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エソで竹輪を自作して喜ぶ

釣り人から嫌われる魚には「毒がある」「小骨が多い」「まずい・臭い」「ヌメヌメ」する、などのネガティブ要素があり、外道と呼ばれ釣れてもすぐに海に戻されます。

代表的なところでは、フグ、エイ、ゴンズイ、ボラなど。そしてルアー釣りの外道代表といえばエソです。

今回はルアー釣りの外道「エソ」で竹輪を自作して喜びます。

貪欲な捕食者。悪魔の顔つき

エソは貪欲に小魚を捕食するフィッシュイーターです。ルアーにもよく反応しますが、鋭い歯で糸やルアーをボロボロにされたり、凶悪な顔つきであったり、小骨が多くてさばきにくいなどで、釣れたらすぐリリースされる「ザ・外道」です。

ところがエソは、実は竹輪やかまぼこなどの練り物の原料として使われる魚で、人知れず私たちの食卓へ登場している美味魚なのであります。

ということで、息子君が釣って「絶対に持って帰る」と持ち帰ったエソで竹輪を作ることにしました。

50cmぐらいの巨大エソが釣れる時もありますが、今回持ち帰ったのは30㎝ほどの小ぶりなエソ1匹。釣れてほしくない時に釣れて、釣ろうと思うと釣れない、それが外道というものです。

凶悪な面相

目は血走った赤色。歯は悪魔のようなノコギリ歯。ウツボのミニチュア版のようなヒール顔です。さらに小骨が多くてさばきにくいとくれば、持ち帰る人もいないわけです。

顔つきとは裏腹に身はとっても上品そうな白身

今回はエソの画期的なさばき方を知ったので試してまいります。まずは普通の魚と同じように頭を落として内臓を取り、中骨にある血合いをきれいにふき取ってこざっぱりとします。

続いてエソの背中を上にして、包丁の腹で叩いて平たくつぶしてまいります。

そしたら、またひっくりかえして、尻尾の方から中骨の端をもって身からペリペリと引きはがしていきます。このとき中骨と一緒に無数の小骨も一緒に取れていくのです。画期的です。この作業だけで小骨はほぼ撃退できました。キスを天ぷら用に開くときに応用できそうな技です。

中骨を取り終えたら、皮をひきます。身が柔らかいので簡単に皮からはがれました。

エソの抜け殻

凶悪な顔も、やっかいな小骨も、美しくない模様の皮もなくなり、残ったのは透き通るような白い身だけです。ここまでくれば嫌われ者のエソではなく、高級練り物の素です。美しい身をまな板の上でチタタプしていきます。

※チタタプ:アイヌ民族の伝統料理の1つで、鮭などを細かく刻み叩いく料理法。要は「たたき」ですね。

ある程度チタタプしたら、身の2%の塩を入れて再びチタタプします。しかし身の2%なんてわかるわけありません。ほんのちょびっと塩を入れてはチタタプしてみると、塩を入れることで身に粘りが出てまとまりがでてきます。まな板にへばりつかず団子ぐらいのまとまりの良さになったら頃合いです。

適当な枝や串にエソの身をまとわりつかせて成型します。竹輪というぐらいなので本当は竹にまとわりつかせると風情が出そうですが、今回は身も少ないので割り箸を使いました。手に片栗粉をつけて成形するとべとつかず快適です。

このままフライパンで焼いてもいいのですが、なんとなくガスバーナーで焼き目をつけてみましたところ、端のほうを炙ろうとしたら指を火傷しました。やめときゃ良かったです。

バーナーで炙ることを断念し、フライパンに少量の油をひいて焼きました。面白いことに、火が通った部分からぷく~とお餅のように膨らんでボリュームが出てきます。フライパンでころころ転がして、手間暇かけて育てている感じがたまらんです。

最初にバーナーで炙った中央部分がとくに膨らんで少々不格好な形に。最初からフライパンで焼いていば均一に膨らんで焼けたかもしれません。

机の上に置いておいたら「ウマっ」という声が。見ると息子くんが端っこをかじっていた
割り箸をぬいて包丁で切り、エソ竹輪の完成

できあがったエソ竹輪を切っていただきます。

味の方は・・・美味い!
小骨、全く気にならん。臭み、ゼロ。舌触り、抜群になめらか。めっちゃ美味いです。しかしまあ、美味いといっても普通の竹輪の美味さです。スーパーの竹輪をはるかに凌駕する美味さ・・・というわけではなく、スーパーの竹輪とほぼ同じぐらいの美味さです。

わざわざ自作するのであれば、棒についたままかぶりつくのが野趣あふれて良いかもしれません。またはおでんの練り物として、チーズやら小海老やら好みの具を練り込んでオリジナリティーを出すのも良いかもしれません。

どちらにせよ、これまで問答無用でリリースしていた外道のエソが、こんなに簡単に上品な練り物にできることを覚えたのは大収穫でした。小骨が多い魚はチタタプして練り物にすべし!です。

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