2013年8月14日の日記


 新宿に行った。渋谷から原宿、代々木まで行ってそれから新宿へ、西口から東口、そしてまた西口、中央公園へと行った後にまた明治通り沿いを通って渋谷まで戻ってきた。


 私は何がしたいのだろう?時々わからなくなる。わからなくなるから、それがなんだったか思い出すために街をさまよっていたのだ。しかし、そんなことしても私の悩みは複雑さをますだけであった。そもそも私は自分が何について悩んでいるのかということすらわからないのだから。


 この目で見たことを私はなかなかうまく言語化することができない。たとえば今日は新宿に行ったが、あの光景をどう文章にすればいいのかということが私にはわからない。


 巨大なビル、街路樹、街灯の上にとまるカラス、よちよち歩きのすずめ、都議会堂…うずくまるホームレス、金髪茶髪の露出の多い女…様々な物を見たが、一度にあまりにも多くのものを見たせいで具体的に何があったのか、ということをはっきりと言うことができない。街の風景を見ていると何も考えることができなくなる。風景を目で見ても頭に入れないでおけば考えることもできるが、しっかりと街の風景を頭に入れておこうとするとそれができなくなるのだ。


 新宿…ああ、無味乾燥な街だ。新宿。せめて新宿の中央公園の奥地に竜が住んでいればよかったのに!そして竜と少女が対峙していればよかったのに!僕は選択を迫られる。少女を助けるかどうか。助ければ少女は死なないが竜も死なない。見捨てれば竜は少女を食べ、そして死ぬ。少女はいわば人身御供だったのだ。

 そういう選択が新宿でできればまだ面白かったろうに。しかしそういう事件は起きなかったのだ。

 人とほとんどコミュニケーションをとらなかった私だが、3回だけ人と交流をした。1度目は新宿南口の、ルミネ2の入り口のあたりだ。いきなり男が近づいてきて、私に何かカードを渡した。そのカードには「めぐまれない子供のために~」とかなんとか書いてあった。「署名を~」と片言の日本語で彼らは言っていた。私はどうしてもYESと言うことができなかった。”NO THANK YOU”と私は小声でつぶやいた。きょとんとした表情で彼は私の顔を見つめていたのでもう一度今度は大きい声でNO THANK YOUといった。すると彼はふりむいて早足で行ってしまった。後味の悪さが残ってしまったのは言うまでもない。2度目は(中略)。3度目は帰りの電車で起きたのであったがこのことについては後で述べよう。

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 西口のバスターミナル。私はそこのことを覚えていた。7年前の夏、私はそこから富士山行きのバスに乗り込んだのだった。あれはなかなか貴重な体験だった。あいつが言い出してくれなかったから私は決して富士山に行こうとは思わなかっただろう。漫画喫茶で宿を調べ、電話で予約をして…あっというまに決まったのだった。あいつもハイになっていたのだろう。あの頃はなんでもできる気がした。今はどうだろうか。今、私は地の底のような場所で、骸骨どもと戯れているのが関の山だ…


 西口のバス乗り場でそんな思い出に浸った後、甲州街道に出た。初山方面へ街道沿いを歩いていき、どこかの路地に入れば例の会社のオフィスが入っていたビルがある。そこにも私は何度も通いつめた。…あの会社の記憶は結構ある。私はかつて、あの会社を訪れるために何度も新宿に降りたのだった…


 その後、私は甲州街道沿いに歩いて、ルミネ2前までやってきたのであった。確かその後カードを渡されたのであった。


 私はさらにルミネを迂回して歩いていった。ルミネの前ではよしもとの関係者と思われる人たちがルミネ・ザ・よしもとの公演の客寄せをしていた。ルミネ2の9階がよしもとだ。私はちょっとだけ興味を惹かれたが、考え直してその場を過ぎ去ってしまった。

 東口方面をぷらぷらとした後に線路下の狭いトンネルを通って西口へ。あちこち歩いた後に新宿中央公園へと向かうことにした。


 公演のベンチに座り、マルーシの巨像を読んだり、ノートに何か文書めいたものを書いたりしていた。5時半ぐらいになると、そこを離れることにする。


 公園の広場ではスケボーの練習がしている若者がいた…

 私は自分というものを見失ってしまっていた。自分がどこにいるのか?自分が何をしているのか?何がしたいのか?一切決めることができずにいた。誰に何を聞けばいいのかもわからなかった。どうしようもなかった。


 新宿には多くのかけらがあった。そこでサークルの連中とゲーセンめぐりをしたこともあれば、女の子とデートをしたこともある。いろいろな人といろいろなことをしたことがある。しかし、それらはただの細切れの経験にすぎなかった。たとえば漫画喫茶で…


 そうだ…新宿東口の広場から、例のゲーセンがたくさんある通りを通って靖国通りへ出て、そのあたりにあった漫画喫茶に入ったのだ…。あれは確か5年前の春のことであった。

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 関係ないが、明日は終戦記念日だ。首相は参拝しないようだ。しかしそれはそれでいいと思う。これ以上隣国との関係を悪化させるつもりはないというメッセージを送るためにも参拝取りやめは悪くないと思う。


 その後、明治通り沿いを歩いた。足はがくがくだった。完全に疲れ果ててしまっていた。


(中略)


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 帰りの電車内。いちゃいちゃしているカップルがいた。私が席に座っているとまず私の左隣の席が空いて、女が座った。次に私の右隣の席が空いて、そこに男が座った。カップルに挟まれた格好となった私は気まずいと思ったので変わろうか?と提案した。しかし断られてしまった。しかしカップルは私越しにうざい会話をすることはなかったのでまあよかった。これが今日3度目にして最後の人間との交流であった。

 そんな一日であった。


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母音

大学卒業後ずっと書き続けていた日記や雑文や小説などを投稿していこうと思います。面白いかどうかはさておいて、とにかく量だけはたくさんあります。今までそれしかやってこなかったからです。試行錯誤しながらやっていきたいと思っています。

2013年の日記

2013年の日記などをまとめたものです
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