幸せになりたいエルフの冒険 第十一話 エルフと願いを叶える実 パート5

エルフの女の子デフィーは、
ダークエルフの女の子フィリア、
人間の女性で作家のシャイルと一緒に
幸せを探す旅をしています。

夕暮れ時に宿を取る為、
ある町に立ち寄ったデフィー達。
その町には濃い霧が発生しており、
デフィーはフィリアとシャイルと
はぐれて一人になってしまいます。

その際デフィーは霧の中で、
占い師を名乗る若い女性の
ルフトシュに出会います。

ルフトシュはデフィーに
食べれば願い事が叶うと言う
アギベデの実を渡して
去ってしまいます。

その後無事にフィリア達と
合流することが出来たデフィーは、
宿の食堂でフィリア達に
ルフトシュやアギベデの実のことを話します。

デフィーの話を聞いたシャイルは、
願いを叶えるアイテムが
登場する物語の中では、
争いが付き物だと二人に話します。

フィリア「ああ・・」

デフィー「・・・」

シャイル「その争いの中で、
     願いを叶えるアイテムを
     手に入れる為に嘘をつく者。
     或いは
     願いを叶えると言う効能を
     謳う偽物を使い、
     別の何かを手に入れる為に
     嘘をつく者が出てくる・・」

デフィー・フィリア「・・・」

シャイル「争いの末に幸運にも
     願いを叶えるアイテムを
     手に入れることが出来、
     そして自分の願い事を
     叶えられる者も居るんだけど、
     そこにもまた
     問題が有るのさ・・」

デフィー・フィリア「?」

デフィー「願い事を
     叶えられたのに、
     問題が有るんですか?」

シャイル「そうさ」

フィリア「どんな問題なの?」

シャイル「新しい何かを
     得ると言うことは、
     今持っている何かを
     失うと言うことになる・・

     願いを叶えるアイテムが、
     叶えた願い事に相応の代償を
     求める場合が有るんだよ・・

     そしてその代償は、
     願い事が大きくて困難なほど
     大きくなる・・」

デフィー・フィリア「・・・」

シャイル「それだけじゃない・・
     そんな思いまでして
     叶えた願いが、
     自分が本当に望むものでは
     なかったことが、
     願いを叶え
     その代償を払った後に
     分かることもあるんだ・・」

デフィー・フィリア「!?」

シャイル「そうなってしまったら
     どうだい?
     争い、偽りを繰り広げ、
     やっとのことで
     願いを叶えることが出来ても、
     代わりに多くの物を失い、
     更には叶えた願い事が、
     自分が本当に望むものでは
     なかったとしたら・・
     それは
     とても良い結末とは
     言えないんじゃないかな?

     こんなことになるなら、
     願いなんて
     叶えなければよかった。
     そうなる原因となった
     願いを叶えるアイテムなんて、
     端から存在しない方が良かった。
     なんてことにも
     なりかねないよね?・・」

デフィー・フィリア「・・・」

シャイル「まぁ、
     そういった結末を迎える
     物語の多くは、
     人間が戒めや教訓の為に
     書いたものが多いからね。

     必ずしもすべてが
     今話したような結末を
     迎える訳ではないとは思う。
     だけど、
     それでもやっぱり
     願いを叶えると言った
     アイテムの類を、
     私は好きに
     なれないんだよね・・」

シャイルの話を聞き、
すっかり意気消沈してしまう
デフィーとフィリア。

その様子に気がつくシャイル。

シャイル「すまない二人共・・
     場の空気を悪く
     してしまったね・・

     今話したことは、
     あくまで一部の
     物語の中の話だし、
     その感想についても
     私が勝手に
     そう思っているだけさ。

     だから目の前に有る
     この果実とは
     関係の無いことだからね・・」

フィリア「・・そ、そうだよね」

デフィー「・・・
     でも、
     今シャイルさんが
     してくれた話にも
     一理有ると思います」

フィリア「う、うん」

デフィー「私、成り行きで
     この実を受け取って
     しまったものの、
     どうしたら良いのか
     迷っていたんです・・」

フィリア・シャイル「・・・」

デフィー「フィリア、
     シャイルさん。
     私、どうしたら
     良いんでしょうか?」

フィリア「う、う~ん・・」

シャイル「そうだね・・
     この実を貰ったのは
     デフィーちゃんだから、
     デフィーちゃんが
     思うようにしたら
     良いと思うんだけど・・
     それが分からないんだよね?・・」

デフィー「はい・・」

シャイル「・・それなら、
     敢えて私の考えを
     言わせてもらうよ」

デフィー「はい、お願いします」

シャイル「うん・・
     今話したように、
     願いを叶えると言った
     類の物に
     良い印象が無い私としては、
     その果実の効果が
     本物にせよ、
     そうじゃないにせよ、
     デフィーちゃんが
     その果実を使うことには
     正直反対かな」

フィリア「シャイル・・」

デフィー「シャイルさん・・」

シャイル「デフィーちゃん、
     すまないね・・」

デフィー「い、いえ。
     ・・フィリアはどう思う?」

フィリア「えっ?
     ぼ、僕は・・」

デフィー「うん。」

フィリア「・・ごめんよ、
     デフィー。
     僕も反対なんだ・・」

デフィー「えっ?」

フィリア「その実をどうするかは、
     貰ったデフィーの好きに
     したらいいと思うのは
     シャイルと同じ意見だよ。

     でもね、
     もしデフィーが
     使うことを選んだのなら、
     その実の効果が本物にせよ、
     偽物にせよ、
     僕は不安で仕方がないんだ・・

     だから出来ることなら
     デフィーには、
     その実を使ってほしくないと
     思っちゃっているんだ・・
     ごめんよ・・」

デフィー「フィリア・・」

パート6につづきます。

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