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『世界の中心で、愛をさけぶ』

ドラマ制作現場の話や綾瀬はるかさんのことを書いたため、ドラマ好きの方が見にきて下さっているようなので、もう少しだけドラマの話を。

ぼくが綾瀬はるかさんを知ったのは、恐らく多くの人がそうだと思うけれど彼女の出世作 「世界の中心で、愛をさけぶ」だった。
ぼくはそれ以前に原作を読んでいて、書店でたまたま目にした柴咲コウさんの書かれた帯に釣られ読んでみたものの、そのときの感想が可もなく不可もなくだったのは、当時のぼくに読解力が足らなかったためだと思う。

その後、映画化されたのでそちらも劇場へ観に行った。
この物語の時代設定がぼくら世代の記憶と重なる部分がたくさんあり、劇中に登場するスクーターやラジカセ、ウォークマンやカセットといった小道具を懐かしむといった愉しみ方は出来たけれど、個人的にはこちらも物語にはそれほど感情移入することができなかった。
この時点で原作は既に大ベストセラーになっていて、世間では「セカチュー」と騒がれ社会現象にまでなっていたので、その追い風もあって映画もヒットしたし評価も高かった。
ぼくが当時ハマらなかったのは、単にこの物語を時間の制約がある映画に収めることに無理があるように感じたことが理由だった気がする。
いま観ると印象が違うかも知れないので、改めて観直してみようと思う。

その後、ほどなくしてドラマ化されると知った。
原作、映画と通って来ていたのでいわば惰性的に観ることにしたけれど、これがどハマりすることになった。
連ドラということで、時間をかけて物語を描き切ることができたこともあるだろうし、主演の山田孝之さん、綾瀬はるかさんが素晴らしかったこと、またそれぞれの両親役だった高橋克実さんと大島さと子さん、三浦友和さんと手塚理美さんをはじめとする配役が見事過ぎて、ぼくの感情移入を助長した。
また、綾瀬さんが白血病に罹患する役柄だったため、当時まだ19歳くらいだった彼女が剃髪されたことも衝撃的だった(これは、映画で亜紀を演じられた長澤まさみさんも同じ)。
ぼくにとっては琴線に触れるどころか絡まるほどのドラマで、10話と最終話は号泣しながら発売が決定したDVD-BOXを予約した。

その後、今度はドラマ「白夜行」にどハマりした。
これも原作を読んでいたこともあるけれど、また主演が山田孝之さんと綾瀬はるかさんで、共演者も八千草薫さん、武田鉄矢さんと配役が素晴らしく、余韻がいつまでも残るほど心揺さぶられるドラマだった。

この素晴らしい2作品の脚本を書かれたのが人気脚本家の森下佳子さんで、今回の「義母と娘のブルース」も森下さんによるもの。
連ドラの場合、監督は複数の方が担当されるけれど今回メインだった平川雄一朗監督は、「世界の中心で、愛をさけぶ」「白夜行』」でも演出をされている(お二人はその後の「JIN-仁-」や佐藤健さん主演の「天皇の料理番」も手掛けられている)。

「義母と娘のブルース」はシリアスでなくホームドラマだったけれど、ぼくの中で金字塔的ドラマを生み出された平川組、森下組による作品だったことが嬉しくて、そのことをプロデューサーのお一人である飯田さんとのメールのやり取りの中でも書いたほどだった。

つづく


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