石丸みどり(染織家、ito.ori.midori)

1994年、伊豆に工房を構える。個展:「ハズムカタチ」(2014年、神楽坂)など|グル…

石丸みどり(染織家、ito.ori.midori)

1994年、伊豆に工房を構える。個展:「ハズムカタチ」(2014年、神楽坂)など|グループ展:「小澤明子/石丸みどり 籠と織物」(2022年、富士宮)など。静岡新聞「アトリエ日記」連載(2021年10月〜2022年3月)。日々の暮らしを綴ります。

最近の記事

 種をまく

今年も和綿の種まきがはじまる。と、同時にカラムシの作業もはじまり あわただしい日々がしばらく続く。 数年前から“伊豆の素材で布を織る” ただただ自分だけの縛りつけ目標なのだが、なんとか続いていて ここに天蚕が加わり(実際は一番はじめに手にした) 自分でもわけがわからなくなってくる。 何故、糸まで手で作くるのか? 誰も問うてはくれないが、 きっと、その答えは、私自身が物足りないからなんだと思う。 もの足りないものは何? 糸との関わる時間、織り上がった布の質感等があるが、 どれも

    • 布を織る

      2023年 伊豆の布研究室 研究生作品 の図録が出来ました。 参加者23人の作品を元に 撮影、編集、デザインをGravphyttiにお願いし お手元に届いた方から “写真も構成もすばらしいく、いつも近くに置いておきたい本です。” と、有難い言葉を頂きホッとしています。 『何故、布を織る』禅問答の様な自分自身への問いかけに 春風の様な応えが、いつか出来るのではないかと糸に遊び 学びの日々です。 さくら、そろそろ咲きますね!  では、また。

      • 2024年

        本年も宜しくお願い致します。 今年のはじまりはマルシェの参加から。 赤ちゃんが使うニギニギを年齢の壁を取り除き使いましょう、と ”アートニギニギ“を作りました。 作るキッカケは“種まきから布が出来るまで”の参加者の中に大学の先生が居て、 学生さんに綿を渡したらずーとニギていたと、聞いた事でした。 少し何かがゆるむのかなと考えました。 伊豆で育った綿を手紡ぎ手織りした布、中にも同じ綿が入っています。 アートと付けたのは一つ一つ違うカタチなので、自分だけのニギニギを 見つけ、

        • 2回目の点と点

          2023年も残りわずか、今年最後の展示は去年から始まった、 "点と点の冬" 籠作家さん、更紗デザイン等を展開している方と私。 3人のコラボは、洋服等で使った残りの更紗はぎれで、裂織り、ノッティングした布が、籠に着けてある籠バック3点。 夏から少しづつ作りはじめ、特に大籠バックは男性にも使って欲しいと願っている。 この展示が終わったら、ゆっくりと先の事を考えつつ、綿作業、帯制作に入りたい。 私にとってのはた織りは帯と着物に集中していて、高機に座ると未だに胸が熱くなり、緯糸を一

          伊豆での暮らし

          富士山に薄ら白い色がついた。 "富士山に雪が降ったよ"と、会話が始まり、今年もあと少しだね、と、 締め括られ笑い合う。 毎年繰り返しされるこの会話は、 この地域ならではのことだと 気が付いたのは、東北に住む友人が 伊豆に遊びに来た時だった。富士山が見たいと言われ目を丸くしたが、 それもそうだ、彼女の住む場所から富士山は見られない。住む場所によって日常的な会話が、暮らしが変わる。十代の頃からの友人なので、会うと十代の頃の自分達に戻るが、暮らしている場所は確かに違うと 実感した。

          ヒトコマ

          ひょんな事から築100年以上の古民家で 織りの教室をする事になり、はじめての場所なのに、 参加した人も私も不思議と馴染んで和気藹々。 裂き織り用のハンカチを切りながら、100年前にタイムスリップした様な 感じすらした。100年前布を織る事は生活に欠かせない事だったから。 帰りのクルマの中、教室に参加した1990年生まれの女子が“いい仕事ですね“と ぽっりと呟いた。その響は嫌な感じのモノでは無く、暖かくしっとりと耳に残った。 ポツポツと桜が咲いて、春になり 来月の終わりには

          伊豆の布研究室

          立春を過ぎ寒さの中にも春の気配を感じる。梅の花の香り、早く咲いた桃の花にメジロが蜜を吸っていて もうすぐ春が来るコトを知らせる。でも、油断は出来ない大雪が降ったりするのもこの季節なのだ。 去年、カラムシを糸にする様になった頃、伊豆の天蚕、綿、カラムシ 伊豆の植物で染めた糸等で布を織る。何か一つにまとめられないか、と、考えていたのたが、色々迷いもあったりでフツフツとしていた。 あるキッカケが有り、去年の暮から本格的に考え、始める事にした。 "伊豆の布研究室" 伊豆の

          2023年

          新年を迎えもう半月近くが過ぎた。 この時期は、自分時間が長く取れるので、作品の制作に集中する。 去年の暮れから、4月の企画展に出展する"更紗とカラムシ"を織り続けている。 夏に家の周りのカラムシを刈り、 繊維を取り糸にした。 勢いだけで進む癖があり、その糸を経糸に張ったはいいのだか、緯糸を一本入れるごとに経糸が数本切れた。わかっているのに後先を考えないこの性格は中々治らない。 今年は4月の企画展、6月の東京神楽坂でのグループ展、10月沼津での展示会の予定があり、また、5月から

          12月

          霜が降りた綿の畑、そろそろ綿の収穫が終わる。今年の天候は今までになく、花の時期、桃が弾く時期、収穫の時期全てが遅れ、まだ、花が咲いる。それでも去年と同じくらいの収穫があった。 畑から戻り、今年採ったカラムシを糸にしながら、何を織ったら良いか考えていた。それにしても、雑草と言われ、必ず刈られてしまうカラムシがこんな美し糸になるとは、物事は奥が深いと改めて思う。 今年も残りわずが、やりたいこと、やり残したこと、を、コツコツとこなしたい。 では、また。 #綿の収穫 #種まきか

          冬の色

          急に寒くなり、移動中の富士山を見て驚いた。(寒い訳だな)真っ白で、すその方まで白が広がっていた。 綿の収穫が始まり、 izudorowa(下着)を製作したり カラムシのwsのお手伝い、 自分のwsや、12\3,4日 "点と点で線になる"の準備などで気忙しい…こんな時は一回立ち止まった方がいいな、自分に聞いた方がいいな(どおしたい)、なんて思う今日です。 さぁ、糸に聞いてみようなか、朝の独り言…段々と外が明るくなりました。

          朝のこの時間が好きだ… まだ寝ているような 静まりかえった空気が漂う中、やかんの沸騰する音を聞いている、 だんだん外が明るくなり始め、今日が始まる。   #手紡ぎ #手織り #草染め #今日も糸をさわる

          朝のこの時間が好きだ… まだ寝ているような 静まりかえった空気が漂う中、やかんの沸騰する音を聞いている、 だんだん外が明るくなり始め、今日が始まる。   #手紡ぎ #手織り #草染め #今日も糸をさわる

          伊豆の木綿

          慌ただしく8月が過ぎて行き 9月になった。朝夕は、涼しく待ち遠しい秋を感じる。 伊豆の木綿の落とし所…伊豆の天蚕、伊豆木綿、伊豆のカラムシ どれも尊い糸なのだが、私に"土"を教えた綿の糸は特別で、何を織ったら生かすことが出来るか育て始めた当初から考えていた。 これかなぁ、と感じるものが出来た 。 もうすぐカタチになる。 綿の収穫次第だが、出来上がったカタチを育てながら作り続けて行こうと思っている。 写真は織りあがった、伊豆の木綿。 では、また。 #手織り #手紡ぎ #草

          お盆

          今日は、おばあちゃんの命日。 いつものように桃を仏壇にお供えし、お供えした桃を食べ、おばあちゃんを思い出す。岩手生まれ育ちの彼女は、いつもねずみ色の着物を着ていた。 自分の体より大きな"桑"をかついだおばあちゃんを道路に座りながら見ていた。蜃気楼のようにゆれる道と、おばあちゃん。 まだ、小学校の低学年だった私にとってあまりにも強烈な印象だったのか、未だにはっきりと覚えている。 "そんないっぱいかついだらつぶれちゃう" なんて思いながら、見ていた。母方の実家は最後迄、養蚕を

          暑い日は

          暑いこの時期は糸作りに勤しむ。 いつも機織りをしている部屋には 冷房が無く"織っている布に汗が落ちる"経験を繰り返し、この時期はべつの作業をする事にした。 綿繰り、綿打ち等外作業、すぐ汗だくになるが、それでも時折やさしい風が吹いて、気持ちが和みます。 布を織ったその先、を、考え続けて て、すこしまとまりはじめたので カタチにしていこうと試行錯誤しています。 暑い日々、どうぞご自愛を では、また。

          始める

          10年くらい書いていたブログ。 そろそろ次の場所にと考え、新たな所へ… ワタを育て始めて4年目の今年、 5月にタネを撒きました。 久々の雨は、土の匂いをさせながら降り始めた。ワタの畑に行った後だったので、雨は嬉しい。相変わらずワタの成長は遅くやっぱりむりなのかなぁと、重い足取りの中考えていた。 でも、でもね、できるだけで良いからワタを育て始め、土を触る様になって、私自身変化したはず、まだ、余り実感無いけど、だから、もう少し続けようかなぁ、新たな感覚の自分を知る迄、と。