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「5分遅れます」は電話しなくてもいい?【美容室の働き方と本音】

操作イトウです。
今回は、お客様の遅刻にまつわるお話。

美容師にとって、お客様が時間通りにいらっしゃらない事は、日常茶飯事です。
すぐに来れるのか、来店にあと15分かかってしまうのか。
それによって美容師の対応は大きく変わるため、こちらはドギマギして待っています。

そのため、「少しの遅刻」でもお電話でご連絡いただけることはありがたいことです。ですが、もう一歩踏み込んでお話すると、「5分遅れます」のご連絡によって、美容師が困ってしまう場面もあります。
それって、どういうこと?

お客様の「遅刻」や「無断キャンセル」についてはコチラ↓


◾️「遅刻?」「ドタキャン?」予約時間に来ない時、美容師は…

例えば、予約時間にお客様が“連絡も無く”来店されない場合、美容室側は必ず電話などでご連絡をします。
お客様が「遅刻しているのか」「予約の日時を勘違いしているのか」「うっかり忘れているのか」、事情がわからないからです。

そして、応答が無い上にそのまま著しく時間が過ぎてしまうと、「次のお客様の予約時間」に干渉する可能性も高まります。その上、その時間に見込まれていた「売上」の損失にも繋がる。

そのため、美容室としてはギリギリでも「遅刻」や「キャンセル」のご連絡をいただける方が、健全な運営ができます。

▼「5分」は誤差なので、問題なし!「15分以上」は連絡して!

ですが「5分遅れます」のご連絡は、ご来店する上では小さな誤差なので、ほとんどの場合問題ありません。

多くの美容師にとって仕事に影響が出るのは、「15分以上」ズレる場合です。
美容師はほとんどの場合、「10分以内」であれば作業をリカバーできるのですが、「15分以上」ズレると修正が効かなくなってきます。

そのため、状況によっては「現在接客中のお客様」や「後に続く予約のお客様」に影響してくるため、その際にはご連絡をいただければ大変ありがたいです。

▼「少し遅れる」の「少し」は、人によって違う

日々営業していると、お客様から「少し遅れます」のご連絡があったのに、しばらくしても来ない、という事態がよくあります。

言わずもがな、人それぞれ「時間の感覚」は異なるので、お客様にとっての「少し」が「5分」なのか「20分」なのかは、測りかねます。

後述しますが、美容師は「時間にシビア」な感覚のお仕事です。そのため、なるべく「具体的なお時間」をお伝えいただければありがたいです。

◾️「5分遅れます」はかえって迷惑になる可能性がある!?

このように、お客様から遅刻の旨のお電話を頂けることは大変ありがたいことです。ですが、例えば「5分遅れます」のお電話は美容師からすると、かえって迷惑になる可能性があります。

お電話頂いたお客様からすれば、こちらの事情を考慮してお伝えくださっているので、とてもありがたいのですが、良かれと思った行動が、迷惑になってしまうかもしれません。

理由は、現場の美容師に「電話に出る」という仕事が増えるからです。

▼そのTELは、美容師が「手を止めて」受けているかも

「遅刻してしまったから、連絡しなくては!」と急いで電話をかける場面は、美容室の予約に限らずともご経験があることかと思います。
そして美容室への電話の場合は当然、美容師さんが受けることになります。

ですが時と場合によって、美容師は「接客中」かもしれません。その場合、美容師は「手を止めて」電話に出ています。
もちろん、電話口では美容室の混み具合は把握できませんが、特に土日祝日の場合、美容室は予約で埋まっている事が多くなります。

現場の美容師は、急ぎのお客様の施術中かもしれないし、薬剤を塗っている最中である事もあります。もし薬剤を塗布している最中に手を止めることとなれば、電話のやりとりをしている間に「すでに塗った部分」の薬の効き具合の影響が出るかもしれません。
そのため、美容師は「できれば他のスタッフに電話を受けて欲しい」と考えているのです。

すると、お客様が「10分以上遅れる事態」であれば、お伝えいただく事は大変ありがたいのですが、誤差でしかない「5分遅れる」のために「手を止め」て「電話に出る」という仕事が増えるとなると、現場の流れが滞ってしまうのです。

そのため現場の美容師にとって、接客中に「作業を止めて電話に出る」という行為は、できれば避けたい状況なのです。

◾️美容師は「時間にシビア」な働き方をしている

そもそも「美容師が時間にシビア」という事情を知らない方も多いはずです。美容師側のこの感覚は、同じような「予約や時間に縛られる接客業」を経験している方でないと、理解されない部分でもあります。

美容師のスタンスによっては、お客様が遅刻して来た場合に「時間がないので、予定していた〇〇は出来ません」とハッキリお断りする事もします。
ですが、遅れて来たお客様に対しても「全然大丈夫ですよ〜(笑)」と反射的にウェルカムで迎えてしまう方も多いです。

そのためお客様が「こちらの事情」を認識できないのも、仕方がないことです。

全然大丈夫じゃないのに「大丈夫ですよ〜」って言っちゃう美容師↑

▼美容師は仕事を「15分」目安で計算している

美容師が行う様々な施術は、15分目安での仕事が多いです。
「髪の長さや毛量」によっても所要時間は前後しますが、手早くこなしても、時間はほとんど短縮する事ができません。

例えば、カラーをする際の…

カラーのリタッチを塗る

カラーを放置する(薬を効かせる)

カラー後のシャンプー

ドライヤーで乾かす

この一連の流れは、全て15〜20分目安で行っている施術です。そのため、どの美容室でもカラーのメニューは「1時間半」を見込んでいます。

そのため「15分遅れて来店する」という状況は、時間の組み立てがズレて、スタッフの手が足りなくなることに直結するのです。

◾️受付担当のお姉さんがいるでしょ?【時代による美容室の人員の変化】

この「美容師が電話に出ている」という回答に対して、「受付担当のお姉さんがいるでしょ?」「若手のアシスタントが対応してくれるはずだから」と考えた方もいるかもしれません。

ですが、昔と違って現代の美容室では、レセプション(受付)担当がいない美容室の方が大多数です。
更に、少子化に伴って美容師の成り手はとても少なくなっています。今やアシスタントは貴重な存在となっていることから、「アシスタントが在籍していない美容室」もとても多いのです。

▼レセプションとアシスタントがいないから、スタイリストが電話に出る

電話予約が主流だった頃は、掛かってきた電話を取り逃がすと、失客する(お客様がそれ以降来店しなくなってしまうこと)可能性が高まるため、電話番は「美容室の売上」に直結する重要な仕事でした。

当時は、「2〜3コール以内に受話器を取る」事を指導されているほど重要視されていました。
そのため美容師(特にスタイリスト)と電話番とを分業するための「レセプション」を用意する美容室は多く、用意しない美容室であっても、アシスタントが「主たる仕事」として電話受付をこなしていたのです。

ですが、時代の変容によって「ネット予約」が主流になり、電話予約は激減。
レセプションを用意するには人件費がかかるため、次第に必要とせず、美容師自身が電話を受ける美容室が増えたのでした。

▼レセプションはとっても大変な仕事だった→時代と共に下火に

美容室の毎日の予約は、「時間割」で綿密に設計されています。そして、より多く売上を上げるためには、無駄なく時間を割り振り、隙間なく時間割を組み立てる必要があります。
レセプションはこれらを総括して「時間割を組むこと」が仕事ですが、一般的な「受付業務」として募集し、採用しています。

ですが「各メニューの所要時間」「その日のスタッフの人数」「アシスタントの技術レベル」などを踏まえた上で、現場の美容師に代わって予約を管理するのは、めちゃめちゃ大変なことです。

時間が余って隙間ができてしまったら「もう一人お客様できたのに!」となるし、無理に予約を詰め込むと「この状態でもう一人なんてできない!」となる。つまり美容師側の事情をよく理解しないと、時間割を組めないのです。

しかも、レセプションはキレイな人をあてがうのが常だった

更に、受付は下積み修行中のアシスタントがする方が合理的でもあったため、社内で「美容師をドロップアウトした若手」をレセプショニストとしてあてがう事も多かったのです。

このように、覚える事が多いことから付け焼き刃ではできず、レセプションは人材確保も難しい面があり、時代と共に下火になったのでした。

◾️ご連絡いただけるのはありがたいこと

「かえって迷惑」とあえて強い言葉で言ったものの、ご連絡をいただける方がはるかにありがたいです。
それでも、「こちらの事情」を少しでもご理解いただければ幸いです。ではまた。

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