海賊ブラッド (31)総督閣下

 その勝利に費やした人命を数える事が可能な状態になった時、キャプテン・ブラッドと共にカルタヘナを去った三百二十名のバッカニア(海賊)のうち、五体満足で生き残った者は百人がやっとであったという。エリザベス号の損傷は甚大であり、再び航行可能な状態まで修理できるかどうかは定かでなかった。そしてハグソープは、最後の最後まで勇敢にエリザベス号を指揮した末に死亡した。一方、ブラッドの指揮する船は兵力においてはるかに劣りながらも、バッカニア達の技量と死に物狂いの猛勇によって砲撃と略奪からジャマイカを救い、またムッシュー・ド・リバロールの艦隊を捕えてフランス軍が運んでいた莫大な財宝をウィリアム王の為に押収した。

 翌日の夜になってようやく、ファン・デル・カイレン艦隊のうち、はぐれていた九隻がポートロイヤルの港に錨を下ろし、ネーデルラントと英国の士官達は提督から実情を聞かされた。

 その艦隊の六隻の船が直ちに航海に出る為に再装備された。他のいくつもの西インド諸島植民地が新総督の視察訪問を待っており、ウィロビー卿はアンティル諸島に向かって急ぎ出帆する必要があった。

「それだというのに」と、彼は提督相手にこぼした。「私は総督代理の不在という馬鹿げた事情によって、ここに足止めされておるのだ」

「ソウ?」ファン・デル・カイレンは言った。「しガし、何故、待ヅ必要があるのです?」

「あの駄犬めを叩き出して、己の本分を知り、その務めを果たすに足る能力を備えた優秀な人間を、奴の後継者に任命せねばならんのでな」

「アハ!しガし、貴方がゾの為に留まる必要はないでしょう。ゾれに、あの男にもこの件にヅいて、あれこれ指図するヒヅヨウはないでしょう。彼は私や貴方よりも、ポートロイヤルを安全かつデギゼツに運営する方法をジっているはずだ」

「ブラッドの事かね?」

「モヂロン。他にデギる者がいるでしょうか?彼がやっデのけたような事を」

「君も同じ事を考えていたのだね、どうだ?いやはや!私は既にそれについて考慮していた。どうして否やがあろう?彼はモーガンよりはるかに上等な男であるし、モーガンは総督職に据えられたのだからな」

 ブラッドが参上してきた。彼はポートロイヤルで調達した華やかな衣装で再び身なりを整えていた。ウィロビー卿が名誉ある役職について打診した時、彼はその申し出にいささか当惑していた。それは彼が想像していたものをはるかに越える待遇であり、その重責を引き受けうる能力が自分にあるだろうかという疑いに襲われたのである。

「まったく!」ウィロビーは鋭く言った。「私が君の器量に疑いを持っていたならば、このような申し出をすると思うかね?それが君の唯一の異議ならば……」

「いえ、違います、閣下。私は故郷に帰るつもりでおりましたので。私はイングランドの緑の小道が無性に恋しいのです」彼は溜息をついた。「サマセットの果樹園には林檎の花が咲く頃でしょう」

「林檎の花!」卿の声は急激に高まり、うわずっていた。「一体全体、それが何だというのだ……?林檎の花だと!」彼はファン・デル・カイレンを見た。

 提督は眉を上げ大きな口をすぼめた。彼の目は大きな顔の中で面白そうに輝いていた。

「ソウ!」彼は言った。「ジヅに詩的だ!」

 卿は猛烈な勢いでピーター・ブラッドの方に向き直った。「君には精算しなければならぬ過去の経緯がある、いいかね!」彼は指摘した。「打ち明けた話をすれば、君は既にそれだけの働きをしたと私は思っている。そして君はその際に、この職を引き受けられるだけの能力を示したともな。これが陛下の御名において君にジャマイカ総督の権限を任せる理由だ――この職務に最もふさわしい男は、君をおいて他にはいないと私が判断したからだ」

 ブラッドは深くお辞儀をした。「閣下、大変光栄でございます。しかし…」

「ええい!『しかし』はなしだ。君が過去を不問にされ未来を約束される事を望むなら、これは絶好の機会だ。そして君は林檎の花だろうが、他のどんな忌々しい感傷的で馬鹿げたものの為だろうが、その機会を軽々しく扱うべきではない。君の義務はここにある。少なくともこの戦争が続く限りずっとだ。戦争が終われば、サマセットとシードル(林檎酒)だろうが、君の故郷アイルランドとポチーン(アイルランドの地酒)だろうが、どこにでも戻っていい。だがそれまでは、ジャマイカとラム酒で我慢したまえ」

 ファン・デル・カイレンはたまらず爆笑した。しかしブラッドがつられて笑う事はなかった。 彼は憂鬱と言ってもよいほどに厳粛なままでいた。彼の思いはビショップ嬢に、この同じ邸宅のどこかにいるのは確かであるにもかかわらず、彼が到着して以来、未だ姿を見ていない彼女の上にあった。彼女は彼に対し、ほんの少しの憐憫すら示すつもりがないのだろうか……。

 それからウィロビーの苛立った声が再び割り込み、彼の躊躇をとがめ、このようなまたとない機会を軽んずる信じ難い愚かさを指摘した。彼は背筋を伸ばして一礼した。

「閣下、仰せの通りです。私は愚か者です。しかしながら、どうか私を恩知らずとはお考えにならないでください。私がためらったのは、閣下のお骨折りとは無関係の熟慮すべき事柄があったからです」

「林檎の花の事かね?」卿は鼻であしらった。

 今度ばかりはブラッドも笑ったが、しかし彼の目の奥には未だ慕情がとどまっていた。

「仰せのままに――そして大いなる感謝をもって閣下にお約束させていただきます。国王陛下に御満足いただけるよう、全霊をもって奉職いたします。私の忠勤を御信頼ください」

「信頼していなければ、君を総督職に指名したりはせんよ」

 かくして一件は落着した。ブラッドへの任命証書が作成され、隊長のマラードと他の駐屯部隊士官達の面前で押印され、彼等は驚きに目を丸くしながらそれを傍観したが、内心の思いについては口に出さなかった。

「これでようやグ、我々の任務のダめに出発でギる」ファン・デル・カイレンは言った。

「我々は明日の朝、出航する」卿はそう告げた。

 ブラッドは驚いた。

「しかし、ビショップ大佐は?」彼は尋ねた。

「奴の処遇は君に任せる。君は今や総督だ。奴が帰り次第、君が適切と判断した通りに処分したまえ。奴の船のヤードアーム(桁端)に吊るしてやるといい。自業自得だ」

「その断罪は、いささか公平を欠くとの誹りを受けるのではないでしょうか?」ブラッドは危ぶんだ。

「もっともだ。では私が奴の為に一筆書いておこう。奴の気に入るといいがな」

 キャプテン・ブラッドはすぐに自分の職務に取り掛かった。ここで起こった事を思えば、ポートロイヤルに適切な防衛体制を整える為にすべき事は山ほどあった。彼は破壊された要塞を点検して指示を出し、即座に作業は開始された。次に彼は再度の航海に使用可能と思われる三隻のフランス船の修理を命じた。最後にウィロビー卿から許しを得た上で部下のバッカニア達を呼び集めると、彼は獲得した財宝の五分の一を引き渡し、部下達にこの地を去るかウィリアム王に仕官するかの選択を任せた。

 彼等のうち二十名ほどが残る道を選び、その中にはジェレミー・ピット、オーグル、ダイクが含まれていた。ブラッドと同じく、彼等の追放生活はジェームズ王の失墜により終わりを迎えたのである。三年以上前にシンコ・ラガス号でバルバドスから逃亡した叛逆流刑囚の生き残りは――カルタヘナに残った老ウォルヴァーストンを除けば――彼等だけであった。

 その翌朝、ファン・デル・カイレンの艦隊が出港の最終的な準備を整えていた頃、総督の執務室である白塗りの広い部屋にいるブラッドの許に、帰還してくるビショップ艦隊を視認したと報告する為にマラード少佐がやってきた。

「大変結構」ブラッドは言った。「ウィロビー卿が出発なさる前に帰ってきてくれたのは有難い。少佐、君への命令は、ビショップ大佐が陸に一歩でも足を踏み入れた瞬間に彼を逮捕する事だ。それから彼をここに連れてくるのだ。ちょっと待ちたまえ」彼は走り書きをした。「ファン・デル・カイレン提督の旗艦に乗船しておられるウィロビー卿に、これを」

 マラード少佐は敬礼してから退出した。ピーター・ブラッドは椅子に戻ると、眉を寄せて天井を凝視した。時が過ぎた。ドアが軽く叩かれ、姿を見せた年配の黒人奴隷が尋ねた。ミス・ビショップをお通ししてもよろしいでしょうか?と。

『閣下』は顔色を変えた。彼は無言でその従僕を凝視しつつ、自分の脈がひどく乱れているのを意識していた。それから彼は静かに同意した。

 彼女が入室してくると、彼は立ち上った。そして彼が彼女と同じく青ざめて見えなかったとすれば、それは日焼けによって顔色が隠されていたからに過ぎなかった。二人はしばし共に押し黙ったまま相手を見つめていた。それから彼女は前に進み出ると、ようやく話し始めたが、常ならば極めて平静で落ち着いていたはずのその声は、驚くほど不安定でたどたどしかった。

「わた……私…マラード少佐から、うかがったばかりなのです…」

「マラード少佐は越権行為をした」ブラッドはそう言ったが、自分の声を落ち着かせようとする努力によって、それはひどく声高で厳しく聞こえた。

 立ち去ろうとする彼女を見て、ブラッドは言葉を切ると即座に取り繕った。「怯える事はありません、ミス・ビショップ。私と貴女の叔父上との間に何があったにせよ、彼の私に対する行いに私が倣う事はないとお約束します。私は個人的な復讐心の為に職権を濫用する事はありません。むしろ彼を守る為に職権を濫用するでしょう。ウィロビー卿の勧告は、容赦なく彼を処断するようにというものでした。しかし私自身は、彼をバルバドスの農園に送り返すつもりです」

 彼女はゆっくりと前方に進み出た。「わ…私は貴方がそのようにしてくださったら、うれしいわ。とりわけ貴方御自身の為にうれしく思います」彼女はブラッドに向けて手を伸ばした。

 彼は厳しい目でその手を見つめた。それから一礼した。「私はシーフ(盗賊)やパイレート(海賊)の手にそれをとるような僭越な真似はいたしません」苦々しげに彼はそう言った。

「貴方はもう、そんな者ではありません」そう言って、彼女は笑みを浮かべようと努めた。

「たとえそうであれ、固辞せざるを得ません」彼は答えた。「これ以上はもう、お話しすべき事はないと思います。ジュリアン・ウェイド卿もまた叔父上と同様に、罪に問われる事は一切ないという保証を加える以外には。貴女の御心の安らぎには、恐らくはこの保証が必要でありましょう?」

「はい――貴方自身の為に。でも、貴方の為だけが理由ではありません。私自身、貴方には卑劣な行いや不名誉な行いをしてほしくはありませんでした」

「シーフ(盗賊)やパイレート(海賊)といえど、ですか?」

 彼女はきつく拳を握ると、絶望と苛立ちを示す小さな身振りをした。

「貴方はその言葉の事で、私を許してはくれないの?」

「少しばかり難しいようですね、白状すれば。だが、そう大した問題でもないでしょう?」

 彼女の澄んだハシバミ色の目は一瞬、思いつめたように彼を見た。それから彼女は再び手を差し出した。

「もう、おいとまいたします、キャプテン・ブラッド。貴方が私の叔父に御寛容を示してくださいましたので、私は叔父と一緒にバルバドスに戻る事にいたします。またお会いする機会はないでしょう――もう二度と。私達、お友達としてお別れする事はできないのでしょうか?かつての私は貴方を不当に扱ってしまったと、今の私にはわかっています。ですから私はお詫びを申し上げました。貴方も……貴方もおっしゃってくださいませんか、『さようなら』と?」

 彼は故意に厳しさを装ったマントを跳ね除ける為に、自分自身を鼓舞しているようだった。彼は差し出された手をとった。それを握ったまま、ブラッドは重苦しく思いに沈んだ目で彼女を見つめながら話した。

「貴女はバルバドスにお戻りになるのですか?」彼はゆっくりと言った。「ジュリアン卿が、貴女と一緒に行かれるのでしょうか?」

「何故、そんな事をお尋ねになるの?」彼女は臆する事なく彼と相対した。

「何故といって、では、彼は貴女に私からのメッセージを伝え損なったのですか?」

「いいえ。卿からは確かにうかがいました。あの方は、貴方のお言葉をそのまま伝えてくださいました。私はそれにとても動揺しました。そのお陰で私の過ちと不当な仕打ちをはっきりと悟らされたのです。私は貴方に対して、悔い改めを行わなければ済まされない罪を犯しました。私は根拠のない憶測だけをもとに、あまりにも厳しく断罪してしまいました」

 彼は未だ彼女の手をとったままだった。「それでジュリアン卿は、今?」そう尋ねて彼女を見つめる彼の両目は、銅色の顔の中でサファイアのように輝いていた。

「ジュリアン卿はイングランドにお帰りになるでしょう。あの方がここで成すべき事は、もう何もありません」

「けれども卿は、貴女に同行するよう求めたのではありませんか?」

「そうなさいました。不躾な質問は大目に見てさしあげます」

 荒々しい希望が彼の中で躍動した。

「貴女は?これは驚いた、よもや富貴の身に迎えられるのを拒んだなどとおっしゃらないでしょうね、あの時…」

「まあ!厭らしい人ね!」彼女は手を振りほどいて彼から後ずさった。「私、来るべきではなかったわ。さようなら!」彼女はドアに向かって急いだ。

 彼はその背後から飛びついて彼女を捕えた。彼女の顔は紅潮し、その目は短剣のように彼を刺した。「これが海賊のやり方なのね!放してちょうだい!」

「アラベラ!」彼は嘆願するような調子で叫んだ。「本当にそう思っているのか?私は君を放さなければならないのか?君をこのまま行かせて、二度と君の姿を目にする事もなくなるのを受け入れなければならないのか?それとも、二人一緒に故国へ帰れる日が来るまでこの地に留まって、私をこの永(なが)の旅住居)に耐えられるようにしてくれるだろうか?ああ、泣いているんだね!可愛い人、私は君を泣かせるような事を言ってしまったのだろうか?」

「ぜ……絶対に言ってくれないのかと、諦めかけてたところよ」彼女は涙を流しながらも彼をからかった。

「ところで、美丈夫のジュリアン卿が…」

「誰とも会う必要はないわ、貴方以外にはね、ピーター」

 無論の事、彼等に積もる話が山程あるのは間違いなく、会話に熱中して時が過ぎる間、ブラッド総督はしばし執務を忘れた。彼は故郷にたどり着いた。彼の長い長いオデッセイ(漂泊の旅)は、遂に終わりを告げたのである。

 一方その頃、ビショップ大佐の艦隊が入港し、大佐は突堤から上陸したのだが、そこには不機嫌な男を輪をかけて不機嫌にする事態が待っていた。彼はジュリアン・ウェイド卿と連れ立って下船していた。

 数名の警備兵が彼を迎える為に整列し、そしてその前にはマラード少佐と更に二名、総督代理には見覚えのない者達が立っていた。一人は小柄で洒落た人物、もう一人は大柄で屈強な人物である。

 マラード少佐が進み出た。「ビショップ大佐、自分は貴方を逮捕するよう命じられております。剣をこちらに!」

「ジャマイカ総督の命令によるものだ」とマラード少佐の背後に立つ気品のある小男が言った。ビショップは彼の方を向いた。

「総督だと?気でも違ったのか!」彼は端から端まで全員を見渡した。「私がその総督だ」

「総督『だった』」皮肉っぽく小男が言った。「生憎だが、我々は君の不在中に総督を交代させたのだ。君は正当な理由もなく職責を放棄し、君に任されていたはずのこの植民地を危険にさらした。これは重大な問題だ、ビショップ大佐、君も察しているであろうが。君をその職に任じたのがジェームズ前国王政府であるという事実も考慮すれば、叛逆罪に問われる可能性すらある。君が首を吊られるか否か、全ては君の後任の判断にゆだねられている」

 ビショップは呪詛をわめき散らし、それから一転して不安に身を震わせた。「一体全体、貴様は何者なんだ?」彼は尋ねた。

「私はウィロビー卿、国王陛下の西インド洋諸島植民地の総督だ。君も知らされていたはずだろう、私の訪問について」

 ビショップの怒りの残骸は、外套のように彼から滑り落ちた。彼は冷や汗をかいていた。その後ろではジュリアン卿が傍観していたが、彼の端整な顔は一気に蒼白になり引きつった。

「しかし閣下…」大佐は言いかけた。

「君の言い訳になど興味はない」卿は厳しく彼の言をさえぎった。「私は航海に出ねばならんし、もう時間がない。総督は君の言い分を聞いた上で、間違いなく君にふさわしい処遇を決めるはずだ」彼はマラード少佐を手振りで示し、そして今や打ちのめされ失意の男となったビショップは唯々諾々と連行された。

 引き止める者もおらぬ為に彼と同行したジュリアン卿に向かって、どうにか己を取り戻したビショップは心中を吐露した。

「それもこれも、あの悪党のブラッドめのせいだ」歯がみしつつ彼は言った。「主よ、次に奴と会った時に、この借りは必ず返してやるぞ!」

 マラード少佐は笑いを隠す為に顔をそむけ、余計な口はきかずに、長期にわたってビショップ大佐自身の住居であった総督邸まで逮捕者を導いた。マラード少佐が報告の為にまず先に進み、その間、彼はホールに監視付きで待たされていた。

 マラード少佐が入室してきた時、ビショップ嬢は未だピーター・ブラッドと共にいた。 彼の報告は二人を驚かせ、現実に引き戻した。

「叔父様に情けをかけてちょうだい。せめて命だけは助けてあげて、お願いよピーター、私の為に」彼女は嘆願した。

「そうするつもりなんだが」ブラッドは言った。「しかし困った事に、状況がそれを許さない恐れがある」

 姿を隠す為に彼女は庭に逃れ、それからマラード少佐が大佐を連行してきた。

「総督閣下が直々にお会いくださる」マラードはそう言ってドアを大きく開けた。

 ビショップ大佐はよろめきながら入室し、起立したまま待たされた。

 テーブルに着いているその男の姿は、入念に巻き毛を整えられた黒い頭頂以外には何も見えなかった。それからその頭が上がり、一対の青い目が厳しく逮捕者を見つめた。ビショップ大佐は喉から異音を発し、驚きで麻痺したままジャマイカ総督代理閣下の顔をじっと見入った。それは彼がトルトゥーガ島で狩ろうとしていた、己が破滅の元凶である男の顔だった。

 その場面を最も巧みに表現したのは、ファン・デル・カイレン提督の旗艦に揃って乗船した際に、ウィロビー卿に向けて提督が述べた言葉であった。

「ジヅに詩的ダ!」彼は青い目を輝かせながら言った。「キャブダイン・ブラッドは詩をゴノムのだな――あのリンゴの花のゴドですよ。ソウ?ハハ!」



海賊ブラッド 完

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vic isono

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ラファエル・サバチニの代表作。1685年イングランド。アイルランド人医師ピーター・ブラッドは、叛乱に参加し負傷した患者を治療した責めを負い、自らも謀反の罪でバルバドス島に奴隷として売り飛ばされてしまう。 後にスペイン船を奪取して仲間達と共に脱走した彼は、大海賊キャプテン・ブ...
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