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お盆

今日は、おばあちゃんの命日。
いつものように桃を仏壇にお供えし、お供えした桃を食べ、おばあちゃんを思い出す。岩手生まれ育ちの彼女は、いつもねずみ色の着物を着ていた。

自分の体より大きな"桑"をかついだおばあちゃんを道路に座りながら見ていた。蜃気楼のようにゆれる道と、おばあちゃん。
まだ、小学校の低学年だった私にとってあまりにも強烈な印象だったのか、未だにはっきりと覚えている。
"そんないっぱいかついだらつぶれちゃう"  なんて思いながら、見ていた。母方の実家は最後迄、養蚕をしていたので、ゾワゾワ桑を食べるお蚕さんも覚えている。
両親は二人共働いていたので、私は、このおばあちゃんに育てられた。
おばあちゃんは今の季節、買い物を終え、家につくと
"みっこちゃん、’桃' 買ってきたよ" と私を呼んだ。
2階屋の階段を降りて、"桃"を食べた。
明治生まれの彼女が、買って来る桃はどこか傷んでいたり、小さかったりした。
おばあちゃんと私の思い出。

息子が生まれた時、名前に”桃"の文字を入れてほしいとお願いした。

ものの始末。
この教えはいまも私が受け継ぎ、もしかすると、息子に受け継がれているかもしれない。

※写真は初めて糸績みした、
伊豆の苧です。


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