【学生Fエンジン開発】1Dシュミレーションの効率的な利用方法

給排気系などの諸元検討に、シミュレーションを用いるチームは多いかと思います。学生フォーミュラではGT-POWERが比較的メジャーに使われているという認識です。今回は、現在はシミュレーションをあまり活用できていないチーム向けに、オススメの検討と、実務的な要領をまとめます。

最近、生活習慣の変化から記事を書く時間がとりづらくなってきました。限られた時間で、出来るだけ有用な情報を提供したく、「GT-POWERとは?」などの説明は省略し、より実践的な内容に注力します。ご了承ください。
「正直、今の学生Fチームのレベル感が分からんので、伝えたい事だけ書いておくか」という内容なので、分からない点は各自で調べて頂くか、Twitterでご質問ください。

●効率的な利用方法

学生フォーミュラにおけるGT-POWERの利用方法として、私が考える最も効率的な運用は、給排気系の検討です。理由としては、

・評価指標が単純(エンジンにどれだけ新気が入るかだけを気にすれば良い)
・仕様の相対比較が出来れば良いので、シミュレーションに要求される精度が低い。
・モデルと実験の結果比較が簡単(給排気の圧力は簡単に計測でき、合わせ込みによりシミュレーションの精度を向上できる)
・給排気系は新たに設計が必要なため、重要度が高い。

逆に、エンジン内部の燃焼過程をシミュレーションするには、温度や熱伝導などの多くのパラメータを設定する必要があります。筒内圧計測のデータなどが欲しくなり、工数に対してリターンが少なくなりがちなので、最初は推奨しません。

●モデル作成の要点

GT-POWERの操作、モデルの作り方などについては省略し、実務的な要領をまとめます。

・実機のデータ計測環境を整える
シミュレーションの精度向上のためには、実機の計測データと比較し、校正する必要があります。シミュレーションと実験はセットと考え、実機の運転データと比較する事を心掛けます。

・温度と圧力を合わせ込む
給排気系検討で実測値と合わせ込むのは、主に温度と圧力です。スロットルバルブやエアクリーナーなどの流量係数や、壁面の熱伝達係数を調整して実測値に近づけます。圧力は吸気・排気行程で大きく変化するので、平均値として扱うと良いでしょう。

・合わせ込みは上流から合わせる
実測データとの比較は上流からが鉄則です。吸気の流量がズレているのに、排気の合わせ込みを行っても意味がありません。

・エンジンの給排気バルブリフト量を把握しておく。
給排気系の検討に関係するエンジンのパラメータの中で、調べるのが難しいのはバルブプロフィールです。エンジン性能に大きく関わるので、メーカーは公表していません。ダメ元で問い合わせるのも良いかもしれませんが、是非自分たちで計測にチャレンジしてもらいたいところです。


●まとめ

少し乱雑な文章になってしましましたが、これから給排気系の設計にGT-POWERの利用を検討しているチーム向けに、簡単な要領をまとめました。

幸い、GT-POWERは日本の代理店(IDAJ様)のサポートが手厚く、分からない事を相談すれば対応してくださりますし、エンジンメーカーでもかなり使用されているソフトなので、エンジン関係の仕事に就く上では非常に良い経験になるかと思います。
これを機に「少し触ってみようかな?」と思って頂ければなによりです。

Twitterやってます。
学生フォーミュラでエンジン関連についての悩みがありましたら、ご相談ください!

https://twitter.com/itsuki_LAB?t=W-eX1NMHGfrqB8XvBXQXRg&s=09


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