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2023年映画ベスト②

5作品で4000文字っていう読む気失せる超ロングレビューだったので、前後編に分けました。これはその後編。
前編とは少し違って割とシリアスな映画が多めになりました。

イノセンツ(鑑賞日:8月23日)

今年ベスト!今年ベスト!と言いまくってた。まーーーーーじで面白い。
もともと子供が主人公の映画が大好きなんだけど、この映画に影響受けまくって一時期は北欧映画ばかり観ていた。北欧の作品でしか出せないあのなんとも言えないダークで陰湿なところが大好き。

子供たちが超能力に目覚めて、最初は大人に内緒でキャッキャと遊び感覚で楽しんでいたけど、段々取り返しのつかないことになっていくサイキックスリラー。あと猫好きな人にはあまりオススメしない。
音楽やカメラワークでどんどん不穏な感じにしていくの上手すぎる。細かいセリフがなくても、やばくない?なんかおかしくない?みたいなのが子供たちの表情もあり伝わってくる。映画全体を不穏な空気で包んでいるのがたまらなく好きだった。

引越し先の団地で超能力が開花した主人公イーダ、イーダの姉で自閉症があり言葉を話せないアナ、アナと心を通わせられる能力を持つアイシャ(私はこの子がとても好きでした!可愛い!)、ものを引き寄せる能力を持つベン。子供の感覚で善悪を図るのは結構難しいし、4人の中で意見が違っても力で捩じ伏せられたら引いちゃうかも。俺の方が強いんだ!って言われたり勝負されたらそれもう友だちとは言えないし。そういう関係性は上下は考えず平等であるべきよね。

個人的にアナ役のアルヴァ・ブリンスモ・ラームスタちゃんの演技が凄すぎて度肝抜かれた。アイシャと心通わせた瞬間、超能力を見た時、使った時などの顔や仕草の演技が素晴らしい。あれは誰も真似できないと思う。
今年オススメの映画ある?って聞かれたら、真っ先にこれを言ってた。子供の純粋無垢さを怖い方に作った映画の中では、個人的には最高峰の映画だった。


月(鑑賞日:10月25日)

この映画はお仕事のサイトでも書かせてもらったんだけど、題材が題材なだけにとっても難しくて頭を抱えていた。実際に起こった事件をもとに作られた映画なので、当時のニュース記事などを読みレビューを書いていった思い出。

映画の冒頭、聖書の引用が映される。「今まで起こったことはこれからも起きる。太陽の下、新しきものは何もない」という言葉の後に、タイトルの「月」が出されるのは正直痺れた。彼は月の下で、新しいことを起こそうとしていたのだろうか。
施設で働くスタッフさんたちはみんな結構なストレスを抱えてそうに見えて、そんな中で犯人のさとくんだけ唯一まともに見えてしまう恐怖。
精神的な異常ではなく、思考の根本の部分だから直しようがない。野放しにした誰かが悪いとかよりも、じゃあ彼は100%おかしいことを言ってるの?と映画の中の主人公の洋子もずっと自問自答していた。すごく観客にも問いかけてくる映画だった。

入所者のひとりであるきぃちゃんのお母さん役に高畑淳子さんが出ていたんだけど、最後のお母さんの表情でかなり心が重たくなってしまった。きぃちゃんが生きていることでお母さんは救われていたんだとあの表情を見て考えた。
レビュー書いた当時もかなり踏み込んだレビューになってしまいそうで、これ書いていいんかな•••?とか悩みながら向き合った。石井監督や原作の辺見さんはもっともっと深く考えないと作れなかったと思うし、並々ならぬ覚悟をとても感じた作品。


ゴジラ−1.0(鑑賞日:11月13日)

いろんな人の2023年ベストをチラホラ見たんだけど、圧倒的マイゴジ率の高さ!いやでも本当に良かったんよね•••。普段映画を全く観ない職場の上司も観たって言ってたので、ゴジラすげーーと思ってしまった。
戦争とゴジラを一緒にすることが反対派の人もいたけど、私はとても斬新でいいと思った。もともとゴジラは好きな方ではあるんだけど、無慈悲にめちゃめちゃに壊していくようなつよつよなところが好きでして。今作のゴジラはやっとの思いで復興を頑張っている日本をすごい勢いで壊してて、ただひたすらに圧倒された。

VFXはもう山﨑監督の特許みたいになってるし(?)シンゴジラや海外版ゴジラなどいろんなゴジラがいるけど、山﨑監督のゴジラの迫力はすごかった。大画面めいっぱい使ってゴジラが口開けた時、やばい食べられるって本気で思ったもん。冷や汗出た。
今回のテーマが「生きて抗う」だったんで、えぇー、そこ生きてるの?みたいな映画の盛り上がり的には少々欠ける部分もあったんだけど、テーマを考えたらまぁ合ってるわな、と思いベストに入れました。こういうド派手な映画は年1くらいで観たくなる。



ウォンカとチョコレート工場のはじまり(鑑賞日:11月20日)

ありがたいことに最速試写会にご招待いただき(ワーナーさん本当にありがとうございます!!)ティモシーとの念願の初対面も果たし、走馬灯に出てくるレベルの思い出が詰まったこの映画。解禁から約2年、どんな辛いことがあっても「まぁ私にはティモシーのウォンカがあるしなぁ」で乗り切り、インチキな占い師に「あなたは2年以内に死ぬ」と言われたけど、ウォンカ観てないのに死ぬわけないだろ!!と跳ね除けて生きてきた。今はDUNEのために生きてる。

ティモシーってブレイクのきっかけになった「君の名前で僕を呼んで」の頃から、どこか影のある憂いを含んだような役をやっていることが多くて(オタクの調査ですが)、本人はファンサもすごいし笑顔が似合うハッピーな人なのにそのギャップがとっても好きだったんだけど、今回のウォンカ役は歌うし踊るしずっと楽しい役で、新たな一面が見れた気がしてなにこれ〜〜〜超いいんですけど〜〜〜!!!
かっこいいももちろんあるけど、試行錯誤しながらチョコ作りに没頭して頑張るひたむきな姿に可愛い•••可愛いねぇ•••☺️と思わず笑みが溢れてしまう。なんか映画のレビューってよりティモシーの話になっちゃった。

「夢を見ることからすべては始まる」とウォンカのお母さんがよく言ってたけど、お母さんのその言葉を度々思い出すときのウォンカはとってもいい顔をしてた。これまでいろんな辛いことがあったけど、この言葉を胸にやってきたんだろうな、と思わせてくれる優しい表情。ウォンカの夢を手伝う仲間たちもかなり個性的で、それぞれに大小さまざまな夢がある。ウォンカに協力することで自分の夢も叶うなんて最高じゃん•••!

最初から最後まで全部あっという間で、2時間が一瞬で過ぎてった。え?もう終わり?って思うくらい。まだ映画館で上映しているところも多いと思うので、是非に〜〜〜!


市子(鑑賞日:12月13日)

年末にどえらいモン観たわ•••。観てからしばらくは心が鉛みたいに重たくなってこの映画のことをずっと考えてた。

プロポーズの翌日に行方不明になった川辺市子という女性についてのお話。実は市子は離婚後300日問題により無戸籍の状態でここまで生きてきた。
生きるってなんなんだろ•••ってずっと考えちゃう。姉の戸籍を借りて、人を犠牲にしたりしながら彼女はここまで生きてきたわけで、言い方考えずに言うならここまでして生きていたいとか、生きるにしても戸籍どうにかしたいとか思わなかったのかな。なんでこんな必死に生きるんだって思うのは、今の自分がとても恵まれているからなのかと思った。
戸籍がないと仕事ができない。病院にも行けない。社会の隙間を這うように隠れて生きてきた彼女は、普通に生きていたいだけと言っていた。普通ってなんだろう。

波乱万丈で決して幸せとは言えない半生だけど、その中で出会えた友だちや同級生の差し出す手に本当の意味で気づけていたのか。約2時間の中で、私は市子の輪郭を辿ることで精一杯だった。杉咲花さんの演技がいい意味でとてもリアルで、市子がすぐそばにいるような感覚になる。私の心が鉛になってしまった理由の8割くらいは、市子役が杉咲さんだったからだと思う。


前編も合わせて合計10作品を紹介しました!配信やレンタルが始まったらぜひに〜〜!!
2024年もより良い映画ライフを☘️

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