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ep5 一つの現実

            〜みお七ヶ浜から愛さんさんに転職するときの苦労

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「出る」のではなくて「巣立とう」と思った

みお七ヶ浜は、長い期間働いた。

その期間にいろいろな人を見ることができた。

私は、次にステップアップしたいと考えたが、ここで働いてることには感謝していた。

確かにある程度、「分けられた世界」にいるかもしれないけど、この中で、自分が確実に成長できたことは事実であって、それはここで働いたから得られたものである。

私はこのことは、いつまでも忘れないでいようと思い、ここを「巣立とう」と考えた。

みお七ヶ浜が大好きだった。

はらから福祉会が掲げていた「(障害があっても)すべての人に働く場を」提供したいという理念は今でも大好きだし自分の心の中では掲げている。

だから、できるだけ去ったところを良く言っていきたいと心がけている。

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「言語障害」これほどまでに恨んだことはない

私は、みお七ヶ浜では事務の仕事をしていた。

書くまででもないが主要なソフトは使いこなし、会計のソフトで入力も出力もしていた。

少し自信はあった。

事務の仕事は大好きだった。

私の仕事のお手本は、父親だ。

父は、長年持病に悩まされながらも、働き続けた。

その姿を今でも鮮明に覚えている。

父は、学校の事務員をしていた

そのせいで、私は「事務職」というものに強い憧れを抱いている

たまたまですが、憧れていた事務の仕事がみお七ヶ浜でできて本当に良かったと思っている。

そして、これを活かしてステップアップしようと考えた

それで、最低賃金が保証されている就労支援A型の施設を含めて、事務の仕事を探し始めた。

ネットで求人を見て、ハローワークに連絡する日々が始まった。

障がい者の求人票は、一見易しそうに書いている。

「お持ちの障害に配慮します」どの求人にもこのような文面が書いてある。

私も求人票を見ながら応募をしたり、就労支援A型の施設ですと、見学させていただいたりしていた。

しかし大抵あって話してみると5分で「あなたは、うちでは事務は難しいです」と言われてしまう。

そう、私には「言語障害」があるからだ。

一般的に事務は、電話応対に対面応対が求められる。

つまり「言語障害」があれば、それができないのだ。

「お持ちの障害に配慮します」ってあるのにと何度も思った。

しかしそれが「社会」の現実である。

いくらパソコンが使えても「言語障害」があるだけで、「No」になる。

私はこれほどまでに「言語障害」で理不尽に「分けられる」ことを恨んだことはない。

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人生のキーパーソン

私は、痛めつけられた「分けられた世界」の現実を飲み込んだ。

でもみお七ヶ浜は好きだったし、きっとここでずっと仕事するんだろうと思い始めていた。

そんな時、みお七ヶ浜に一人の人物が尋ねてきた。

「小尾勝吉」さん。

後に私の人生のキーパーソンになる方だ。

その日のことは今でもしっかり覚えている。

同じ事務所の中で用があった方とミーティングをし、帰り際にこういった。

「我が社のA型の事業所、今募集しているんでご関心ある方がいたら是非」

小尾さんが帰ってからすぐに対応した方が「菅原くん!!ここいいかもしれない。見学いってみな」と大きな声を挙げてくれた。

その方は、私が「言語障害」で理不尽に分けられていることをずっと観ていてくださった。

時に、私の悔しさに対して、励ましてくださっていた。

だからこそ、真っ先に、大きな声で私に声を掛けてくれていたのかも知れない。

そして、その方は小さな声で「さっきの人、いい人だから絶対採用勝ち取ってこい」と言ってくれた。

私は、この言葉を聞いて衝撃を受けた。そして、こう思った。

「もう一度、頑張ってみよう!!」

私はすぐに見学の準備をした。

今までたくさん不採用をもらってきた。

「勝ち取る」なんて無理だと思っていた。

でも見学に行く以上は、努力した。いっぱい考えて見た。

「言語障害」でもパソコンが少し得意であることを伝える方法を。

それで、自分がみお七ヶ浜で仕事で作った営業用のチラシを何枚か持っていった。

それが功を奏したのは分からないが、お試しの実習をさせていただくことになった。

パソコンの入力だ。

実習を終え、そして採用面接を受けるところまで勧めることが出来た。

面接の時に、私は「電話対応」が出来ないことを改めて自ら言い出した。

しかし、小尾さんはこうお答えになった。

「電話なんて、取れなくていい。菅原さんにして欲しいパソコンの仕事がたくさんある」

私にとって今でも忘れられない言葉である。

それは、理不尽に分けられたことで、痛めつけられた私にとって救いとなった一言である。

私は、「愛さんさん宅食」で働くことになった。

ep6に続く

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