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無印良品夫

夫は無類の「無印良品」好きだ。自宅最寄りの駅に無印良品があるのだが、なにかにつけてそこに行きたがる。

そもそも、彼のイメージは最初から無印良品だった。
あれは2013年の秋、まだ私たちが「ちょっとお互いを意識し合っている男女」だった頃。劇場でのリハーサルの予定があって(私は出演者、彼は裏方)、それまでにほんの少しだけ時間ができた。

昼食がまだだったので「何か食べて行こうか」という話になった。そこで彼から提案されたのが、無印良品のなかにあるカフェ、いわゆる「MUJI cafe」だった。当時、天王寺のHOOPか&、詳しくは忘れたがどちらかにあったのだ。「MUJI cafe」が。

そこで彼は、バターチキンカレーなるものをとても美しく食べた。その食べ方があまりにきれいだったので驚いた。もしかしたら、この時の食事があったから、私は彼と恋人になったのかもしれない。

そもそも、大阪のやんちゃな世界で育った私にとって(リアル『じゃりン子チエ』の世界である)、彼のような男の子と接するのは初めてのことだった。

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彼と初めて話したとき、生成り色の襟付きシャツを着ていたのを覚えている。
生 成 り 色 の、シ ャ ツ!

私は当時「バイトの制服以外でこんなシャツ着る男の子って、おるんやなあ」と驚いたものだ。そんな男友達は周りにいなかった。後から知ったことだが、このシャツも無印良品だった。

このような経緯からか、私のなかでは夫=無印良品というイメージが定着している。

最近も、新居に引っ越すにあたり、期待を裏切らず(?)「ソファやベッドは無印良品のものがいいんじゃない?」などと言ってきた。ここまでいくと真骨頂である。

無印良品に憧れる気持ち、あのブランドを愛する気持ちはわからなくもない。こんなことを言いながら、私も文房具類は無印良品のものを使っているし。

さらに、出産してからは「着心地のいい」服が好きになって、ぽつぽつと無印良品のものを買うようになった。ボーダーのトップスとかチノパンとか、20歳くらいの私からすればありえないような選択肢である。しかし、今はそれが心地いいこともあるのだ。

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無印良品とは「しるしの無い良い品」という意味だそうだ(「無印良品」公式HPより)。
この言葉に、はたとした。これ、夫という人間を表しているなあ、と。

夫は無欲というか、いつでも「自然にそこに在る」人だ。いろんな環境の変化を柔軟に受け入れ、かつ自分の芯を持っていられる人。決して自己主張しないのに、確固たる意志を持っている人。

目立った経歴があるわけでも、口が上手いわけでもない。どちらかというと目立たない人かもしれない。でも、いつでもそこにすっくと立っている。その場に必要とされている。

うーん、彼が無印良品を愛している理由がわかってきたかもしれない。おそらく、夫のアイデンティティと、無印良品のコンセプトがしっかり合致するのだろう。自分の住んでいる街に無印良品があると、ちょっと嬉しい。夫ってまさしくそんな人だ。

これから「パートナーはどんな人ですか?」と聞かれたら「無印良品みたいな人です」と言ってみようかな。


(Day.6)

▼昨日の記事。当たり前のように仕事ができるありがたさ。▼




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