能力を使ってレイチェル・マクアダムスと付き合い、いちゃいちゃする。失敗したシーンは能力でやり直し、概ねいい感じの人生を送るが、ある時彼は考えを変える。 >感想 レイチェル・マクアダムスが圧倒的にかわいいということを除いて、映画としては並の出来で、だからこそ恋人と見るのに適していると思います。ラストで語られ

        • 【映画感想6】フォーカス(2015年、グレン・フィカーラ)

          スリ&詐欺の達人と金髪ねーちゃんが色んなことして大金を稼ぐ話です。典型的なコンゲーム系の映画で、ドキドキはするので、退屈な人生の2時間を退屈でなく過ごすためには十分ですが、この手の映画はごまんとあるので、新鮮味がなく、娯楽以上の価値はありません。 マーゴット・ロビーは「THE金髪エロエロねーちゃん」という感じで女優としてのキャラがとても立っているなと思いました。だからか分かりませんが日本人の僕は若干見ていて不安になります。その他の出演作品に”Once upon a time

        【映画感想9】ハミングバード・プロジェクト(2019年、キム・グエン)

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        • 映画の感想
          9本
        • 本の感想
          19本

        記事

          【映画感想5】羅小黒戦記(2019年、MTJJ)

          中国発のアニメ映画ということで中国語で鑑賞しました。 思ったより絵が綺麗だったのと声優が上手だったので中国のキャッチアップ能力の高さを感じました。 ストーリーは、人類の自然破壊により住処を奪われた妖精が人間に復讐しようとし、その鍵を握るちびっこ妖精の小黒(シャオヘイ)が葛藤する、というもので、数十年前に日本が直面した課題に現代中国が今まさに直面していることを伺わせます。 物語自体は単純な二項対立であることと、キャラクター達もいわゆる完璧型(シャオヘイは完璧ではありませんが天才

          【映画感想5】羅小黒戦記(2019年、MTJJ)

          【読書感想19】ムーミン谷の夏まつり/トーベ・ヤンソン

          これまでのムーミンのイメージを覆された、かなりの冒険作と言っていいかもしれない。まず、舞台がムーミン谷ではない。ムーミン谷は物語の冒頭で洪水に沈んでしまって、そこに流れてきた劇場に乗り込んでムーミン一家+αは旅に出る。旅の過程で、ムーミンとそのガールフレンド(「スノークのおじょうさん」。アニメ版で言うフローレン。)は牢屋に入れられ、ムーミンパパは芝居の脚本を書く。ムーミンたちと関係のないところでではあるがスナフキンは自由のために暴れた結果(?)、24人の子供を育てることになっ

          【読書感想19】ムーミン谷の夏まつり/トーベ・ヤンソン

          【読書感想18】まむし三代記/木下昌輝

          斎藤道三の祖父、父、道三本人の三代記の体を取ったフィクション。日本全国を立ちどころに滅ぼすこともできるという武器「国滅ぼし」を三代の親子がいかに用いたのかを解き明かしていく。 みたいな感じの内容なんですが、語彙が少なく、文章が稚拙で、構成は強引。伏線の張り方も雑なので「国滅ぼし」が何なのかは中盤くらいで勘付いてしまいます。読むには値しませんでした。本当に綿密に時代考証が行われた、司馬遼太郎や井上靖的な斎藤道三小説があれば読んでみたいです。ありましたっけ? Twitterは

          【読書感想18】まむし三代記/木下昌輝

          【映画感想4】火口のふたり(2019年、荒井晴彦)

          >あらすじ 同じ「東北」でありながら被災地ではない秋田県で、親戚でありかつての恋人でもある2人が久しぶりに出会ってセックスしまくる映画です。 >論点 ①人のいない実家、②災害救助で活躍した自衛隊は日本全国のみならず海外も含めどこにでも派遣されうる、③亡者踊りの踊り手達は顔が見えず、「男か女かも分からない」ことなど、震災後の東北の担い手が不在であることが随所で強調されています。唯一、主人公である「けんちゃん」(柄本佑)だけが物語の中では男性の担い手たりうるポテンシャルを持って

          【映画感想4】火口のふたり(2019年、荒井晴彦)

          【映画感想3】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019、クエンティン・タランティーノ)

          タランティーノ頭狂ってるわ。。。と思ったら実際にあった事件をモチーフにしているということでびっくりしました。ディカプリオとブラピは萌えます。シャロン・テート役のマーゴット・ロビーはやたら綺麗だな〜と思ったら「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」のナオミ。僕のように背景に詳しくない人は、ネット上の考察記事を読んでから臨むといいと思います。 ヒッピーは愛と平和、自然との調和を提唱した運動ということで無邪気に好感を持っていましたが、オウム真理教的な側面(大きな物語を失った若者たち

          【映画感想3】ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019、クエンティン・タランティーノ)

          【読書感想17】アメリカ政治講義/西山隆行

          アメリカ政治の研究者による一般向けの入門書。アメリカ政治の経緯や争点の所在について、これまで断片的に聞いてきた情報が整理されて分かりやすく記述されている。本書の記述がいかに網羅的かは以下目次を見れば一目瞭然だと思う。 【目次】 はじめに 第一章 アメリカの民主主義 第二章 大統領と連邦議会 第三章 連邦制がもたらす影響 第四章 二大政党とイデオロギー 第五章 世論とメディア 第六章 移民・人種・白人性 第七章 税金と社会福祉政策 第八章 文化戦争の諸相 あとがき 自分はこれ

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          【映画感想2】ソーシャル・ネットワーク

          いい映画だと思います!実際の企業の創立期に題材をとって、しかもただその企業を賞賛するだけでなく悪いことも含めて描く映画ってあんまりなかったのではないでしょうか?「ココ・アヴァン・シャネル」とかありますけど、随分昔の話だし。 今や誰もが知るFacebookが色々な軋轢を抱えながら成長したことが分かります。途中ちょっとついていけなくなりそうになりますが、全体としてテンポはちょうどいいです。 また、明確な結論はないので、人によって受け止め方も様々だと思います。僕個人は、既存のものに

          【映画感想2】ソーシャル・ネットワーク

          【読書感想16】世界史序説/岡本隆司

          以下要約。 西洋中心史観は思い上がりである。大航海時代以前の世界史の中心はユーラシアのオリエント以東であって、そこにおいては遊牧民(=軍事、商業)と農耕民(=生産)の結節点(=シルクロード)が繁栄した。ちなみに、ユーラシアの中でも古代はオリエントが優勢であった(ローマ帝国はその一部)が、オリエントにおける森林資源の枯渇と中国における石炭の利用開始によって比重は東に移った。大航海時代が来ると新大陸からの銀が海路で大量に運ばれるようになり、シルクロードは衰退し、ヨーロッパにおいて

          【読書感想16】世界史序説/岡本隆司

          【読書感想15】国旗大好き!/世界国旗博学クラブ

          「国旗好きが高じて、国旗に関するあらゆる情報を日々、収集している研究グループ」(著者紹介より)による、世界中の様々な国旗に関する雑学を紹介した本。月が描かれている国旗、太陽が描かれている国旗、三色旗などカテゴリ分けされており似ている国旗を比較しやすい。 この本をじっくりと読むというよりは、一度ぱらぱらっと流し読みしておいて、ふと気になった時やその国の人と会うときに、索引からその国の国旗を調べる、という使い方がいいと思う。 自分としては、地域によって何となくの相似性がある一

          【読書感想15】国旗大好き!/世界国旗博学クラブ

          【読書感想14】時間とはなんだろう/松浦壮

          以下要約。 時間方向への運動エネルギーと空間方向への運動エネルギーの合計値にはキャップがあって、空間方向へ移動すると時間方向への移動量は減る。 物質(電子、陽子、中性子)も光(光子)も粒子でありかつ波(量子)である。そして量子は量子場のあらゆる可能な振動の「影響」が干渉し合った結果生き残った振動の表現であり(この辺よく分からない)、素粒子間に働く力はその振動の共振の結果である。 そうすると、物質というのは時空中に含まれる量子場というパラメータ的な何かの表現である。だけど残念

          【読書感想14】時間とはなんだろう/松浦壮

          【読書感想13】ニシノユキヒコの恋と冒険/川上弘美

          特に恋愛を書かせたら川上弘美の右に出る人はいないと思うので、読んでみた。読んでみて、すごくよかったなぁと思って解説を読んだら、自分の受け止めは女性読者の受け止めとは全然違うのかもしれないと思った。僕は、恋愛においては男も女も主体性を持って行動しているもんだと思い込んでいたけど、もしかしたら、誰も主導権を持ってなどいなくて、雰囲気や、勢いや、事の成り行きがほとんどのことを決しているのかもしれない(少なくとも、そう思っている人がいるのかもしれない)。 Twitterはこちら

          【読書感想13】ニシノユキヒコの恋と冒険/川上弘美

          【読書感想12】アフター・ヨーロッパ --ポピュリズムという妖怪にどう向き合うか/イワン・クラステフ

          以下要約とコメント。 ・近年EUが直面した複数の危機のうち、難民危機だけが本質的な危機である。 ・EUには3つのパラドックスがある。すなわち、中欧のパラドックス、西欧のパラドックス、そしてブリュッセルのパラドックスである。中欧の人々はEUが好きだがリベラルは嫌いだ。西欧ではリベラルでコスモポリタン的な若者が政治的な運動を組織するに至っていない(SNSで集まり、一瞬不満を爆発させて終わってしまう)。ブリュッセルの能力主義エリートは、能力が高いが故に国家への忠誠心を疑われ、人々か

          【読書感想12】アフター・ヨーロッパ --ポピュリズムという妖怪にどう向き合うか/イワン・クラステフ