ナレッジマネジメントの次なる姿
とある場所で「チャットツールで流れている有用な情報をまとめてナレッジとして使えるようにしたい」といった投稿を見かけました。
確かにそうなんですよね。チャットツールだとどんどん情報が流れていってしまうため、有用な情報が埋もれて探しにくくなってしまいますよね。だから、有用な情報を拾ってひとまとめにしておきたいというのは至極当然のことです。
どうやって情報をまとめるかの方法論については、インターネットを探せばゴロゴロ出てくるかと思います。
どれがよくてどれが悪いという話はここではしません。
所詮ツールの話なので使い勝手の良し悪しはあるもののそんなに大差はないと思っています。それよりはどう運用していくかというほうが重要かと。
「運用が大事」と軽く書いてしまいましたが、ナレッジの共有ってそんなに簡単ではないですよね。
それこそ、「ナレッジマネジメント」なる言葉が流行ったのは、もういつだったかなというぐらい遠い昔のように思えます。しかし、いまだに解決できていない永遠の課題です。
なぜ、難しいのか?
よいツールがなかったから?
運用体制ができていなかった?
いえいえ、そんな単純な話ではないですよね?
そもそも、必要となる情報って
人によって必要な情報(分野)が異なる
同じ人に対する同じ情報でも必要な時と必要でない時がある
その人の知識レベルによって情報の記述レベルを変えないといけない
似たような情報でも自分の状況に当てはめると上手く当てはまらないことがある
時代の流れとともに有用な情報も変わってくるため、せっかくまとめてもすぐに陳腐化してしまう
といったことがあって、頑張って蓄積したナレッジも理想的に有効活用できるわけではないですね。
「同じような仕事をしていてスキルレベルが近い人同士で」といった条件があればそれなりには活用できるかなと思います。あるいはカテゴリーを限定してナレッジ共有をするとか。
あ、だからと言ってナレッジを共有しようという取り組みを否定しているわけではないですよ。そういった取り組みを全くしなければ、それこそ人と人が協業する意味がなくシナジーも生まれてきません。
「頑張ってナレッジマネジメントに取り組んでみたけど思うように成果がでないなー」と思うことはあるかもしれないけど、そんな理想的にはなかなかいかないですよ。でも、取り組み自体は決して無駄ではなく、否定することなく取り組みを続けてほしいという応援の気持ちです。
さて、少し話を変えます。というか、ここからが本題です。(前置きが長い・・・)
前々回のブログに書いたこととも関連しますが、目先の仕事をこなすためのスキルや知識はすぐに陳腐化してしまいます。
「五輪書」で言うところの「水之巻」や「火之巻」にあたるものです。(詳しくは上記ブログを参照ください。)
PMBOKに関連して言えば、「プロジェクトマネジメントも継続的な進化をしており、実務慣行、方法、作成物などもどんどん変化していて、これらの情報についてすべてPMBOKガイドに網羅させること、またこれらが変化する度にPMBOKガイドを更新することは現実的でない」といったことから、PMBOKガイド第7版では第6版までのプロセスベースの記述から原理原則ベースに記述に変わっているということがあります。つまり、実務に近い方法論から、考え方とか行動指針といった記述に変わってきているのです。
PMBOKガイド第7版を初見で読んだときにはどうしてもフワッとした印象を受けてしまうかもしれません。正直なところ、私も最初はそのような印象を受けました。
しかし、PMBOKガイド第7版を読み込んでいく中で、上記の通りさまざまな方法論を一冊の本にまとめるのは限界もあり、このような形になるのは自然の流れなのかなと思うようになりました。
先のブログを書くきっかけとなった日経クロステックの記事もそうですが、目の前にあるスキル・技術を追っかけるだけでなく「目に見えぬ所を悟って知る」ところに移行していく時期にきているように感じます。
近いうちに、目の前にあるスキルや技術のナレッジはAIが提供してくれるようになるはずです。
我々はAIが提供してくれる情報を活用して価値を生み出していくかを考えていけるようにならないといけないのです。
「水之巻」や「火之巻」を追っかけて自転車操業をしていく段階を卒業して、次なるナレッジとなる「空之巻」を共に学んでいきませんか?
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