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テイラースウィフト Karmaがライブの最後の曲に流れて。

テイラーを好きになって10年以上が経ちました。
最初に行ったライブは、サンフランシスコでの「Fearless」。
トレードマークのキャットアイで、目線を右から左にゆっくりとそらしながら微笑み、曲の合間に、嬉しさとか感無量な気持ちを「Speachless(言葉にできない、の意)」と何度も繰り返し、紫色のワンピースを着たテイラー。会場は本人のコスプレをした女子に溢れ、ライブ中はクラブさながらの大合唱。大盛り上がりのハッピーな空気感、忘れられない思い出となったのです。

それ以来、新曲が出る毎に歌詞を解読するのが、私のルーティンに。

恋する状態を「butterflies in my stomach=蝶々がお腹の中にいる」(※歌の中では「And all I feel in my stomach is butterflies」)と表現することを知った、「Everything Has Changed」。

大学生時代ナイトアウトを覚えた「23」の頃。
ライブ映像を何度も見て、テイラー談義をするのが心から愉しかった「1989」。

息子が産まれる前後の穏やな時間を思い出す「Lover」、取り返しつかないこをしてしまった後悔でいっぱいだった時に聴いた「Delicate」。

聴いてると、その時代ごとに近くにいた人たちを思い出す。そう、テイラーの歴史は、ある意味で私の歴史でもあって。同じように、歳を重ね、酸いも甘いもそれなりに経験し、そこに伴う喜怒哀楽。テイラーの曲に何度自分を重ね合わせてきたことでしょう。ライブ映像を見ても、音楽を聴いても、その気持ちがありありと鮮明に蘇り、ときに胸がチクッとなりながらも、テイラーの歌を傍にしながら、積み重ねてきた時間の愛しさを思うのです。

ときに露骨な恋愛事情を書く、テイラーの歌詞はまるで日記。
私的なものが、結果として、時代や風潮に繋がっている。
奥底で感じてる皆の無意識を掴むのが巧みで、「私の気持ちを代弁してる」って思わせるから、曲が「私たちの歌」になる。
ポップスターって、その時代を代弁する人。彼女は真のポップスターなのだと思う。

どんなにスターになっても、いつだって、孤独で優等生気質さが詰まってて。(幼い子ころ友達ができなかったのは有名な話だし、タトューをしてなかったり、おへそを出さないところも好きだったりします)

今のツアーの最後に彼女が選んだ歌がカルマだったこと、涙が止まりませんでした。

あぁ、これまでのテイラーの物語は、「いじめられっ子で優等生カントリーシンガーの女の子が、世界で1番影響を持つ女性へと成長するストーリー」だったのか!と腑に落ちるのです。

MTVアワードで賞を取った際にはカニウェストに「この賞はビヨンセに与えられるべき」と壇上でトロフィーを取られたこと。ドキュメンタリー「Miss Americana」で映った、過度なダイエットをしていたときのこと、政治的発言を初めて行った時のこと。過去の楽曲の原盤権をスクーターブラウンに買収されたこと。最近では、カニエとの騒動後に1年間引きこもりだったことも話題に上りましたね。

♫Karma(歌詞&和訳)
Ask me what I learned from all those years(ここ数年で、私が何を学んだか聞いて)
Ask me what I earned from all those tears(私は涙から何を得たのかを尋ねてよ)
Ask me why so many fade, but I'm still here (I'm still, I'm still here)(消えちゃう人は大勢いるけど、私はまだここにいるのはなんでか聞いてよ)


この歌で彼女は ♫I keep my side of the street clean、自分の道の側だけは絶えず綺麗にクリアに保っている、つまり自分からは意地悪を仕掛けたりせず、良いことをしてきたからこそ、因果応報に則って、自分は果報を受けている。
そんな自分の人生を賞賛している歌にとれます。

中でも『カルマ』は、正しいことをした結果として、自分の人生が本当に誇れるもので、幸せなものだと思える感情をもとに作った曲なの。私たちには、そういうふうに考えられる瞬間が必要だわ。いつもいつも、自分のことを責めてばかりではいられないもの。『カルマ』って、私のボーイフレンドと同じくらい大切なものって考えられる瞬間を、大事にしないといけないと思うのよ

インタビューより;https://www.tvgroove.com/?p=102479

嘘偽りなくこれまでを歌詞にした、自分を肯定するまでの物語。それが一旦完結し、彼女のジャーニーの第一章は幕を引いたのかなと思わせるほど。だからこそ、この歌を最後に選び、「ERAS(=時代) TOUR」という、大意をもったライブタイトルをきっとつけたのでしょう。この曲に全てが現れているように思います。

歌を聴いていると、いかに彼女がまっすぐに努力し、立ち上がってきたかが伺えるような気がしました。原盤権をめぐって、権利を取り戻すため、全曲Taylor’s versionとして再度レコーディングする態度からも、そう言えるのではないでしょうか。

そんな彼女はTIMEで「今年の人」に選ばれ、グラミーで史上初の4度目のアルバム賞を受賞し、ツアーは、各国の首相が「自分の国にきっと」というほど経済効果をもたらし、さらに、彼氏はスーパーボウルで、優勝。

なんて、お見事!あっぱれテイラースウィフト!と感じずにはいられません。
この曲がトーチとなって、自分を肯定し、勇気づけられてきたファンがきっと沢山いることでしょう。私もそんな1人です。
今や、米国では10人に6人がテイラーを好きと答え、8%の人が自分を大ファンであるというそうです。

15年ほどテイラーをウォッチしているけど、断然今が一番力強くて、輝いている!
実体験からこぼれ落ちる確かな感情を歌詞にし続ける彼女は、きっとおばあちゃんになったとしてもおばあちゃんの嘘偽りない気持ちを基にした歌を歌い続けるのだと思う。
ずっと私のディーバです。