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【知っておかないと危険!】ニトログリセリンの正しい使い方

ニトログリセリンの正しい使い方

”ニトログリセリン舌下錠” 聞いたことありますか?
これは、血管を急激に拡張する作用がある薬で、「狭心症」に適応となります。

「狭心症」とは、簡単にいうと心臓の血管が何らかの原因で狭窄→血流が悪くなる→酸素が十分に運搬できない→心臓が酸欠となる⇒「胸痛」が生じる病気のことです。心臓の酸素不足状態が続くと、心筋が壊死し「心筋梗塞」の発症にも繋がります。

この薬は、血管を拡張する作用により虚血状態の改善をすることで、十分な酸素を運搬できるようになり胸痛を改善する薬となります。

ここでお伝えしたいことは、誤って使用すると非常に危険な薬剤だということです。
血管を急激に拡張するということは、同じ量の血液が送られていてもそれぞれの臓器にとどまる血液量が増加。それにより心臓に戻ってくる血液が減少することで急激な「血圧低下」を起こすリスクがあります。
急激な血圧低下が起こると、脳に送られる血液も減少するため「ふらつき」「めまい」、最悪「失神」を起こす可能性があるということです。

こう聞くと「そんな危険な薬使って大丈夫なの?」「使うのが怖い」
と思われるかもしれません。
そういった方々のために、今回は安全に使用するためのポイントをお伝えします。

安心してください。
これは決して、危険な薬ではなく命を守るための薬です。
正しく使えば、あなたを救ってくれる力を発揮してくれます。

前置きが長くなりましたが、今から使用時のポイントを簡潔にお伝えします。


1.使用するタイミング

これは、何度もお伝えしているように「胸痛」が起きたときです。
胸痛を感じたら迷わずニトログリセリンを投与しましょう。

2.使い方:舌下投与

名前の通り「舌下」に投与します。舌の下にいれて溶かして内服します。
他の薬剤ではあまりない投与方法なので、慣れないかもしれません。

口が乾いていると上手く溶けないので、余裕があれば1杯の水を飲む、ぐちゅぐちゅぺーをするなどして口の中を潤すことをおすすめします。

また、胸痛発作時は「死ぬかと思うくらい胸が痛くなる」ので、パニックになり慌てて薬を飲みこんでしまうこともありえます。誤って飲み込んでしまった場合は、慌てずもう1錠舌下に投与しましょう。
ニトログリセリンは舌下に投与しないと効果を示さないため、2錠続けて飲んでも心配ありません。
逆に言えば、舌に投与しないと効果を示さないため、正しい内服方法を知っていないとほんとうに苦しいときに使えないので、使用方法を知っておくことが大切です。

3.使い方:座って使う

前述でお伝えしたとおり、ニトログリセリンは血管拡張する作用があるため
「低血圧」を起こすリスクがあります。
低血圧により「ふらつき」「めまい」が生じると、転倒する危険性があります。

使う前に、必ず座ってから内服するようにしましょう。

4.1回3錠まで

1回の胸痛発作につき3錠までとなります。
3錠飲んでも胸痛が治まらない場合は、他の病気の可能性を考えなくてはなりません。
至急、救急車を呼んでください。

ニトログリセリンは、「狭心症」には効果テキメンですが、「心筋梗塞」には無効です。
心筋梗塞は一刻もはやい治療を必要とするため、救急車を呼ぶことが最優先となります。

わたしとしては、胸痛発作が起こっている時点でなんらかの危険にさらされているため、ニトログリセリンを内服しつつ救急車を呼んでもよいと思います。
(発作直後は意識があっても、胸痛が長引くと意識消失するリスクもありますからね。その場に一人だと助けすら呼べなくなるので、そうなるよりは早め早めの対応が大切だと思われます)

医療機関にいつ連絡すればいいの?

胸痛があってニトログリセリンを飲んだ。数分して落ち着いたので、安心して日常生活に戻った。
その場しのぎではありますが、これはこれでよいと思います。
しかし、今後またいつ胸痛が起こるか分かりません。

もしかすると思っていたより、血管の狭窄が進んでいて心筋梗塞寸前
なんてこともありえます。

「外来受診日もうすぐだし、、、」「夜中にかけてもいいのかな。もう落ち着いたからなぁ」
その心配より、狭窄・梗塞が進行することの方が余命を左右するので、迷ったら連絡することをおすすめします。てか、医療者として言わせていただくと、連絡してください!

それぞれのかかりつけ医院に必ず、緊急時の連絡先があると思います。
そこに相談だけでも受け付けていると思うので、症状があった旨をお伝えください。
それによって、受診日を早めたり今後の対応について説明してもらえると思います。

医師から確実な助言をもらったほうが、安心してその後も過ごせるのではないでしょうか。
また、受診するとなった場合にも異常の早期発見にも繋がります。
迷ったらまず相談を心掛けていきましょう。

おわりに

以上、ニトログリセリンの使用方法をまとめると、、、

  1. 使用するタイミングは「胸痛」が起きたとき

  2. 舌の下で溶かす

  3. 座って内服する

  4. 1回3錠まで

  5. 迷ったら医療機関へ連絡する

この5点を守って、正しく内服しご自身の身体の安全を守っていきましょう!


さいごまでご覧いただき、有り難うございました。
わたしは看護師として、消化器・循環器内科の1年目として働いています。
日々学ぶことが多く、頭がパンクしそうですが少しずつ勉強してスキルアップを目指しています。

わたしの病棟での学びを通して、みなさんとともに成長していけたらとおもっています。
ぜひ、他の投稿も読んで頂けたら励みになります!
また、みなさんの学びも共有していただけたらわたしの更なる成長にも繋がり
嬉しく思います。

コメントどしどしお待ちしております。

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