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NOMOS cal.DUW5101

今回はNOMOS(ノモス)の5101を分解していきます。
ご尊顔はこのような感じです。

他の現行時計と比べてシンプルな顔になっています。
ノモスや他にはユンハンスなどはバウハウスデザインと呼ばれています。
アール・デコのような流線型とは異なり直線的、機能を優先したデザインとなります。
あくまで自己解釈なので気になった方はご自分でお調べいただくといいかなと思います。
時計以外にも建物などにもバウハウスデザインはあるので建築好きの方は聞き馴染みのある方も多いかなと思います。
それではムーブメントの全体像を。

ノモスなので勿論ベースになる機械はETAのcal.7001です。
これは自動巻(ローター付きの画像は撮り忘れました。申し訳なひ)なので画像上部に
自動巻の巻き上げ関連の歯車が集まっています。
そして巻き上げ方式がETAなどで使われているリバーサー方式ではなくスイッチングロッカー方式です。この時計の他にもルクルトのcal.884/2などに使われているものです。正直どちらがいいとかはないです。巻き上げ効率も耐摩耗性も巻き心地も人の好みに依ります。
それとスイッチングロッカー方式はマイクロローターの自動巻に多く見られるのかなと思います。あ、あくまでも個人の意見ですー。


では分解していきましょう。

自動巻なので最初は自動巻関連から。
これで巻き上げがより分かりやすく見えますね。
ローターが右回転する時は二つ繋がっている銀色の歯車の下部分が横の金色の巻き上げ中間車を回すようになり、左回転の時は上の歯車が巻き上げ中間車にを回します。この時下の銀色の歯車は巻き上げ中間車に引っかかりません。そのためローターがどちらに回転しても巻き上げ中間車の歯車は一定方向にのみ回転するような構造になっています。それと同時にラグビーボール型の軸のある歯車があるのですが、ここは手巻きで巻き上げる際にローターにまで力が伝達しないように歯車同士の歯のかみ合いを外すためにラグビーボール型になっています。

自動巻の歯車を外すとこんな感じです。
それと同時に丸穴車の押さえも外しています。
ここも丸穴が色々いじられています。こんな感じです。

ここにも自動巻の要素が混じってきます。
オレンジの歯車にくっついているラチェットは左の歯車内部にある爪に引っかかります。ラチェットが右回転した時、爪に引っかかり左側の歯車を回します。
逆に左回転した時にラチェットと爪は滑り、空転します。
これも上で説明したアーモンドの軸と同じで歯車に負荷を与えない構造になっています。
しかし油がなくなり、オーバーホールしないまま使い続けると爪とラチェットの刃先が摩耗し、どちらに歯車が回っても空転し続け手巻きも自動巻も巻き上がらなくなります。
そうならないためにも定期的にオーバーホールをお願いしますねー。
部品によってはメーカーでしか手に入らない部品などもあります。歯車一つで2〜3万するものもザラです。
たまに「歯車がこんなに高いわけないだろ!!安くしろ!!」って言ってくる害悪でしかないクソお客様もいます。こちらとしては「そもそも壊れる前に定期的にオーバーホールしてればこんなことにはなってない。ケア方法も学ぼうとせず時計を買って自分で使い続けて壊してて何言ってんだこいつ。」と1人の例外もなく技術者は内心ディスりにディスっております。お気をつけください。そして一銭たりとも安くしません。

やばい、何かが漏れてきた。筆が進んでた。

では丸穴も外しまして。
角穴も外して歯車の輪列構造を。

はい、普通です。今までのノモスと変わりません。
そりゃそうです。cal.7001に自動巻がついただけなのです。
ということで何もありません。

裏側に移ります。

はい、そうです。
裏側も特にありません。
むしろカレンダーの早送りがなくて使いづらいくらいです。
わざわざ針を少し戻して進めてを繰り返してカレンダーを早送りします。もし万が一進め過ぎた場合は時計を二段引きにして1日使用しないという地獄です。

このまま全部分解して洗浄・組立・注油で終わりー。

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