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伝統食品でもまだまだ進化していることを、日本が誇るスーパープラントベースフード・豆腐を例にして語ろう。

※トップ画像は相模屋食料株式会社HPから引用しました。

 伝統食品でもまだまだ進化していることを、日本が誇るスーパープラントベースフード・豆腐を例にして語ろう。

 2012年、突如それは襲来した。まだ覚えている人も多いだろう、そう、「ザクとうふ」である。

ザクどうふ。味は枝豆味(意外に普通)

 ちなみに僕はガンダムは全然詳しくない。00しか見たことない。
 ……ほんとだよ?

 これを販売したのは今や年間400億円を売り上げるメーカーとなった相模屋食料。 最近だと、「ビヨンドとうふ」や「ひとり鍋シリーズ」といった変わり種をスーパーで見かけたことがある人も多いと思う。
 こうしたユニークな商品の走りが「ザクとうふ」だった。

「ザクとうふ」は売れに売れた。特に大きなおともだちに売れた。
 もうなんか、意味が分からない。なぜ豆腐でなぜザクなのか。量産型だから良いとかよくわからない話も聞いた。
 そうか。わからん。

 あと、なんかパッケージのいわゆる「目」にあたるモノアイのシールの部分だけは手作業で貼っているとか、そもそも社長が大ファンだとか、そういう情報をうまく流していた。
 うん、ヲタクはそういう細部のこだわりと作品を愛している人に弱い。
 僕は詳しいんだ。

 まぁ充填とか成型とかそれなりに苦労はあると思うけど、とはいえ製品そのものの栄養成分や機能性がこれまでから特に変わったわけではない。
 でも、ものすごいブームになった。
 実際その年の食品ヒット大賞で優秀ヒット賞を獲得している。

 社長の鳥越さん、婿養子で雪印出身なんだよな。多分豆腐業界のことは、最初は全然知らなかったと思う。でもだからこそ、豆腐のような成熟したと思われていた産業に風穴を空けられたんだと思うのよね。

 そもそもあの当時、豆腐って立方体だとみんな思ってたもんね。
 男前豆腐店だけはちょっと変わった形の豆腐売ってるなーと思ったけど、まだ豆腐の形として認知できるものだった。 そこからザクは、色んな意味でちょっとレベルが高すぎる。

 相模屋食料はその後も「百式とうふ」とか「ズゴックとうふ」とか、社長の趣味全開な商品を出しながらも、先述した「ビヨンドとうふ」や「ひとり鍋シリーズ」のようなユニークな商品を出しまくっている。

 個人的には「ビヨンドとうふ」の中でも「うにのようなビヨンドとうふ」はすごく良い出来だと感じた。新商品の投入があれだけ早いっていうのは、きっと社内がいい循環しているんだろうね。
 少しうらやましいな。

公式HPより。うに臭いんだけど、うに臭すぎないのが良い。
醤油をつけて食べるべし。

 さて、豆腐はまた最近別の姿になってヒットにつながっている。
 それがご存知「豆腐バー」である。

 発売元はいくつかあるが、一番メジャーなのはアサヒコだろう。
 これは時流と、そして食べやすい包装形態にポイントがあった。

 ヒットの土壌としてはサラダチキンがその少し前に流行っていて、低糖質・高タンパク質というものの価値が世間的に認知されていたんだよね。そういう環境変化に対して、豆腐を「バー」という、ワンハンドで手軽に食べられる形で示せたのは大きい。

 豆腐バーの技術的なところに関して言うと、タンパク質がコンセプト上普通の豆腐よりも高めに作らざるを得ない。これはそもそも実現に技術が必要だったところだろうし、少し味を犠牲にしているかなと感じることもある。
 ちなみに僕はセブンのひじきと枝豆入ったやつを愛用していて毎週買っているけど、それを話したらちょっと驚かれた。
 あ、最近出たすき焼き風味も好きだよ。

枝豆とひじきの豆腐バー。私の愛用品。
タンパク質10gも良いし、食物繊維が取れそうなところも良い。

 味には課題があると言ったけれども(僕は正直思わないけど、周りの評判としてね)、コンビニの棚は食品業界で最も回転が早く、売れないものは即淘汰されるんだ。
そのコンビニの棚に並び続けているということは、それなりにリピーターが多いのだろう。

 前に醤油の容器の進化が醤油の新たな価値を引き出した話をしたけど、醤油とか豆腐みたいな大昔から食べられている商品が今もなお進化を続けているっていうところに、日本の食品メーカーの底力を感じる。

 豆腐はさらに、機能的にも進化を遂げたものがある。テトラパックに入った、賞味期限が半年近くて、常温で保管できる豆腐なんてものまで出てきている。昔は店頭で切り売りされていた豆腐は、もはや保存食の一つでもあるんだ。
 これ、森永乳業がやってるっていうのが面白いところよね。

森永乳業の絹とうふ。UHT殺菌を利用することで常温で長期保管可能。
Xで法規制により、日本では40年くらい売ることが出来なかったことを知った。

 近年はプラントベースフードが世界的な潮流になりつつあるけど、その中でも豆腐にはトップを狙えるポテンシャルがあると思っている。
 最近では海外でも豆腐を見かけることが増えてきているそうで、数年前しばらくアメリカで生活していた時には、片田舎のスーパーだったにもかかわらず確かにTOFUは並んでいた。

 これは個人的な意見だけど、こういうものを昔から食べているという歴史があるから、僕は日本ではプラントフードというコンセプトだけでは流行らないのではと思ってるんだけどね…… まぁ、こればかりはわからんけど。

 以上、伝統食品でもまだまだ進化する豆腐の話でした。
 みなさま、良い豆腐ライフを!


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