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【ネタバレあるよ】岡村靖幸2023→2024 WINTER TOUR「元気です」@Zepp DiverCity

岡村靖幸2023→2024 WINTER TOUR「元気です」、
初日のZEPP DiverCityに行ってきました。

そのツアータイトルに何の偽りもなし。

TL上を賑わせているように、「岡村ちゃん、元気でしたよ!」
と、ベランダに立ってみんなに言いふらしたくなる、そんな全開・全快のパフォーマンス。胸を張って「良かった!」と思えましたし、今もライブの興奮を噛み締めながら突然の寒さをしのいでいます。

端的にどれくらい元気だったかと言いますと、
なんとバラードは、弾き語りパートでのビリー・ジョエルをのぞけば
「イケナイコトカイ」一曲のみ。

残念ながら最終日が延期となってしまった前回のツアー「テクニカルサポート」が、どちらかと言えばどっしりねっとりとした、濃厚なファンク・ソングが中心のセットリストでアダルティに攻めてきたのと比べると、よりテンポを上げて150分、ストレートに走り抜ける感じの内容。

SNSや雑誌連載では元気な顔を見せてはいたものの、体調不良による最終公演延期だったこともあり、やはりオーディエンスは「大丈夫かな?」とその体調やパフォーマンスが心配になるわけじゃないですか。それに対し、あれだけ初っ端からフルスロットルでやりきってくれると、こちらの不安や緊張もすっかり吹き飛んで楽しめたというもの。優しいね、ニクいね、エンターテイナーだね、と心から思いました。

※ちなみに前回ツアーの聴きどころは、『操」から「赤裸々なほどやましく」、「レーザービームガール」、久々復活「SEX~マシュマロハネムーン」、『幸福』から「できるだけ純情でいたい」あたり。プリファブ・スプラウトの「Appetite」をカバーするという意外性もあった。ネオアコ始祖とも言える爽やか職人系ギターポップも、岡村ちゃんが歌唱するとソウルフルに響くものですね。

トピックとしては、前回ツアーから、長きにわたりバンドを支えてきた横倉和夫(Ba)、太古富士子(key)が勇退し、なかむらしょーこ(Ba)、大嵜慶子(Key.)(前ツアー)→土屋佳代(Key.)(今ツアー)へとチェンジ。トランペットには小出儀嗣が参加。一音一音が太め、生音重視で響くベースの効果もあり、ロック寄りのサウンドにシフトしたのは今ツアーにも引き継がれていた。MCも、現メンバーでは最古参となる上杉雄一(Sax.,etc)が担当となり、体制としては2023年、また変化していてこちらもポイントと言えますね。

何より、オープニングから元気に「チャームポイント」は痺れた。この疾走感と幸福感は素晴らしい。アウトロの「バーコード録画でビデってる」パートを引っ張って「どぉなっちゃってんだよ」に繋ぐ構成も良きアレンジ。

※備忘録的に書いておくと、「バーコード録画」は「Gコード録画」が広がる直前に流行った方式で、ペン型の端末でバーコードをスキャンするもの。私の年齢(40歳)でギリギリ経験している。付属のバーコードをあの端末がなかなか読み込まないんだよな。

ほぼオリジナルアレンジの「Vegetable」に、エレクトロ×生音のバランスも良かった「モン・シロ」があって、バンドメドレーが終わった直後のタイミングで早くも「あのロン」~「だいすき」。そのあとに「うちあわせ」をやったりするのはけっこう新鮮だった。そしてムード派高速ファンク「ハレンチ」で再びダンスフロアを創り出して、「ステップUP↑」~「住所」(ここのつなぎも激オシャレ!)~「ステップアップLOVE」と、ポップでノリの良い岡村靖幸をギュッと凝縮したかのような展開。

アンコールでの「パラシュートガール」も、アウトロでギターに戻るアレンジになっていてこちらも素敵。エンディングは「愛はおしゃれじゃない」~「ビバナミダ」で固定しつつ、全体的にはかなりサプライズが多く、高揚という高揚を抽出していった空間となっていた。

岡村ちゃんの声は高音もよく出ていたけれど、ちょっと枯れ気味で細め。それでもまだ初日、今後、どんどん良くなっていくでしょう。ダンスは近年ではもっともシェイプされた身体を活かした、メリハリの効いたものに。こちらもどんどん妖艶さを増していくのではないでしょうか。衣装も小技が効いていて、細部まで楽しめるのも◎。

ざっくり振り返ったけれども、
特筆すべきは、一回目のアンコール。
幕開けと同時に、櫻井敦司のソロアルバム『愛の惑星』用に
書き下ろした「SMELL」のカバーを。
櫻井敦司にしか書けないエロチズムと、岡村ちゃんが同時期にリリースした『Me-imi』時代らしい、密室的ファンクが組み合わさった楽曲を、ライブでは久々に披露。

特に何かを発言したわけではないけれど、このタイミングで「SMELL」を歌うのは、岡村ちゃんなりの愛と祈りの体現であるのは間違いないし、櫻井敦司のボーカルもしっかり使われた特別なアレンジとなっていて、胸に迫るものがあった。

続く洋楽カバー枠として、プリファブ・スプラウトと同じくらい意外なDEVO「Girl U Want」。テクノ・ポップ(by阿木譲)サウンドとドライでパンキッシュなギターリフが新鮮。イントロではロボットダンスも披露していて、洋楽のセレクトが、スティービーやビリー・ジョエル、プリンス、U2といったところから、徐々にニューウェーブへと接近しているのが興味深い。

そして。
アンコール3曲目には、かつてバンドメンバーとしても参加していた森俊彦のソロユニット=ajapaiとのコラボ楽曲「大車輪 feat. YASUYUKI OKAMURA」が! 作詞(磯野栄太郎名義)とボーカルのみを担当している楽曲だから、ライブで披露される可能性は低いかなぁ~と思っていたので、これも冒頭のサビメロが響いたときに大いに盛り上がる。原曲の2ステップ~ガラージアレンジからはちょっぴり重くファンキーなバンド・サウンドに変換されていたものの、明らかにメロディは岡村節(ajapaiのトラックと言えど)、汗と青春が入り交じるキラキラした感触があって、この日のこの3曲の流れは、個人的なハイライトだった。

※ミニ情報としては、「大車輪」は一度シングルカットもされているんだけど、こちらは佐々木収(MOONCHILD)がボーカルを担当。その前に出たアナログと、のちに出たアルバムでは岡村ちゃんボーカルです。

嬉しいことに、今回から弾き語りが復活(前ツアーはなかったので)。「Zeppベイベー」も久しぶりに聴けたし、ライブでの一期一会感は高まっていました。そういえば、前ツアーでは、大阪だけ「どうかしてるよ」を歌っていて、それも感動的だったんだよな。年齢を重ねれば失くしていくものも多いし、特にミュージシャンの訃報が多かった今年、それを実感していく日々だけど、だからこそこの瞬間、この夜だけは、と懸命に歌い踊る姿に胸が熱くなるし、励まされる。

ということで、今回のTOUR『元気です』はけっこう見どころが多く、アップテンポでノリの良い楽曲が連発されるので、初めての方にもオススメしやすいです。多田玲子さん(あの最高のロック・デュオ、Kiiiiiiiのドラム!)のグッズも超カワイイしね。

照明やPAの完成度はこれからどんどん増していくと思うので、来年初頭の千秋楽まで楽しみです。

【仙台公演のチャームポイント】
2公演目となったのは仙台。今回はライブハウス仙台GIGSで、パイプ椅子を並べた簡易着席方式。基本セットリストは変わらず。
○曲順で言えば「あのロン」〜「だいすき」が本編ラストに移動。
○またエレピ弾き語りなし、かわりに「Lion Heart」をバンド演奏で。
○岡村ちゃんの最初の衣装、スーツの後ろには「Peace」と書いてある。
○DEVOカバー曲では、ベースのなかむらさんが唯一シンセベースを弾く。ダンサーふたりはエナジードームではなく黒いハットを被って登場する。
○仙台のアンコールは「やっすゆき!」コール有。
○声はかなりGOODでしたが、前半飛ばしすぎたためか、後半はかなりお疲れのご様子。それでも表情はキメキメなんだけど。
○ダンスはホント素晴らしい。躍動感あり。

【京都公演のチャームポイント】
大阪でもセットリストが変更になったという情報を得ていたものの、
京都でもさらに変更。
◯「Vegetable」、「うちあわせ」なし
◯「19(nineteen)」、「聖書」が追加。
「19」から「聖書」のつなぎに鳴らされたのは、あのファンキーなベースフレーズ。なかむらさんの弾き出すぶっとい音、迫力あった。
◯アンコール(2nd)では時節柄に合わせて来年の作戦考える「Peach X’mas」。
◯「パラシュート★ガール」の「ギターなんてモウレツさ」のあとにフィーチャーされる、上杉さんのハープソロ、面白いよね。ギターじゃないけど猛烈。
◯ちなみに最初の衣装(スーツ)の背中にかかれている文字ですが、「Peach」を訂正する形で「Peace」になっているらしい。
◯ロームシアターサウスホール2階最上段から鑑賞。勾配も急なので完全にステージを見下ろす形で興味深く拝見。コンパクトで一体感があったけれど、左右のメインスピーカーよりも席が高い位置にあったので、音響的にはちょっと物足りない。まぁこれは仕方ない。
【J:COM八王子ホール公演での気付き】
この日はOut Of Blue、彼氏になって優しくなってなし、SUPER GIRL追加。アンコールのバラードは「どうかしてるよ」追加。前ツアーの大阪公演以来。弾き語りはギター。ユーミン&ボサ・ノヴァ(アントニオ・カルロス・ジョビン)のカバー。序盤の「モン・シロ」が意外と良いことに気づく。
あと「パラシュート★ガール」のあのアレンジは、かつてMySpaceで公開されていたデモバージョンを元にしてるんだな。確かに生音重視の今回のサウンドにはこっちのほうが合う。
たぶん今回は八王子が最後かな。

次回はRHYMESTER公演。そして岡村和義も発表された。2024年も驚きのある岡村ちゃんに出会えそう。

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