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日本とアメリカの給食の違い―誰のために「食べきる」の?(幼稚園〜小学校)

アメリカと日本の給食の一番大きな違いは何でしょう?


一言で言うと「アメリカでは全部ちゃんと好き嫌いせずに食べなさい」と言われないことです。


うちの娘は日本の幼稚園で給食を食べ、アメリカの現地校でもたまたま給食がある学校に通っていたのでそのときの経験をお伝えしようと思います。


まず日本の給食。
ごはん(パン)、汁物、主菜、副菜…それぞれの料理が違うお皿に入れられています。お皿の数が多いですね。


食べるときはそれぞれの皿を持ち上げて(主菜のお皿は持ち上げないことも多いですが)「三角食べ」をして美しく盛り付けられたお料理を食べていき、最終的には全てのお皿にものが入っていない状態を目指します


誰かが作ってくれたお料理を残すのは「失礼」で「お行儀の悪いこと」


私が子どもだった時は全部給食を食べ終わるまで席を立ってはいけなくて、少食の子や好き嫌いのある子は掃除の時間になっても一人残されて給食を食べさせられる光景をよく見ましたが、最近の学校ではそこまで強制力を持たせることはなくなったようです。


そうは言っても「最終的に全てのお皿にものが入っていない状態」を目指すのは変わりません。
それが美しくて作ってくれた人に失礼ではないから。


一方アメリカの給食。
(補足ですがアメリカの学校はお弁当形式の学校も多いと思います。全てのアメリカの学校が給食システムではないと思います)
娘の通っていた学校だけかもしれませんが、給食というよりビュッフェでした。


使い捨てのワンプレートに穀物(パスタ、パン、ポテト)、メインディッシュ、フルーツを担任の先生が手袋をして取り分けてくれます。


子どもたちは先生に「それは好きだから沢山入れて!」「それキライだから入れないで」と注文をし、先生はキライ、と言われたら本当に全く入れません。


野菜嫌いな子は野菜を食べないし、フルーツ嫌いの子はフルーツを食べないまま給食を終えます。



自分の好きなものを好きなだけ食べ、満足したらフタを閉めてそのままゴミ箱にポイ
そもそも自分の好きなものしか入ってないランチですが、それでも飽きたら残してポイです。


それに対して先生は注意もしません。
見ていないのでおそらくですが、先生自身も給食を残しているかもしれません。


「全てのお皿にものが入っていない状態」を目指している感じがしないのです。


では何を目指しているのか。
「給食であなたがハッピーになったか」
「自分で自分の好きなものを選び取れる、それを周りに伝えることができるか」
これ好きじゃないから入れないで、と伝えたら褒められるんですよ。
ちゃんとNo thank youが言えたね!やったね!って。


「園長先生!娘ちゃんが今首を振りましたよ!やったぁ!」と園長先生にそのまま報告に行っちゃうほど。

少し違う話をします。


娘が給食のあるアメリカの学校を退学したとき、担任の先生が
「娘ちゃんとは今月末でお別れだから、今週はJapan weekにして、日本の色々なことを勉強しちゃおう!」と言って日本の料理をクラスで作ってくれたことがありました。


事前に担任の先生に「どんな日本料理を作ったらいいかなぁ?」と相談されて私は「失敗が少ない=味付けがブレない」という観点から「日本のインスタントラーメン」をおすすめしました。

果たして子どもたちは美味しいラーメンを作れたのでしょうか?

私の好きな一風堂のHPからお借りしました


子どもたちの反応は「I don't like it.」「It smells like fish」!
好きな子もゼロではなかったようですが、概ね不評だったようです。
あれ〜〜〜?


私はなんとなく自分がこう思っていたことに気づきました。


「みんな本物の日本料理を知らないだけで、本物の(日本人好みの)料理を食べる機会があれば全員美味しいって言うでしょ!」


まぁでもそりゃそうですよね、普通に食べつけてないものは奇妙に感じるでしょう。
そこで私はふと思い当たりました。


給食のメニューを考えて作ってくれている人はどんな人?
キレイに盛り付けられている、栄養素もバッチリ、子どもが食べやすいように沢山の勉強をしてきた栄養士さんたちが考えに考えて作られた給食であることは疑いようもないこと。


それでも…
給食の正解が1つだけ、っておかしいのかもしれない…?



私にとってこの「ごはん問題」、特に子どもが生まれてから何年も気にかかっていることなのです。
うちの娘はかなりムラっけのある食べ方をする子で、日本にいる頃から「全部キレイに食べる」ことができない子でした。


どんなに彼女の好物を食卓に出しても、気分が乗らなかったら食べないのです。
お腹が空いて夜中に起きたとしても「夜中に食べるのはハッピーな気分じゃないから」食べない、朝まで待つ子なのです。


育児メディアでも「好き嫌いのある子でも全部食べられるような調理の工夫!」という特集をよく目にしますが、


「そもそも全部食べることを目指すべきなのか」という部分にフォーカスしたコンテンツは見かけたことがありません。


私は食べ物を捨てるのはすごく悪いことをしている気になります。
ましてや自分が作ったごはんを一口食べて「いらない」とか娘に言われたら怒りと悲しさで「もう料理なんかしたくない、この子のことキライになってしまう」と思ってしまいます。
そんな日が毎日続いています。


ただ一方で、誰のための食事なんだろう…とも思うのです。
アメリカの学校で出してもらった給食、意外にも栄養バランスが考えられた献立でした。
当然全部食べきったときに栄養バランスが整っているように考えられています。


それでも子どもが「今日はそれ要らない」と言ったらそれを尊重して食べることを強要したりしない。
罪悪感から無縁のカラっとしたアメリカの食文化がうらやましく思うこともあるのです。


私は迷っています。
「日本の食育なんてつまらん!アメリカ式でいこう!」というほど振り切った考えでもありません。


もし今日本に帰って日本の学校で給食を取るようになったとしたら、今の娘のような振る舞いをしたら確実にいじめられるだろうな。。。って思います。


「帰国子女って常識がない、自分のしたいことばっか主張して作った人への思いやりがない」
こんなことを言われてクラスの女子たちから仲間外れにされる未来が見えます…。


久しぶりに会う日本の親戚にもイヤミを言われそうな案件ですね。
「アメリカかぶれして、しつけないといけないことまで子どものワガママにさせているダメな親」と思われるんだろうな…と思っています。


今日の投稿はとっ散らかった感じになってしまいました。
2022年2月現在の考えとして、ひとまず記録しておこうと思います。
皆さんもよければ「食べきる」ことへのご意見を教えてください。

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