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『味園ユニバース』を観た

最初に聞いた時は組み合わせの謎感だけでお腹いっぱいになりそうだった味園ユニバース、観てきました。ネタバレしてます。
ジャニーズ主演映画を観に行くのは稲垣吾郎主演の『プライベートレッスン』以来かなと思うんだけど(嘘)、これは至極まっとうな音楽映画で、歌がすべてを繋いでいく構成に惹かれましたね。ミュージカルとは違うのですが、歌の説得力なしでは語れないものでした。本作は充分説得力があったので、それで満足です。

大阪の裏聖地とも言える味園ユニバースが舞台だし、赤犬が出演だし、と考えるともっとコメディタッチなものになるのかなーと思ったのですが、オープニングからけっこう不穏な空気が続いて行くのが意外でした。中盤あたりは確かにキャラの面白さや小ネタをちょいちょい挟むので緩さも出るんですが、不穏さ自体は途切れることなく、終盤にはまた膨らんでいくという。ただ全編にわたって二階堂ふみと渋谷すばるの存在感が不変で物語の核として強くあり続ける、それがラストの(ほとんど何も解決していないのにもかかわらず)清々しさに変換されたように思います。ふたりとも顔で語るし、中盤のスイカのシーン、美しかったなー。
山下監督の小ネタ好きとしてはもうちょっと遊びが欲しかった気もしますが、それは見直すといろいろ出てきそうですから。二階堂ふみのランバードのジャージと、ポチ男の姉が首にしていたピップエレキバンは卑怯。あと、タカタカアキさんのところでもっと爆笑くるかと思ったら新宿の映画館では場の雰囲気を崩すまでには至らず。酔わせてよっ!

ここからは個人の思い入れの話ですが……

赤犬(アキラさんメンバー時代)、ペンペンズ、アナタキコウ、ポスターにあった3.6MILK、ラブラボ、そうそう、当然音楽担当のあら恋池永さんも(ギターの音色良かった)。
それらは10年前、僕が四ツ橋にある専門学校で触れたり知り合ったりして影響を受けた音や人だったりするのです。山下監督の『どんてん生活』をはじめて観たのもその専門学校の授業でしたし。大阪の南部出身なので、キタやミナミを中心とする市内の文化や場所に触れたのは3年くらいなのですが、やっぱり人生においてはけっこう重要な時間だったのは間違いないわけで、その風景は懐かしいと言えるものでした。ああ、もう“懐かしい”とか思っちゃうのか、という儚さもなくはなかったのですが、山下監督も愛知出身だし今回の舞台を客観視している部分があって、過度に感傷的になることもなかったのも事実で。それがなんだか心地良かったです。たぶん、物語のスケール感がノスタルジックな気持ちも包み込んでいってくれたからなんだと思います。

パンフも細かく作品を振り返ることのできる情報量で、オススメです。オフィシャルライター鈴木淳史さんの活躍ぶり!

今観ることが出来て良かったです。

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