レジェンド・オブ・キングダム 失われた楼蘭王国の秘宝

レジェンド・オブ・キングダム 失われた楼蘭王国の秘宝(中華人民共和国:2021年)
監督:リウ・シェンティ
脚本:クイ・ズーチャオ
出演:リウ・チャン
  :サイ・ミールー
  :ワー・アー
  :フーフー・アンチー
 
かつてはシルクロードのオアシス国家として栄えていた楼蘭王国。その謎の国が滅亡の危機に瀕している時、楼蘭の聖女は秘宝の鏡を通じて、現代の楼蘭の遺構を発掘する若手研究者と交流する。聞けば時空を超えた冒険活劇っぽいが、まったく盛り上がらない、もはや何が訴えたいのか分からない駄作。シルクロードはロマンがあって大好きなんだけど、これは好きになれない。
かつての楼蘭王国は反逆者により滅亡の危機に瀕していた。楼蘭の聖女は追い詰められた神殿で、神に救いを求めて秘宝の鏡を手に取る。場面は変わって現代。海外の調査隊の発掘品略奪に業を煮やした政府は自国の発掘チームを結成。チームは重要な発掘品の一つ、鏡を安全な場所へ運ぶよう若手研究者にその任を託す。悪辣な外国人発掘者はその鏡を強奪しようと追手を差し向けるが、格闘の末鏡は破損しつつも安全な場所へ。壊れたことに途方に暮れる若手研究者だったが、その鏡は救いを求める聖女と通じ合い、彼女との交流が始まる。若手研究者は彼女の証言をもとに遺跡を大発見するが、その功績によって彼は危険へと墜とされるのであった。
短時間の映画に言うのは酷かもしれないが、終始盛り上がりに欠ける。楼蘭王国自体が謎に包まれた国なので詳しくは分からないが、建国の起こりに地球外生命体の関わっていると示唆される。いや、それ持ち出すとロマンも減ったくれもなくなるからやめてほしい。陰謀論大好きな方々は喜ぶんだろうが、オールマイティに設定を作れてしまうから想像力が貧困になってしまう。悪いけど序盤で観る気が萎え始めた。
秘宝や遺跡を巡って悪漢どもと格闘しつつ大冒険っていうのを期待したのだが、まったく冒険しない。ストーリーも駆け足の上、内容を端折っているようで、鏡のこちらの側の現代では数日経っているのに、鏡のあちら側の楼蘭の神殿に立てこもる聖女の時間はぜんぜん経っていなかったりと設定はブレブレ。彼女の身を心配して、鏡を通じて食料や薬を送ったり、身体を温めるために白いファーがついた女性モノのコートを手渡したりと都合よすぎる万能さがある。しかも他に秘宝があるって話なのに全然出てこない。こういう中途半端感がどうしても目についてしまう。
主人公はなよっとした誠実な優男で詩を詠む趣味がある文系男子。アクションなんかできるはずもなく、鏡を奪われそうになったときは、好意を寄せてる教授の娘を見捨てて逃げてしまう。弱っちいのはキャラ付けでもいいけど、普通人の共感はまったく抱くことができない。邦訳のせいだと思うけど、聖女に聴かせる詩もそんなに上手くはない。遺跡を発見した功績で勲章なんかももらうが、調子に乗ってる顔にイラっとしてしまった。最近の中華映画の主役には魅力を感じられない。
更に更に、脇を固めるキャストにも魅力を感じず、秘宝を狙う外国人発掘者はステレオタイプの悪人で演技が一番くどい。その手下どもも絵に描きすぎた間抜けドジぶりで、秘宝の強奪に失敗するのはいいが、主人公を引き立てるような活躍は見せず、画面に出てくると飽き飽きしてくるほど。主人公の師である教授は存在感がまったくなく、その優秀な弟子は主人公の偉業に嫉妬を抱くが、どう見ても男のヒステリーにしか見えず、作品をつまらなくさせる要素。怒られるかもしれんが、現代のヒロイン、教授の娘も楼蘭の聖女も魅力的に見えない。か弱いだけが現代のヒロイン像じゃないんだよなぁ。
砂塵を巻き上げ、失われた楼蘭を求めて、その地へと導く秘宝を巡って、主人公とヴィランが争い突き進んでいく内容を期待していたが、まったく逆。期待外れもいい所だったので特に感想が思いつかない。反対に中共の恣意的な誘導も感じてしまった。

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