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美容室の名前、なぜキラキラしているの?【考察】

操作イトウです。今回は、美容室の名前について。
10年以上美容師として働き続けている僕から見て、美容室の名前には、かなり独特な文化を感じています。
キラキラしたネーミング、気になったことはないですか?一般の方は、どう感じ取っているのでしょうか。
そもそも、なぜ美容室の名前はキラキラしているのか?

美容室のネーミングに問われる要素とは?

美容室の名前には、「お洒落な印象」はもちろんのこと、「耳馴染みがいい」「清廉さ」のある言葉が選ばれることが多いです。英語、フランス語など、“響きの良い”外国語が好んで使われます。

また、ワンフレーズが圧倒的に多いことも特徴的です。これは、電話対応が考慮されている事もあります。
『はい、〇〇(店名)です。』
『お電話ありがとうございます、〇〇です。』
と、他業種よりも電話予約を受けることが多い美容室。電話対応を効率良くするために、名前を短めにしているものと思われます。

ですが、近年はネット予約やSNSでの予約が広まっていることもあり、今後は変化していくかもしれません。

美容室は、名前もキラキラしててほしい

美容 “室” と美容 “院” は何が違う?

美容 “” と美容 “” の違いには、それらしい資料がなく、僕が調べる範囲では、正確な答えは分かっていません。
そして美容室、美容院から「サロン」と呼び方が変化したことも、いつ頃から呼ぶようになったのかは不明です。

検索しても納得できる文献が無いので、詳しい方がいれば、教えて頂きたいです。

「サロン」とは、「応接室、談話室」のことらしい↓

他業種のネーミングに感じるあれこれ

美容室に限らず、他業種のお店のネーミングにも、独特な文化があります。個人的に気になっている、いくつか例を挙げてみました。

気に入ったお店なのに「店名が読めない」は、あるあるですよね。

◎イタリアンやフレンチは、名前が長くて覚えられない

例えば「飲食店」のネーミングは美容室のそれとは異なります。
お洒落な印象が強い「イタリアン」や「フレンチ」のお店は、何度聞いても読み方がわからないことがほとんどです。特徴は、名前がちょっと長めで、文章っぽいところ。
イタリア語の『トラットリア』は「多分“お食事処”みたいな意味なんだろう」と思ったり、フランス語だと『la』『les』などの冠詞が付くので、「多分名詞なんだろう」と思う程度。

呼ぶ時は「〇〇の隣のイタリアン」とかになる

◎ラーメン屋さんは、名前もマッチョ

また「ラーメン屋さん」では、無骨な男らしい漢字のネーミングが目立ちます。
「〇〇屋」など、修行したお店の系譜を匂わせることも多い。看板は筆字で、お洒落さよりもマッチョさが重視されます。

ラーメン屋は、男臭い看板の方が旨そう

◎アパレル系は、世界観を重視

アパレルの「ブランド名」や店名も、美容室とは近くて遠い存在です。世界進出を意識してデザイナーの名前を冠することも多いですが、日本のドメスティックブランドの名前には、毒っ気を感じるネーミングも目立ちます。

これは、ブランドの“世界観”が重視されているようです。また、言葉の響きより、ロゴで見た時の「記号的なデザイン」も重視されているようです。

タグのカッコよさも、ブランドの証

ミュージシャンの名前における、世代の変化

ネーミングの指向は、世代の違いによっても変化しています。
これは流行語に近い感覚だと思いますが、世代の価値観の違いが、付ける名前にも反映しているように見えます。

特に、ミュージシャンのバンド名やグループ名は世代っぽさが出やすいです。
今回は、30代の僕のから見た独断と偏見で、世代っぽい名前をピックアップしてみました。

▼1990年代▼

90年代当時は、バンドブーム全盛。そのほとんどは英語や外国語のグループ名でした。
各々の音楽の“世界観”を表現しつつ、「Mr.Children = ミスチル」「My Little Lover = マイラバ」みたいに、略しやすい名前が多かったのも特徴的です。

またアイドルは、昭和の個人が目立つアイドルから、グループでのパッケージが増えた頃です。「SMAP」「SPEED」「MAX」「TOKIO」など、パッと見で覚えやすくキャッチーな名前が多かったようです。

とりわけビジュアル系バンドは、“世界観”推しの名前が多かったです。特に「L'Arc〜en〜Ciel」はその世界観ありきのネーミング。聞き慣れないフランス語は、フレンチのお店みたいに覚えるのが難しい。その覚えづらさを逆手に取ったプロモーションも、話題になりました。

▼2000年代▼

00年代は、90年代的な名前は下火になります。
代わって、「ポルノグラフィティ」「ケツメイシ」「サカナクション」「ミニモニ。」「レミオロメン」など、カタカナ表記で呼びやすい、読みやすいグループが増加しています。

同じく「CHEMISTRY」や「EXILE」「GReeeeN」など、略さなくても呼びやすい、短めの名前が目立ちます。

▼2010年代以降▼

10年代ごろから、日本語を取り入れたネーミングが増えます。
「ゲスの極み乙女」「SEKAI NO OWARI」「ももいろクローバーZ」「SHISHAMO」など、90年代とは明らかに違った感覚です。

更にここ数年では、口語体のネーミングが激増しています。「ずっと真夜中でいいのに。」「神様、僕は気づいてしまった」などは、ネーミングから新世代の“世界観”を感じさせています。

また、「藤井風」「岡崎体育」「あいみょん」「Awich」など、個人名にもコンセプチュアルな名前を付けているのが印象的です。

子供の名前も、世代によって様々

世代によって大きく変わるのが、子供の名前。人気の名前には、他の世代から「キラキラネーム」と揶揄されても、その世代なら共感できる「良さ」を纏っている感じがします。

最近では子供の名前も、語感の良さが影響しているようです。特に男の子は、中性的な響きが増えています。
中性的なア行、サ行、ハ行、ラ行などが増えて、力強いマ行、タ行、カ行などは控えめな印象です。

さて、美容業界の場合は。

美容業界に話を戻しましょう。

昭和、平成での変容はどうあったのでしょうか?こちらも、僕の独断と偏見です。

昭和の美容室、美容師は先生だった

昭和の美容室は、「パーマ屋さん」とも呼ばれていました。昭和的なネーミングの「おばちゃん美容室」は、今でも全国で見受けられます。

また、「遠藤●子美容室」などのように、美容師の名前を冠にする形も多かったそうです。これは、名前が知られている方で「技術が担保されている」意味合いなのだそう。

このスタンスの美容師は、お客様が「先生」と呼ぶほどの関係性だったため、ゴリゴリの接客スタイルであった様で、今とは大分異なります(今でもご年配のお客さまの中には「先生」と呼ぶ方もいます)。

また、江戸時代の呼び方「髪結い」を冠するお店もあったようです。映画「髪結いの亭主」の邦題があったように、「髪結い=パーマ屋さん」の認識度も高かったようです。

平成になると、カリスマ美容師ブーム

90年代といえば、カリスマ美容師ブームです。
牽引した美容室の名前を挙げると、

「ACQUA」「AFLOAT」「air」「SHIMA」「BEAUTRIUM」 「MINX」「DADA CuBiC」「GARDEN」…

などなど、有名美容室の名前は、どれも「キャッチー」で「爽やか」な「お洒落感」が漂っています。
このブームが起きる頃には、ネーミングの感覚も昭和時代とは変容していることが窺えます。そして美容室のネーミングに関しては、今でもこの“有名美容室の空気感”の影響下であることを感じます。

美容室の名前に毒っ気はいらない

美容室の名前は、子供の名前を付ける感覚と近いようです。響きが良く、言葉の印象も良い、そしてワンフレーズ。

そして次世代は、どんなネーミングに変わってくるのか。個人的にはちょっと楽しみにしてます。


ではまた。

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