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娘との、いつもと違う散歩道

2歳5ヶ月の娘は、ここ数ヶ月間で歩ける距離がぐんと伸びた。 
 
最近は自転車の代わりに歩いて公園まで行ったり、散歩がてら歩いて買い物へ行ったりすることが多くなった。  
 
で、先日、いつものようにちょっとした買い物を終えて娘と家に向かって歩いていたときのこと。 
 
突然娘が歌い始めた。   

散歩中に娘が歌い出すこと自体は別段珍しいことではない。なんなら自転車に乗っているときも歌い出す。ときには手も動かしながら。
 
音程を外しまくりながらも、そんなのは一切気にせず自分の世界に入って全力で熱唱する。
 
 
そう、その姿はまさに剛田 武、
a.k.aジャイアン。
 
令和のジャイアン、ここに現る。 
 
 
・・・いや、でもさすがにジャイアンは言いすぎかな?まぁいいや。(強行突破)
 

 
この日もリトルジャイアンによるリサイタルが始まった。
 
選曲は『きらきら星』。
 

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安定のデタラメ歌詞&音の外しっぷりである。
 
私は「ぷぷぷ。かわいいなぁ」と思いながら、息継ぎのタイミングに合わせて合いの手を入れてみた。「あヨイショ」「あソーレ」って。でも、周りの人に聞かれるのは恥ずかしいから、ジャイア・・・じゃなくて娘にだけ聞こえる程度の音量で。
 
合いの手の効果もあってか、娘も少しばかりテンションが上がっている様子。

歌は終盤にさしかかっていた。
 
「おーそーらーのー ほーしーよぉー♪」
 
最後の一節を歌い終わり、ふたりで「イェーイ!ぱちぱち〜」と言う。
 
すると、娘側の方からパチパチパチパチ〜と小さな拍手が聞こえてきた。
 
拍手の先に視線を向けると、笑顔でこちらを見ているひとりの女性。
 
玄関の軒先で植物に水やりをしているところだった。
     
  
パチパチパチパチ〜と拍手しながら、
「上手ですねぇ〜」と。 
  
   
娘の顔を覗き込むと、えへへ、とはにかんでいて、私は私で嬉しくなっちゃって、「あ、ありがとうございますっ」とお礼を言った。
 
自分の合いの手も聞こえてたかなぁ?とちょっと恥ずかしいやら、女性の優しい対応が嬉しいやら。
  
あたたかい気持ちになって、また家に向かって歩き出した。
  

 
娘が生まれてから、日常のちょっとした場面でこういう人の温かさに触れる機会が増えた気がする。 
   
他の人からしたら、大したことないと思われるかもしれないけれど。 
 
すごく心地良くて、ありがたい。 
 

 
  

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