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キムさんラストあら恋。/極私的目線バージョン/20150328/池下UPSET

あらかじめ決められた恋人たちへからキムさんが脱退した。

元々、池永さんがはじめたソロ・プロジェクトであるあら恋、大阪時代はメンバーも固定されていなかったし、上京以降、バンドでの活動をはじめてからも、僕はプロフィールで「組織体」、「ユニット」とあら恋を定義し、その構造が池永さんを中心にしつつも流動的なものであることを示唆していた。なので、覚悟していたはずなのだ、こうして誰かが脱退することは。ところが、脱退するのがキムさんだったのはやはり意外だったし、動揺したわけで。大阪時代からサポートに入って10年目、ベースのカミジョーさんとの旧・あらかじめ決められた恋人たちへにも参加していたから、このラインは途切れないと考えていたのだけれど、、、

とはいえ、あら恋新体制&ワンマンライブ発表と前後してアップされた剱さんのブログが、今回の結論に至った経緯やキムさんの人柄をすべて表していて、ここには補足することがもはやないのです。まずはこちらを

続けるお前、めっちゃストロング。 

キムさんとはじめてまともに話したのは、それこそ池永さん、劔さんが揃ってバンド結成の話をしていた、中野のクラブかもしれません。その後も、個人的にはキムさんのトークには何度も笑わせてもらいました。一度、あら恋メンバー全員インタビューに参加してもらったときも、当日はクッソ寒かったのにジャージで颯爽と登場して、「この気合があるから、あんなガツンと来るドラムが叩けるのか」と合点がいったものです。だけど、中高生のときに好きだったバンドは「メンズウェア」とか言っていたので、そういうところのギャップが絶妙で素晴らしいなと思いましたし、池永さんと波長があった部分だったのではないでしょうか。

今回、キムさんのラストライブをワンマンという形で組むことができず、愛知・今池のフェス「IMAIKE GO NOW!」で迎えることになり。さすがに最後のライブ(ex.TAMTAMの樹音くん的にいうとラストダンス)は観なきゃ絶対後悔するってことで、久々に池下UPSETに。大阪、東京から駆けつけているファンも多くいて、バンド体制になってからのあら恋が、いかにその知名度と人気を高めてきたのかが窺えました。ちなみに会場でメンバーと合流すると、PAの宋さんもこの日が最後であることを聞かされて驚きました。

春は別れの季節……。

ライブ前、キムさんにはちょっと意気込みを聞きました。

――キムさんは「いつも最後のつもりでドラムを叩いている」って言ってましたけど、本当に最後になってしまいました。

キム「でも、いつも通りやね(笑)。ただ………ライブ終わったら……泣くな(笑)」

――めっちゃ笑顔で言いますね。これからドラムはやっていくんですか?

キム「やるで。今参加してるRyoma Maeda & Romantic Suicidersもやるし。この前、Ryomaさんから『youtubeに楽曲アップしたから見といて~』って言われたし(笑)」

とのこと。終始晴れやかな顔でメンバーと話すキムさんからは、寂しさよりもドラマーとしての今後への期待感が高まるものでした。

さて、「IMAIKE GO NOW!」池下UPSETのトリとして行われたラストライブ。その模様はおそらくオフィシャルなページにアップされるはずので、詳細は省きます。が、やっぱり「Back」や「ラセン」といった楽曲は、キムさんのドラムがあったからこそ成立したものなんだろうなと思いました。もちろん、JUKE/FOOTWORKファンとしては、新ドラマーGOTOさんがやっても絶対うまくいくだろうという確信はあるのですが、それはもう別物になるだろうし、むしろ別物にしないといけないと。

「ラセン」のソロパートでビートを叩き込むキムさんの、ドラムに全身を委ねるかのような姿を見た時、一番、寂しくなりました。

演奏終わったあとに感想を聞こうと思ったのだけど、終始晴れやかな、吹っ切れた表情のキムさんを見て、その必要はないなぁと感じました。そしていつものごとく、大型のワゴン車に機材を積み込み、メンバーとスタッフの皆さんは会場を後に。

終わってみれば、いつものあら恋のライブで、むしろメンバーにピリピリした様子は全然ないのが印象的だった、名古屋の夜。

新たなスタートを決意した者たちは後ろを振り向くことがないし、やはり強いのです。


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