マイル22

マイル22(2018年:アメリカ)
監督:ピーター・バーグ
配給:STXエンターテイメント
出演:マーク・ウォルバーグ
  :イコ・ウワイス
  :ローレン・コーハン
  :ジョン・マルコヴィッチ
  :ロンダ・ラウジー
 
放射性物質を巡って、東南アジア某国で情報を握る元警察官を22マイル離れた空港まで移送するため、アメリカの非合法行動部隊と現地保安機関との追跡劇を描く。背後に今欧州を騒がす北の大国が暗躍する陰謀劇の側面もある。
マーク・ウォルバーグが演じる主人公は天才的な頭脳を持つアメリカの非合法活動エージェント。しかし周りと強調することはできず、同僚には聞くに堪えない罵倒をしまくる、あまり付き合いたくないパワハラ気質。機嫌が悪くなったときは右手のゴム製の腕輪をパチンとはじくことで精神を落ち着かせるように習慣づけているが、常に苛立っているのでパチンパチンは鳴らしまくっている。極めつけに恫喝にやってきた現地の大臣と保安機関トップに対して煽って挑発しまくる。かなりの問題人物。だが行動力や機転、戦闘力は一流で、襲撃されても反撃しつつ周囲の状況を把握して最良の手段を選ぶ。そして離婚されて娘の参観日に行けない女性同僚にはちょっとだけ同情しており、彼女を助ける行動も起こした。ピンチの時に光る演技がカッコいいが、いわゆるFワード連発するのは辟易した。この映画のキャスト、みんな連発するけど。
イコ・ウワイスは奪われた放射性物質の行方の情報を知る東南アジア某国の元警察官。放射性物質の情報を元にアメリカに亡命を希望している。またこの人が桁外れに強い。ベッドのサイドレールに手錠で拘束されているのに、二人の刺客を撃退したり、四人の襲撃者を相手に格闘で立ち廻る。それもそのはず、彼は警察の特殊部隊出身で、アメリカと東南アジア某国のスパイもやっていた人物。下っ端の警察官のはずなのに、保安機関のトップが抹殺しようと大勢で襲撃をかけているのがその証左。しかし、彼には更なる秘密があり、放射性物質の情報から亡命には陰謀があった。
すべては最初の襲撃から始まっていた。かつての北の大国の情報機関の流れをくむ組織のアメリカの拠点を、主人公が率いる非合法活動チームが襲撃。反撃されたため犠牲を払いながら敵を射殺するが、その中には18歳の若者がいた。彼は主人公に射殺されてしまうが、直前に「後悔することになる。」と言い残す。
街中を舞台に銃撃戦を繰り広げ、爆弾で自動車ごと爆破するなど派手な演出もあるが、一番の見どころはイコ・ウワイスの格闘シーン。この人のアクションは敵が多いほど盛り上がる。きれいごとでない格闘戦なので、刃物やガラス片で切りつけたり、蹴りで相手の行動を奪って射殺するなどかなりエグイ戦い方を、この作品でも見せつけてくる。身体能力の高さを見せつけるような飛び技も様になる。
作戦行動を起こす際にチームの後方支援が描かれるのがカッコいい。無人機による現況把握と支援攻撃。感熱センサーによる敵数の把握やエージェントたちの心拍数や呼吸を感知計測するなど最新のシステムが演出されている。その指揮を執るのがスーツにスニーカーを履いたジョン・マルコヴィッチ。カッコいいんだけど、最期のシーンには何の意味があったんだろう。
残念なのはアクションに目を奪われて、肝心のストーリーが分かりづらい。最後のどんでん返しがよく理解ができなかった。セリフも廻りくどく感じたし、用語も説明がないので最後まで分からないものもある。最初の北の大国の組織がアメリカで活動する理由に説明がなかったので、おおもとの北の大国が出張ってくる理由が分からない。しかも出張ってくる理由が私怨なのは公私混同以上に国のスキャンダルに結びつくので、かなり危険だと思う。
説明不足感はあるが、迫力ある銃撃戦とテンポのいい格闘戦が好印象。マーク・ウォルバーグとイコ・ウワイス二人のいいところを引き出している。そしてラストの言い廻しからは続編が作られそうな様子。このままで済ますものかと語る主人公と消息が語られない元警察官。そして女性同僚の行方も分からないので、スッキリさせてほしいものである。

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