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#このまま君だけを奪い去りたい

アーティストに終わりはないのよ。

静かに佇む町並み はしゃぎ疲れ ただ優しく
忘れたはずの、この寂しさ 胸の扉 叩いた
君の瞳には僕が滲んで 消えゆく愛を知った

このまま僕だけを奪い去りたい
やがて朝の光 訪れる前に
そしてまた あの日見た夢を叶えよう
ふたり素直なままの瞳で
いつまでも信じていたいよ、心震えるほど愛しいから

私が子供の頃のアニメには、ビーイングという音楽事務所のアーティストが関わっていることが数多く、同じ数だけの思い出がある。また、いわゆる「90年代の音楽いいよね」はイコール、ビーイングを指していると言っても過言ではない。

歌詞よりも、アーティストの声そのものや、音楽の耳障りの良さ(キャッチーかどうか)に凄まじいものがある。「地(地元)のものは体に合う」が如く、体に沁みわたるような音楽があったのだと思う。そう思えるにも拘わらず、本当に存在するのかも分からないような、神秘的な感覚すらもある。上京して、その人たちの音楽で満たされた空間で、やっと肉眼で存在を確かめると、本当に漏らすかと思った。


DEEN。子供の頃からファンだったが、いつからか、自分のなかで、CDを買うとか、ライブ情報を気にするであるとか、何よりも優先するべきアーティストでは無くなっていた。勝手に。

5人体制だったバンドは、2人まで減った。そもそも音楽事務所に組まされた他人だったのに、メンバーは本当に仲が良くて何十年も続けてこられた。年月を重ねれば、楽器隊はどんどん上手くなっていくものだが、声は必ずしもそうではなく、衰えていくもの。年々、ボーカルの池森秀一さんは声が出なくなっていって、彼を思いやるように、曲の音程を下げてライブをされていているのを知った。それでも、彼の声の根っこに感じる、唯一無二の「味」のようなものは全く変わらなかったし、失礼ながら、いい歳の取り方を体現されていて、尊敬している。


あるとき、冒頭の動画を見て、鳥肌が立った。

池森さんが、完全にデビュー当時の音程を取り戻しているのだ。池森さん、申し訳ない、と思いながら、直近のライブの予約を取った。ビルボードライブで見た、数メートル先の舞台ではしゃぐDEENのおふたりは、いつまでも音楽が好きな、イケおじだった。何年掛かっても、全てが現在に繋がっている人生なのだと思わずにはいられなかった。