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最後には、何も残らない

 日々はうたかた。うたかたの日々。 
 ボリス・ヴィアンの小説のタイトルである。ちなみに、この言葉は、ハヤカワepi文庫、伊東守男さん訳で、新潮文庫は「日々の泡」。これは曽根元吉さん訳。
 いずれにしろ、私たちの日常は、うたかたの日々、日々の泡。儚くて、あっという間に消えていく。
 それをつなぎとめたくて、自分に流れた感情をそのまま真空パックのように保存しておきたくて、文章にしたりする。少なくとも、私が文章を書く理由はそうである。ただ、それはそれで、虚しい作業であることもわかっている。ただの悪あがき、であることは、わかっている。
 悪あがきをどれだけしようとも、日々は流れていく。消えていく。
 最後には、何も残らない。
 それでもいいのだ、と私は思う。

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